異世界無宿

ゆきねる

文字の大きさ
390 / 625
第二十三章 独自の調査

第三百七十九話 買い出し

しおりを挟む
店の並ぶ大通りの近くで馬車を降り、ヒュミトールに来てから初めて道具屋や青果店を見ることが出来た。

イズミは興味に身を任せて店に入りたい所であるが、今日はフリーでは無く買い出しなので我慢する。

「…アタイ等の買い出しに興味のある連中がいるみたいだ」

「後を追ってきたのか?」

「いや、町中に根を張った感じだな。魔法通信を駆使して、淡々と観察してる」

「手を出して来なければ、気にしないものとしよう」

アヤの案内で通りでトップクラスの品揃えだと言う道具屋に入る。

「いらっしゃい…アヤちゃんじゃない!」

「ちょっと、その呼び方は恥ずかしいわ。今日は友人と一緒なの」

「ご友人?」

褐色肌に特徴的な耳をしたエルフ族の店員が、イズミとベリアを一瞥すると商売モードに入った。

「いらっしゃい!此処はヒュミトールでも随一の品揃えをした道具屋『プリムス』だ。オーダーメイドも一部承ってますので、是非ご利用くださいませ!」

「それは心強い。近々ある場所を調査に向かうので、使えそうな道具があるか見たくてね」

「調査ですか?」

「ベリアは冒険者ギルドに伝えるんだっけか?…オブリビアに」

「おやおや…それはそれは」

イズミがベリアに確認をすると頷かれる。
それを見たエルフ族の店員が少し考え込んだと思えば、手にしていた紙に何かを書き始めた。

「それでしたら、調査に使えそうな道具のある場所までご案内します。どうぞ此方へ」

店員の案内で店の奥へと進む。

「あの廃墟都市は怪しい噂が多いですからね…使えそうな道具をお見せしますので、気になる商品がありましたら教えて下さい」

テーブルを用意すると、その上に魔道具を持って来て並べる。

「魔石ランタンに魔物や虫除けの香、確認用マーカー、破裂玉に煙玉、回復薬と傷薬、迷子対策の目印に便利な光る石」

「これは確かに必要そうだな」

「魔石ランタン以外は冒険者パーティーも多々購入されますね。ランタンは一度購入すれば、後は定期的に魔石を取り替えるだけなので」

店員が使い方をレクチャーしてくれたが、思ったより簡単そうに見える。

「あの棚が気になる」

イズミの後ろで商品棚を眺めていたベリアが、ある棚を指差して言った。

「あの棚?此方ですか」

店員がベリアの言う奥の棚へ向かい、商品リストだろう紙を持って戻って来る。

「少し独特な商品をまとめた棚ですね…毒霧を浄化する粉、貼ると一時的に扉を開けられなくなる御札、アンデッド系の魔物から身を守る印が彫られた魔石、強烈な光から目を守る黒硝子等々」

「面白い商品だな」

「ありがとうございます、他には…光属性の魔石を使う特別な魔道具もあります」

「特別な魔道具?」

「はい」

店員が持って来た魔道具は、半球状の透明な何かが埋め込まれた四角の小箱に見える。
クイズで押されるボタンのように見えなくもない。

「黒い箱の中に光属性の魔石を入れますと、浄化効果のある光を放つとの事です…実戦で試した事はありませんので、効果の程はなんとも」

効果を聞いたイズミとベリアは、その魔道具を持たせて貰い様々な角度から確認をする。

「浄化って、何を浄化するんだ?」

「衣服の汚れとかじゃ無さそうだ」

「光の魔石は持ってれば、試してみたいけど」

2人はアヤを見たが、そんな都合良く光の魔石は持っていない。

「まぁ、気になるなら買っとこうか」

イズミはベリアと相談した結果、説明を受けた大半の商品を購入した。
魔石ランタンは予備を含めて3個、消耗品は多めに、アンデッド系の魔物から身を守れると言う印の彫られた魔石はどの程度の耐久値なのか分からないので4個購入する。

「合計で金貨52枚になるのですが…」

「では一括で」

「ありがとうございます!」

布袋から金貨を取り出して支払いを済ませると、ベリアが店員に了承を取ってからアイテムボックスに収納する。
店を出たイズミ達は馬車へ戻ろうとした時、イズミは視線に写った武器屋に飾られている武器が気になり足を止める。

「どうした?」

「すまん、ちょっとあの武器屋に寄っても良いか」

2人の了承を得たイズミは、一緒に武器屋へと入店した。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

彼に勇者は似合わない!

プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。 ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。 そこは豪華絢爛な王宮。 第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。 元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。 発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。 元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。 協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。 それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。 これは社会不適合者が歩む成長の物語。

不死身のボッカ

暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。 小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。 逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。 割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。 ※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。 ※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。 ※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。 ※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

龍と旅する。

水無月
ファンタジー
治安が良くない島々や国を龍と旅する物語。 主人公たちが探すのは「龍の卵」。だがそれを狙うのは彼らだけではなく、「龍狩り」や貴族とも争うことになる。 出会いと別れを繰り返して、ロッドとレリスは大海原を渡る。 ・海龍 ロッド……最強。頼りになる。こいつ一人でいいんじゃないかと思われるが、とある理由からレリスと行動している。威厳のある話し方をするが、中身は幼い男の子。 ・人間 レリス……男性。人間基準で言えば強いが、あくまで人間の枠組みの中でのこと。お人好し。 ※注意 〇喧嘩しまくりの異種族同士ですが、彼らはお互いを家族だと認識しています。家族愛です。 〇レリスが生まれ持った性質のせいで「龍の卵」なみに狙われる時があります。徐々に巻き込まれヒロインみたいになります。 〇上記のふたつが無理な方はお気を付けください。表紙と挿絵は手描きです。

処理中です...