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第十七章 臨時の同盟
第二百三十三話 しらばっくれる
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結論から言うと、夜間の襲撃は来なかった。
ベリアと交代しながら戦闘に備えていたが、杞憂に終わったのだ。
皆で集まって朝食を取り終えると、イズミは面倒だが冒険者ギルドへ向かう事にした。
厄介事や面倒事は、早めに済ませてしまいたい。
今日はそんな気分なのだ。
ギルドの受付嬢に昨日貰った紙を手渡すと、すぐに奥の部屋へ案内される。
扉を開けると年配の男、ツォーネットが書類をまとめている所だった。
「失礼いたします、イズミ様がいらっしゃいました」
「ありがとう。どうぞ此方へ」
ツォーネットが視線を上げると、受付嬢がソファまでイズミをエスコートした。
「最初に言っておくが、俺個人に関して話せる事は少ない」
向かいのソファに座ったツォーネットに対して、初手で断りを入れておいた。
「王国のギルドから届いた資料を拝見しました。正直あまり良い事は書かれておりませんでしたが…」
「非協力的かつ挑発的な態度と言動、ギルドに対し敵対意識が強く自己中心的で協調性が無いとか、そんな感じか?」
「詳しくは申し上げない事に致します。大切なのは子供達の救出に関する事ですので」
ツォーネットが机に資料を置き、質問が始まった。
「最初の質問ですが、どうやって子供達が誘拐された場所を見つけたのですか?」
「相棒のお陰でね。広範囲の魔法反応を調べる事が可能で、偶然それに引っかかった。調べてみたら廃墟に複数の反応があり隠匿魔法がかかっていると分かったので、友人であるフラウリアに話をしたという所です」
「そこまで調べられるとは、驚きの精度ですな」
資料と話しの内容を確認しつつ、ツォーネットが質問を続ける。
「廃墟には複数の賊が居て、主な対応はイズミ殿とベリア殿が受け取ったと伺っておりますが、正しいですかな?」
「ええ、廃墟内に入ったのは私とベリアの2人だ」
「ベリア殿は風魔法を使えると仰ってましたので隠密行動は理解出来ますが、イズミ殿はどのように?」
「…比較的静かに攻撃が可能な武器があるとだけ、言っておきます」
「秘密ですか」
資料に羽根ペンで追記をしながら、ツォーネットは目だけでイズミを見る。
「私の様な無宿人は味方は少ないものでして、手の内はなるべく隠しておきたいのです」
イズミは少しだけ戯けた口調で返した。
「隠匿魔法と防御魔法を突破したのはイズミ殿が?」
「えぇ、そうなります。方法を聞いても参考にはならないかと」
「具体的には?」
「高威力な武器による物理的破壊です。武器に関してはお答え出来かねます」
「…成程」
メモを取っているツォーネットの動きが止まり、イズミの顔をジッと見る。
どのような武器なのか気にはなるが、答える気が無いと分かると次の質問へと移った。
「ここからが我々が知りたい事になります…子供達には隷属の魔法が掛けられていたとの報告があります。しかし、この町で保護した時点で魔法は解かれていました。フラウリア殿が仰るには、とある魔法を使う事で解除出来ると。冒険者ギルド本部に問い合わせても、そんな魔法は知らないとの回答でした。イズミ殿は何かご存知ですかな?」
「分かりませんね。そもそも、私は魔法を使えない人間でして」
イズミはなるべく冷静に、そして表情に出さないように努めながら答えた。
腕時計が関わる話は全カットにしておきたいからだ。
「…そうですか、では別の質問をさせて下さい。ベリア殿の扱うナイフについてです」
話す気が無いと判断したのか、ツォーネットはベリアのククリナイフについて質問をして来た。
「エルフの方ですら驚く程の、魔法剣と呼んで差し支えない代物です。それを何処で入手したのか」
「ベリアの武器について聞かれても困るな。俺の武器じゃないから、知らんとしか言いようが無い」
「クラーケン討伐の時点で、ベリア殿はイズミ殿と旅を共にしていますよね?」
「えぇ。でも存じ上げませんね」
ツォーネットとイズミの睨み合いが続く。
イズミは基本的に話す意思が無いので、聞かれてもはぐらかすか秘密にするだけなのだ。
「…どうやら貴方は、秘密にしておきたい事が多いようですな」
「男も女も、秘密の多い方が魅力的では?」
「多過ぎるとむしろ怪しくなり、疑われるものです」
ツォーネットの目つきが鋭くなるが、イズミは気にせず笑顔を作る。
「勝手に疑うのは結構だが、俺の旅路の邪魔だけはしないでくれ…邪魔した者がどうなったのかも、その資料に書いてあるのでしょう?」
イズミが冷たい笑みを浮かべ鋭い眼光でツォーネットを睨むと、ソファから立ち上がり強引に話を切り上げようとする。
ゴーン、ゴーン、ゴーン…
