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青年編
第68話 命の冒涜者への断罪
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しばらく村を歩いていると何やら広場の方が騒がしくなっている。
様子を見に行くとアストルム騎士団が数人の男たちを連行している最中であった。
連行されている男たちは口汚く喚き散らかしていた。
「クソっ!何故魔物を倒して連行されなくちゃいけねーんだ!」
「俺らの戦利品も取り上げやがって!返しやがれ!どこに連れていくつもりだ!」
「な、なんですか、、彼らは」
喚く男たちを冷ややかな瞳で見ながら静かに言葉を吐く。
「元冒険者たちだ。」
「冒険者?ギルドに所属している者たちか?」
「1年前、私は公爵家の全領土内のギルドに魔物の集落、村を襲うこと。そして依頼以外で魔物、魔獣を必要以上に殺すことを禁止とした。」
「、、、、それは、国王陛下にご報告はされていらっしゃるのですか?」
「当たり前だろう。だが陛下には口外しないようお願い申し上げた。リアーナ、こっそり罪状を聞いてきてくれるか?まぁ大体は想像つくがな。」
「御意。」
命を受けたリアーナは騎士団の方へと向かっていく。
「ダリア、これは一体。」
「今からこの者たちをどう処分するか相談を行うんだよ。」
「しょ、、、処分ですと?!」
「もう証拠も揃ってるし完全にクロみたいだからね。」
少しするとリアーナが戻り、ダリアに耳打ちをした。
少し考える素振りを見せるとダリアはアルベルトに問いかけた。
「ちょっと今から仕事をするけど構わないかい?」
「なっ!お忍びという話しはっ!」
「構わないぞ。」
ガティナの言葉に被せるとアルベルトはガティナを押えた。
「ではリアーナ、2人を頼んだよ。」
「かしこまりました。」
ダリアは黒い煙を纏うと騎士の制服に早変わりした。
ふぅっと息を吐くと自分の傍らに片手をかざし魔法陣を作ると騎士の装飾を付けた黒馬を出現させる。
颯爽と跨ると広場の方へと向かっていく。
リアーナに連れられてアルベルトとガティナは目立たぬように民衆に紛れて広場へと近づいた。
ダリアの存在に気がついた騎士たちが急いで出迎えに来るがダリアは優しく対応する。
「こ、公女様!お出迎えが遅くなり申し訳ございません!」
「いや、本来はお忍びのつもりだったし。その意を汲んでくれたことにとても感謝しているよ。ちょっと社会科見学を兼ねて見せてやりたくてね。君の仕事を奪ってすまないな。」
「滅相もございません!公女自らこの者たちに引導を渡されるのですね!」
「君たちばかりに過酷なことをさせる訳にはいかないからね。さて、今回はどの村を襲ったんだ?」
「なんだおめーら!ガキが一丁前に騎士の真似事だと?うちに帰ってかーちゃんのっんぐっ!!」
冒険者の1人が喚いた瞬間、その男の首元に黒いモヤみたいなのがまとわりついていた。
「ふむ、今回は湿地帯の蜥蜴人の集落の者を襲ったのか。通報したのは蜥蜴人か?」
「はっ!運良く集落の近くで襲われたらしく逃げ込んできた子供のひとりが集落にて通報したとの事です。」
「通報機の小型化を急がねばならないな。蜥蜴人はこの者たちの処遇をどうしたいと考えているんだ?」
「実はこちらにいらっしゃっていて、我らアストルム騎士団に手を下して欲しいと。」
そう言うと砦の奥から数十を超える蜥蜴人が出てくる。
アルベルトにとって魔物、亜人種は初めて見るものだったため体を震わせていた。
「あ、あれは、、、、」
「私たちが魔物と呼んでいる亜人種の蜥蜴人です。」
「亜人種?」
「我々人間と同じように知恵を持ち社会を作り上げ生活をしている者たちです。理性を失い手当たり次第に肉を切り裂く者と区別を図るために公女様が亜人種と呼ぶようになさったのです。」
ダリアは蜥蜴人たちに対してお辞儀をすると蜥蜴人たちも慌てて膝を曲げ始めた。
