異世界無宿

ゆきねる

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第二十三章 独自の調査

第三百八十話 飛び道具は欲しい

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武器屋に入って最初に見えたのは、大型のクロスボウだった。
過去にカレンが使っていたような、弾倉式の連射可能なクロスボウである。

「いらっしゃい、ウチは遠距離武器専門だよ」

「専門店?」

「ドワーフ族の職人達は剣や盾や一部の防具は作るけどね、クロスボウとかはあまり作ってくれないのですよ。なので当店は遠距離武器に特化した商品展開をする事にしたのです」

ドワーフ工房のこだわりなのか、接近戦に強い武器がメインなのだろう。

「少々値の張る商品もありますが、当店で贔屓にしている工房にて作ってますので性能は保証しますよ」

「そうだな…先ずは小型のを1つ、それを決めたら大型のも幾つか見たい」

「小型ですか…此方がオススメです」

店員の男が取り出したのは、8連射が可能なクロスボウだ。

「可動部はドワーフ工房で作って貰いましたので、強度と摩耗の心配はありませんし、泥水や土が被っても使用出来ます」

「8連射は多いのか?」

「小型の連射式クロスボウは通常5発程度ですので、多いと言えます。5連射用の弾倉との互換性もあるので、当店ではトップクラスに売れています」

「ではそれを2つ買おう、替えの弾倉も欲しい」

「ありがとうございます」

店員が一旦店の奥にクロスボウを置く。

「アレは俺達用だからな」

「アタイ用?」

「念の為だよ、無いよりはあった方が良いだろ」

小声でベリアに告げると、何か言いたげではあるが言葉は出さなかった。

「お待たせしました。次は大型クロスボウですね」

「欲しいのは…肩付け出来るストック付き、大容量の弾倉式が良い」

「それ条件でしたら、此方へどうぞ」

男が店の左手にあるクロスボウのコーナーへ進むと、壁に飾ってあるクロスボウを手に取った。

「先ずは此方のクロスボウです…円筒形弾倉の脱着には癖があるものの、弾倉は20発と40発の2種類があります。特注で60発の弾倉を作った実績もあります」

構えてみると、思ったよりも重量バランスが良い。

「各部の強度確保の為に前方が重くなりますので、ストック部に重りを入れて重心の位置を調整しております」

「悪くないな…他にオススメは?」

「他ですね、何かお気に召さない点がありましたか」

「いや、良い買い物をするので色々と吟味したくてね」

「そう言う事でしたら」

クロスボウを店員に渡すと、次のクロスボウを持って来る。

「このクロスボウは当店の新型です。馬車に固定して運用するクロスボウの性能をそのままに、一時的に個人でも運用出来るように作りました」

先程のクロスボウより若干大きく見えるクロスボウのトリガー部前面には、馬車に固定する為の部品が装着されている。

「今までの固定方式ですと戦闘の際に死角への対応が困難だと言う事で、必要に応じて容易に脱着が出来るように改良したものです」

「成る程…流石に重いですね」

「威力は申し分ないのですが、軽量化は難しく。他ですと…」

店員が最後に持ってきたのは、円筒形ではなく箱形の弾倉を付けたクロスボウだった。

「弾倉が今までのものとは違いますね」

「はい。職人が言うには、箱形の方が円筒形に比べてがさばらず、転がって何処かへ行く事もないから実戦的だ。との事なのですが…」

「ですが?」

「円筒形弾倉との互換性が無く、専用弾倉となっております。後付けの変換器も製作してはみたのですが、給弾不良が多発しまして」

「あまり売れていないと」

「そうなのです。性能は申し分ないのですが、どの冒険者様も既存の弾倉が使える方をお選びになりますので」

「他にも難点がありそうですね」

「完全新型の弾倉ですので、製造数が少ないです。ヒュミトール以外での調達には難があります。大まかな部品は問題ありませんが、弾倉周りだけは流石に」

「新型故の課題だな」

構えさせて貰うと、このクロスボウもバランスが良い。
動作方式に魔石を使用しているとの事で、ハンドルを手動で回して連射する必要が無いのは利点だろう。

最も、オススメされた他のクロスボウも基本的には魔石で動作するモデルである。
大小構わず魔石で動作するクロスボウが、近年の冒険者達の中での流行りだそうだ。

「そうだな…箱形弾倉のクロスボウを3つと予備の弾倉を買いたいな。予備弾倉の在庫数は?」

「在庫数は50となります」

「他にこのクロスボウを使っている冒険者とかはいるのか?」

「いえ…入荷以来、1つも売れてませんので」

「そうか。各々の金額は」

「大型クロスボウが1つで金貨25枚、予備弾倉が1つで銀貨18枚となります。小型のクロスボウは1つ銀貨60枚で、8連射弾倉が1つ銀貨10枚です」

「なら小型の方の予備弾倉は6個欲しいかな。ええと、合わせると金貨86枚と銀貨20枚か?」

自分が使う未来は見えないが、緊急時に誰かに使ってもらう可能性はある。
備えあれば憂いなし、遠距離武器は時に戦闘の要にもなるのだ。

布袋をショルダーバッグから取り出し、金貨を会計用の机に並べる。

「ありがとうございます!何か不具合等がありましたら、2回までは無償で対応致しますので」

「それは助かります」

購入品をベリアがアイテムボックスに収納する。
その後店を出ると馬車まで戻る道中で食料を購入し、誰からの妨害も無く安全にグラテミアの屋敷へと帰る事が出来た。
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