逆転の花嫁はヤンデレ王子に愛されすぎて困っています

蜂蜜あやね

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 月だけが、二人を見ていた。
 今のリリーは、もう何もできない少女ではないはずだった。
 それでもアシュレイの顔を覗き込むと、あの頃のように「ほら、しっかりしなさい」とも「私の言う通りにしたらいいのよ」とも言えず、少しだけ疲れたような顔で、静かに告げた。
「アシュレイ……触って」
 ――届かなかった。
 かつて彼がそう言った言葉を否定するように、リリーは傍らに剣を置き、アシュレイに向けて手を伸ばした。
 抱っこをせがむ子どものように、まっすぐに。

 
「リリー、ノルティアが見てるかも?」
「いいの。今はアシュレイに触って欲しいって思ってるから。」
騎士の鎧を剥ぎ取るように脱ぎ捨てて、アシュレイの
背中に腕を回すとアシュレイもリリーの身体を強く抱きしめた。
「ここでいいの?」
 何度も確かめるように尋ねるアシュレイに
 頷くと、リリーの唇はアシュレイの唇に重ね合わせられ何度も啄むようなキスを受けることになる。
「リリー、背中が痛くなるからそこに手を付いて。」
 ここは岩場だったことにアシュレイは気づくとリリーをそこに立つ樹木の幹に手をつかせる。
 恥ずかしそうに俯くリリーの身体を後ろから抱きしめて。
「本当は顔を見たいけど……ごめんね。」
 後ろを向いたままのリリーのトラウザーズを器用に下ろすとリリーの太ももの間からゆっくりと手を差し込んだ。
「リリーが好きだったところ触ってあげるね。」
 花芽をくちくちと指で触れて、熱く高ぶり始めた身体をリリーの尻に押し付ける。
「あっ……」
 指で何度も繰り返すとあっという間にリリーの奥は熱く潤んで、花芽を触れていた指をぬるりと差し込むと簡単にアシュレイを飲み込んでいった。
 敏感な身体はすぐに受け入れる準備を始めてアシュレイの指をきゅうきゅうと締め付ける。
「そんなに早く欲しくなっちゃったの?」
 そう聞くと顔を伏せたままのリリーが首まで真っ赤にして違うと横に振る。
「でも中まで触ってって言ってるよ。」
「アシュレイのバカ……」
 もう二人の関係に上も下もない。
 あの頃のようにリリーがアシュレイに命じることも無ければ、できない子をあやすようにアシュレイがリリーを歪んだ愛で甘えさせるということもない。
 ただ2人は対等に横に並び立っていた。

 リリーの奥を、指でぐちゅ、ぐちゅと音を立ててかき混ぜる。
そのたびに、リリーの腰がびくびくと跳ねた。
時折、思い出したように陰核を親指で撫でると、彼女の喉から甘い声が漏れる。
何度も繰り返すうちに、愛液がとろりと溢れ、脚の間を濡らしていく。
濡れたそこを押し広げると、アシュレイの熱がピタリとあてがわれた。
「……もう、入れるね」
囁きとともに、押し込む。
濡れた内壁がきゅうっと吸い込むように彼を迎え入れ、
「触って」と言ったリリーの身体が奥までそれを欲しがる。
にゅぷ、と濡れた音が響き、半ばまで埋まった。
前よりもずっと深く、ずっと早く――リリーの身体は抵抗もなく彼を受け入れていく。
「リリー、大丈夫? 痛くない?」
声をかけながらも、アシュレイの腰は止まらない。
痛みなんてもう分からない。
熱い、眩暈がするほど熱くて、リリーは涙まじりに息を吐いた。
「……もっと、奥……」
その一言で、アシュレイの理性が切れた。
「リリー……可愛い……」
低く唸るように呟いた瞬間、ぐっと腰を打ちつける。
肉がぶつかる鈍い音と、濡れた音が重なり、
リリーの身体が木の幹に押し付けられるように揺れる。
「声、我慢して。……誰かに聞かれたら困る……」
そう言いながらも、塞いだ唇の隙間からは彼女の甘い吐息が漏れる。
聞きたくてたまらないのに、誰にも聞かせたくない――その矛盾がアシュレイをさらに狂わせた。
「リリー、動くよ。しっかり掴まって。」
腰を掴み、奥へと叩き込む。
打ちつけるたびに、リリーの身体が反り返り、泣き声にも似た声が漏れた。
夜の静寂の中、二人の熱だけがぶつかり合い、
何度も、何度も、溶け合っていく。
リリーの奥まで届いた瞬間、アシュレイの動きがわずかに止まる。
絡み合った鼓動が一つになり、熱が深く満ちていく。
リリーの身体がびくりと震え、名前を呼ぶ声が夜に溶けた。
静寂の中、確かな余韻だけが二人の間に残った。 

 
木にもたれかかったまましゃがみ込むと、アシュレイはリリーをそっと膝の上に引き寄せた。
 胸の奥から溢れる愛しさを抑えきれず、彼女の唇を捕らえる。
 背後にいるアシュレイへと身体を捩り、リリーはその口づけに身を委ねた。
 息が混ざり、世界が静まり返る。
 足元では、足首に引っかかったままのトラウザーズと薄布が月光を受けて揺れている。
 乱れた衣の隙間から、白い脚が夜の光に晒されていた。
 それは儚く、どこか現実離れしたほど美しかった。
 けれどリリーには、もうそれを恥ずかしいと感じる余裕はなかった。
 ただ、アシュレイの腕の中で息をしていることだけが確かで――それがすべてだった。
  

「アシュレイ……もうクタクタ……。帰りはおんぶしてくれる?」
 その声は甘えるように舌足らずで――それでいて、どこか命じるような響きを含んでいた。
 昔、彼より少しだけ“お姉さん”だった頃の調子で。
 けれど今は、頬を寄せたまま、素直に甘えている。
 アシュレイは思わず笑みを漏らした。
 強がりと可愛らしさ、その両方が混ざり合ったその声が、どうしようもなく愛おしい。
「リリー、君……元に戻ったのかな?」
「そんなの知らないわ。私は私だもの!」
「そうだね。君は君だ。でも、今は――手が届く」
「言ったでしょ。私はアシュレイに触ってほしいって思ってるの。怒ったりしないわ。だって、私の――」

 旦那様、なんでしょう? あなた。

 その言葉に、アシュレイは一瞬息を止めた。
 微笑むリリーの頬を月明かりが照らす。
 銀色の髪が光をまとい、紫紺の瞳が夜を映す。
 ゆっくりと落ちてくる甘い口づけに、リリーはそっと唇を開いた。
 触れた瞬間、胸の奥に残る熱が静かに溶けていく。
 命じるでも、導くでもない。
 ただ、並んで息をする二人の夜が、そこにあった。
 
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