異世界無宿

ゆきねる

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第十七章 臨時の同盟

第二百四十一話 才能の開花

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翌日。
ベリアが早速イズミの武器を使ってみたいと言うので、一旦町から出て人気の無い場所までマスタングで走って行く。

まったりと30分程走った所で、試し撃ちの準備を始めた。

「…っと、こんなで良いかな」

出発前に宿屋で貰った木材で的代わりにし、地面に突き立てる。
少し距離を取ってから、ベリアに事前説明をした。

「ベリア。試して貰う前に、まず守って欲しい事がある」

銃器を扱う時のルールだ。
自分と他人を銃器の事故から守る為に大切な事だ。
これは最初に伝えないといけない。

「武器を自分や他人に向けない事。まずコレを守ってくれ」

「分かった」

簡単に守るべきルールを説明してから、試し撃ちをしたい武器について確認をする。

「で、ベリアは何を使ってみたいんだ?」

「えーと…いつも片手で使ってるヤツは試してみたい。あと、昨日遠くの男を狙ったヤツ」

「マグナムとアサルトライフルか。まずはマグナムからだな」

イズミはショルダーホルスターからマグナムを抜くと、一度シリンダーから弾を抜き取りベリアへ渡した。

「ありがと。思ったより重いんだな」

「だろ?ずっと肩から下げてると凝るんだよ」

マグナムの操作説明を始める。
撃ち方と狙い方をレクチャーしてから、弾を込めてやる。

「ハンマーを起こして、狙いたい所に照準を合わせる…」

ベリアは適度に身体の力が抜けているようで、構えていてもそこまで震えたりはしていない。

「照準を合わせたら、引き金に指を掛けて…引く」

聞き慣れた銃声が響き、ベリアの尻尾が逆立った。

「おぉ~、クロスボウみたいな感じかと思ってたけど、全く違うな!」

「だろ?しっかりと狙いたい時には、俺はこう構える」

イズミがベリアに射撃姿勢の説明をする。
映画の影響で覚えた半身で構える、所謂ウィーバースタンスである。
様々なアクション映画の影響を受けたイズミが覚えた、比較的初期のスタンスだ。

腰撃ちに片手撃ち、照準を合わせているようには見えない撃ち方もある。
拳銃とは片手で扱う物と言う認識の時代の映画も好んで見ていた。

「この威力は凄いな!アタイも何か出来ないかな?」

マグナムを1発ずつ、丁寧に撃ちながらベリアが呟いた。

「魔法ってのは、結構自由度が高いんじゃないのか?」

「ファイヤーボールにウィンドカッターくらいしか、戦闘で使わないからなぁ」

ベリアはマグナムをイズミに返すと、的にしていた木材へと歩き出す。
18発程撃った結果、命中したのは7発だった。
初めてにしては上出来である。

「じゃあ、ファイヤーボールをマグナムみたいな速度で撃ち出せないのか?」

イズミは過去の戦闘を思い出す。
大体の敵は火球を手元に作り出すと、投げつけるようにして攻撃をしてきているのだ。

「うーん。どうなんだろう?」

ベリアは右手に小さな火球を作り出すと、まずは手投げで速度を上げられるかを試し始めた。

「微妙だな」

何度かやってみるも、かなり大振りで投げないとスピードが出て来なかった。

「投げるってスタイルを止めるってのは有りか?」

イズミはマグナムから空薬莢を取り出すと、そのまま構えてイメージを説明する。

「マグナムを撃った時みたいに狙いをつけて、火球をズドーンとかバーンって感じで」

「大雑把だなぁ」

そうは言いつつも、ベリアは右手を伸ばし人差し指を銃に見立て木材を狙う。

「狙いをつけて…ファイヤーボールを出して…バーン!」

好きな映画のラストで主演の俳優が悪役へ向けて、指を銃に見立て撃つ動作をするかのようにベリアが試してみる。

すると、2人の思った以上の速度でファイヤーボールが木材へと飛んで行った。

「…速かったな」

「…なんで?」

2人は互いに顔を見合わせ首を傾げてしまったので、もう一度試してみる。

「バーン」

ベリアが先程よりも小声で呟くように言ったが、やはり良いスピードで飛んで行く。

イズミはその間にアサルトライフルを用意をする。
単発撃ち、フルオート。
構え方と狙い方をレクチャーし、用意していた5本のマガジンを撃ち切って貰ってから、改めてファイヤーボールの実験を行う。

「ズドドドドン…みたいな感じ?」

擬音語祭りになりつつあるが、イメージしやすいのだから仕方が無い。

「そんな簡単に出来たら苦労しないよなぁ…」

そうボヤキながらもやってみると、案外すんなりと出来てしまった。

「ベリア、魔法の才能あるんじゃない?」

「なんで出来るのか、自分でも分からないのだが?」

ベリアはククリナイフを取り出し、木材に構える。
昨日のワイバーンに対して攻撃したように、ナイフの魔力と合わせるとどうなるのかを確かめる為だ。

「…!?」

効果は抜群だった。
小石サイズの火球だったのに関わらず、風魔法も合わさり高速で飛んでゆく。
更には木材に命中すると炎が風によって激しく燃え盛る。

ベリアの尻尾がブワッと逆立つ。
予想を大きく上回る結果に、理解が追い付いて居ないようである。

「マスタング、俺はあの攻撃を避けられると思うか?」

「人間の動体視力と運動能力では、かなり厳しいかと」

イズミは冷静に分析をするマスタングを見ていると、今までに出会った敵がこのスピード感で攻撃をして来なかったのが幸運だったのかもしれない。
そんな実感が湧いてきた。

「魔力攻撃も弓やクロスボウみたいに速く出来るもんなんだな。矢に魔法を乗せるってのは見たことあるけど、魔法単体でも出来るってのは初めて知ったよ」

ベリアはククリナイフを仕舞うと腕を組み、感慨深い表情をしていた。
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