唐突に町の広場の方角から鐘の音が5回なった。
イズミがこの町に来てから、初めて聞く音だった。
ベリアと交代しながら戦闘に備えていたが、杞憂に終わったのだ。
皆で集まって朝食を取り終えると、イズミは面倒だが冒険者ギルドへ向かう事にした。
厄介事や面倒事は、早めに済ませてしまいたい。
今日はそんな気分なのだ。
ギルドの受付嬢に昨日貰った紙を手渡すと、すぐに奥の部屋へ案内される。
扉を開けると年配の男、ツォーネットが書類をまとめている所だった。
「失礼いたします、イズミ様がいらっしゃいました」
「ありがとう。どうぞ此方へ」
ツォーネットが視線を上げると、受付嬢がソファまでイズミをエスコートした。
「最初に言っておくが、俺個人に関して話せる事は少ない」
向かいのソファに座ったツォーネットに対して、初手で断りを入れておいた。
「王国のギルドから届いた資料を拝見しました。正直あまり良い事は書かれておりませんでしたが…」
「非協力的かつ挑発的な態度と言動、ギルドに対し敵対意識が強く自己中心的で協調性が無いとか、そんな感じか?」
「詳しくは申し上げない事に致します。大切なのは子供達の救出に関する事ですので」
ツォーネットが机に資料を置き、質問が始まった。
「最初の質問ですが、どうやって子供達が誘拐された場所を見つけたのですか?」
「相棒のお陰でね。広範囲の魔法反応を調べる事が可能で、偶然それに引っかかった。調べてみたら廃墟に複数の反応があり隠匿魔法がかかっていると分かったので、友人であるフラウリアに話をしたという所です」
「そこまで調べられるとは、驚きの精度ですな」
資料と話しの内容を確認しつつ、ツォーネットが質問を続ける。
「廃墟には複数の賊が居て、主な対応はイズミ殿とベリア殿が受け取ったと伺っておりますが、正しいですかな?」
「ええ、廃墟内に入ったのは私とベリアの2人だ」
「ベリア殿は風魔法を使えると仰ってましたので隠密行動は理解出来ますが、イズミ殿はどのように?」
「…比較的静かに攻撃が可能な武器があるとだけ、言っておきます」
「秘密ですか」
資料に羽根ペンで追記をしながら、ツォーネットは目だけでイズミを見る。
「私の様な無宿人は味方は少ないものでして、手の内はなるべく隠しておきたいのです」
イズミは少しだけ戯けた口調で返した。
「隠匿魔法と防御魔法を突破したのはイズミ殿が?」
「えぇ、そうなります。方法を聞いても参考にはならないかと」
「具体的には?」
「高威力な武器による物理的破壊です。武器に関してはお答え出来かねます」
「…成程」
メモを取っているツォーネットの動きが止まり、イズミの顔をジッと見る。
どのような武器なのか気にはなるが、答える気が無いと分かると次の質問へと移った。
「ここからが我々が知りたい事になります…子供達には隷属の魔法が掛けられていたとの報告があります。しかし、この町で保護した時点で魔法は解かれていました。フラウリア殿が仰るには、とある魔法を使う事で解除出来ると。冒険者ギルド本部に問い合わせても、そんな魔法は知らないとの回答でした。イズミ殿は何かご存知ですかな?」
「分かりませんね。そもそも、私は魔法を使えない人間でして」
イズミはなるべく冷静に、そして表情に出さないように努めながら答えた。
腕時計が関わる話は全カットにしておきたいからだ。
「…そうですか、では別の質問をさせて下さい。ベリア殿の扱うナイフについてです」
話す気が無いと判断したのか、ツォーネットはベリアのククリナイフについて質問をして来た。
「エルフの方ですら驚く程の、魔法剣と呼んで差し支えない代物です。それを何処で入手したのか」
「ベリアの武器について聞かれても困るな。俺の武器じゃないから、知らんとしか言いようが無い」
「クラーケン討伐の時点で、ベリア殿はイズミ殿と旅を共にしていますよね?」
「えぇ。でも存じ上げませんね」
ツォーネットとイズミの睨み合いが続く。
イズミは基本的に話す意思が無いので、聞かれてもはぐらかすか秘密にするだけなのだ。
「…どうやら貴方は、秘密にしておきたい事が多いようですな」
「男も女も、秘密の多い方が魅力的では?」
「多過ぎるとむしろ怪しくなり、疑われるものです」
ツォーネットの目つきが鋭くなるが、イズミは気にせず笑顔を作る。
「勝手に疑うのは結構だが、俺の旅路の邪魔だけはしないでくれ…邪魔した者がどうなったのかも、その資料に書いてあるのでしょう?」
イズミが冷たい笑みを浮かべ鋭い眼光でツォーネットを睨むと、ソファから立ち上がり強引に話を切り上げようとする。
ゴーン、ゴーン、ゴーン…
唐突に町の広場の方角から鐘の音が5回なった。
イズミがこの町に来てから、初めて聞く音だった。
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