239 / 701
第十七章 臨時の同盟
第二百三十二話 口裏合わせ
「ベリア、聞こえるか?」
「なんだイズミ?」
魔法通信が繋がると、いつも通りのベリアの声が聞こえてきた。
「今は何をしてる?」
「今?冒険者ギルドに呼ばれて、襲撃者騒ぎの話をする所」
ギリギリの所だったようだ。
ベリアに隠しておいて欲しい事だけ急ぎで伝えて置いた。
「あの腕時計の事は、秘密で頼む」
「アタイのナイフはどうする?」
「詳しく聞かれたら、旅の途中で出会ったへんちくりんな爺さんに鍛えて貰ったと言って、茶を濁してくれ」
「分かった」
イズミは突貫の隠蔽工作を済ませると、マスタングの運転席のシートにもたれ掛かる。
「その場しのぎの悪知恵浅知恵で、何処まで隠せるかね?」
「彼等も馬鹿ではありませんので、監視の目がつくかと」
「だよなぁ」
大きなため息をついたイズミが、武器の修復状況を確認する。
「ショットガンは完了しました。マグナムはもう少しかかりそうです」
「そうか」
イズミは実体化されたショットガンを受け取るとショルダーバッグに仕舞い、壊れた腕時計をグローブボックスに入れた。
「朝の戦闘で壊れたみたいでな」
「此方も修復しますか?能力付与は出来ないですが」
「悩みどころだな」
今後の戦闘でも有効活用出来る能力だが、今の自分では使い切れないのが気になる。
「では、通常修復します。明日の朝には完了します」
「ありがとう」
マスタングはイズミの回答を聞く前に、腕時計の修復に入った。
ステアリングを優しく撫でたイズミは、マスタングから降りて飯屋を探しに歩き出した。
夜は酒場が賑やかだと考えていたが、その中で一店舗だけまだ席に余裕がありそうな店があった。
店に入ると、入口は薄暗いが中はしっかりと明るかった。
「…いらっしゃい」
「この町に来て間もなくてね、オススメはなんだい?」
イズミはテーブル席に座ると、店主だろう男に話しかけた。
「肉と野菜のパン包みだな」
「では、それを2つ頼む」
少し待っていると、ブリトーのような食べ物が乗った木製の皿が目の前に差しだされた。
「手に持って食べやすい大きさを意識して、薄く長く焼いたパンで巻いたんだ。昼飯時じゃ人気なんだ」
ガブリと大きく噛じると、ソーセージとシャキッとした野菜が詰まっていた。
食感も味も悪くない。
強いて言うならば、ソースが欲しい所である。
チリソースみたいな。
「確かに、昼飯にピッタリだな。小腹が空いた時にも夜食にも良さそうだ」
「手軽で腹持ちも良いから、オススメなんだ」
食べながら納得したイズミは、1つ目をすんなりと食べ終えた。
もう一つも平らげ会計を済ませると、子供達の保護をしている建物へ向かうベリアが見えたので後を追って声をかける。
「おうベリア、ギルドとの話はどうだった?」
「大変だったな。クラーケン討伐まで遡ってアレコレ聞かれたよ…」
疲れた顔をしているベリアが、話を続ける。
「あのナイフについてもそうだし、魔術師のフレイムバーストをどう防いだのか、襲撃者撃退の詳細とかをみっちり」
「面倒だな、まったく」
イズミは腕を組み、自分がどう説明をするべきかを考え始める。
そもそも、自分は冒険者ギルドに登録されていない人間なので、個人的には拒否しても構わないのだが。
「腕時計?ってのは言わなかったけど、ナイフの事はガッツリ聞かれたぞ。ギルドの責任者にも詰められるし、同業のエルフ達からも目を輝かせての質問攻めでよ…もしかすると、後を付けられてるかもしれない」
「そんなか」
「そのくらい凄い武器って事だ」
ベリアが周囲を確認するも、付けられてはいないようで向き直り建物へ入る。
「すぐにイズミとマスタングが関わってる事くらいは勘付くと思う」
「だよな。どうしたものやら」
後先を考えない行動を続けると、面倒事が同時多発的に押し寄せるのだ。
皺寄せとか年貢の納め時とか、色々な言い方はあるが、何処かで清算する事になる。
イズミはふとヒールで治癒された左腕を軽く叩き、回復具合を確かめる。
しっかり痛くて、少し涙が出そうになった。
「なんだイズミ?」
魔法通信が繋がると、いつも通りのベリアの声が聞こえてきた。
「今は何をしてる?」
「今?冒険者ギルドに呼ばれて、襲撃者騒ぎの話をする所」
ギリギリの所だったようだ。
ベリアに隠しておいて欲しい事だけ急ぎで伝えて置いた。
「あの腕時計の事は、秘密で頼む」
「アタイのナイフはどうする?」
「詳しく聞かれたら、旅の途中で出会ったへんちくりんな爺さんに鍛えて貰ったと言って、茶を濁してくれ」
「分かった」
イズミは突貫の隠蔽工作を済ませると、マスタングの運転席のシートにもたれ掛かる。
「その場しのぎの悪知恵浅知恵で、何処まで隠せるかね?」
「彼等も馬鹿ではありませんので、監視の目がつくかと」
「だよなぁ」
大きなため息をついたイズミが、武器の修復状況を確認する。
「ショットガンは完了しました。マグナムはもう少しかかりそうです」
「そうか」
イズミは実体化されたショットガンを受け取るとショルダーバッグに仕舞い、壊れた腕時計をグローブボックスに入れた。
「朝の戦闘で壊れたみたいでな」
「此方も修復しますか?能力付与は出来ないですが」
「悩みどころだな」
今後の戦闘でも有効活用出来る能力だが、今の自分では使い切れないのが気になる。
「では、通常修復します。明日の朝には完了します」
「ありがとう」
マスタングはイズミの回答を聞く前に、腕時計の修復に入った。
ステアリングを優しく撫でたイズミは、マスタングから降りて飯屋を探しに歩き出した。
夜は酒場が賑やかだと考えていたが、その中で一店舗だけまだ席に余裕がありそうな店があった。
店に入ると、入口は薄暗いが中はしっかりと明るかった。
「…いらっしゃい」
「この町に来て間もなくてね、オススメはなんだい?」
イズミはテーブル席に座ると、店主だろう男に話しかけた。
「肉と野菜のパン包みだな」
「では、それを2つ頼む」
少し待っていると、ブリトーのような食べ物が乗った木製の皿が目の前に差しだされた。
「手に持って食べやすい大きさを意識して、薄く長く焼いたパンで巻いたんだ。昼飯時じゃ人気なんだ」
ガブリと大きく噛じると、ソーセージとシャキッとした野菜が詰まっていた。
食感も味も悪くない。
強いて言うならば、ソースが欲しい所である。
チリソースみたいな。
「確かに、昼飯にピッタリだな。小腹が空いた時にも夜食にも良さそうだ」
「手軽で腹持ちも良いから、オススメなんだ」
食べながら納得したイズミは、1つ目をすんなりと食べ終えた。
もう一つも平らげ会計を済ませると、子供達の保護をしている建物へ向かうベリアが見えたので後を追って声をかける。
「おうベリア、ギルドとの話はどうだった?」
「大変だったな。クラーケン討伐まで遡ってアレコレ聞かれたよ…」
疲れた顔をしているベリアが、話を続ける。
「あのナイフについてもそうだし、魔術師のフレイムバーストをどう防いだのか、襲撃者撃退の詳細とかをみっちり」
「面倒だな、まったく」
イズミは腕を組み、自分がどう説明をするべきかを考え始める。
そもそも、自分は冒険者ギルドに登録されていない人間なので、個人的には拒否しても構わないのだが。
「腕時計?ってのは言わなかったけど、ナイフの事はガッツリ聞かれたぞ。ギルドの責任者にも詰められるし、同業のエルフ達からも目を輝かせての質問攻めでよ…もしかすると、後を付けられてるかもしれない」
「そんなか」
「そのくらい凄い武器って事だ」
ベリアが周囲を確認するも、付けられてはいないようで向き直り建物へ入る。
「すぐにイズミとマスタングが関わってる事くらいは勘付くと思う」
「だよな。どうしたものやら」
後先を考えない行動を続けると、面倒事が同時多発的に押し寄せるのだ。
皺寄せとか年貢の納め時とか、色々な言い方はあるが、何処かで清算する事になる。
イズミはふとヒールで治癒された左腕を軽く叩き、回復具合を確かめる。
しっかり痛くて、少し涙が出そうになった。
あなたにおすすめの小説
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
異世界で 友達たくさん できました ~気づいた時には 人脈チート~
やとり
ファンタジー
異世界に突然迷い込んだ主人公は、目の前にいた人物に何故かぶぶ漬け(お茶漬け)を勧められる。
そして、自身を神の補佐である天使というその人物(一応美少女)に、異世界について教わることに。
それから始まった異世界での生活は、様々な種族や立場の(個性的な)人に出会ったり、魔界に連れていかれたり、お城に招待されたり……。
そんな中、果たして主人公はどのような異世界生活を送るのだろうか。
異世界に迷い込んだ主人公が、現地の様々な人と交流をしたり、一緒に何かを作ったり、問題をなんとかしようと考えたりするお話です。
山も谷も大きくなく、話の内容も比較的のんびり進行です。
現在は火曜日と土曜日の朝7時半に投稿予定です。
感想等、何かありましたら気軽にコメントいただけますと嬉しいです!
※カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様にも投稿しています
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
W職業持ちの異世界スローライフ
Nowel
ファンタジー
ブラック企業の社畜、鈴木健一
ある日彼はトラックに轢かれ亡くなった。
そして、気付くと魂の姿になっていた。
橋の神様の提案で異世界転移をすることに。
橋を渡った先には扉があって…。