「頭をおあげ下さい公女様、我が集落に対して救いの手を差し伸べてくださったのは公女様ではありませぬか。それに、我が集落の者たちを襲ったのはあなたではありません。どうか、、、、」
「いや、、、彼らは蜥蜴人の子供が希少価値が高いことを知って言葉が通じるにも関わらず刃を奮った。我が妹、ヒナは子の事件を知り深く胸を痛めていた。」
「な、なんとヒナ様にも、、、、じ、実は公女様に折り入ってお願いが、、、」
「なんだい?」
「奴らが襲った際に手に入れたとされる魔石や、、、その、、皮などを、遺族に返してやりたいと思います。」
「もちろんだ。おい、ここへ。」
騎士たちが1人ずつ美しい彫刻が施された箱をダリアの元へと持ってくる。
同時に群衆の中から遺族であろう蜥蜴人が前に出ると騎士たちが箱を各々手渡していく。
「あぁ、、、あぁぁっ!リドニーっ!」
「これが、、、パパなの?ねぇっ!嘘だよ!こんなのパパじゃないっ!」
箱を大事そうに抱き抱え泣き崩れる遺族たち。
「なんなんだよ!この茶番は!おい!聞いてんのかっ!」
喚く冒険者たちにダリアは闇のオーラを放ち威嚇をする。
「さて、命の冒涜者たちよ。断罪の時間だ。」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
様子を見に行くとアストルム騎士団が数人の男たちを連行している最中であった。
連行されている男たちは口汚く喚き散らかしていた。
「クソっ!何故魔物を倒して連行されなくちゃいけねーんだ!」
「俺らの戦利品も取り上げやがって!返しやがれ!どこに連れていくつもりだ!」
「な、なんですか、、彼らは」
喚く男たちを冷ややかな瞳で見ながら静かに言葉を吐く。
「元冒険者たちだ。」
「冒険者?ギルドに所属している者たちか?」
「1年前、私は公爵家の全領土内のギルドに魔物の集落、村を襲うこと。そして依頼以外で魔物、魔獣を必要以上に殺すことを禁止とした。」
「、、、、それは、国王陛下にご報告はされていらっしゃるのですか?」
「当たり前だろう。だが陛下には口外しないようお願い申し上げた。リアーナ、こっそり罪状を聞いてきてくれるか?まぁ大体は想像つくがな。」
「御意。」
命を受けたリアーナは騎士団の方へと向かっていく。
「ダリア、これは一体。」
「今からこの者たちをどう処分するか相談を行うんだよ。」
「しょ、、、処分ですと?!」
「もう証拠も揃ってるし完全にクロみたいだからね。」
少しするとリアーナが戻り、ダリアに耳打ちをした。
少し考える素振りを見せるとダリアはアルベルトに問いかけた。
「ちょっと今から仕事をするけど構わないかい?」
「なっ!お忍びという話しはっ!」
「構わないぞ。」
ガティナの言葉に被せるとアルベルトはガティナを押えた。
「ではリアーナ、2人を頼んだよ。」
「かしこまりました。」
ダリアは黒い煙を纏うと騎士の制服に早変わりした。
ふぅっと息を吐くと自分の傍らに片手をかざし魔法陣を作ると騎士の装飾を付けた黒馬を出現させる。
颯爽と跨ると広場の方へと向かっていく。
リアーナに連れられてアルベルトとガティナは目立たぬように民衆に紛れて広場へと近づいた。
ダリアの存在に気がついた騎士たちが急いで出迎えに来るがダリアは優しく対応する。
「こ、公女様!お出迎えが遅くなり申し訳ございません!」
「いや、本来はお忍びのつもりだったし。その意を汲んでくれたことにとても感謝しているよ。ちょっと社会科見学を兼ねて見せてやりたくてね。君の仕事を奪ってすまないな。」
「滅相もございません!公女自らこの者たちに引導を渡されるのですね!」
「君たちばかりに過酷なことをさせる訳にはいかないからね。さて、今回はどの村を襲ったんだ?」
「なんだおめーら!ガキが一丁前に騎士の真似事だと?うちに帰ってかーちゃんのっんぐっ!!」
冒険者の1人が喚いた瞬間、その男の首元に黒いモヤみたいなのがまとわりついていた。
「ふむ、今回は湿地帯の蜥蜴人の集落の者を襲ったのか。通報したのは蜥蜴人か?」
「はっ!運良く集落の近くで襲われたらしく逃げ込んできた子供のひとりが集落にて通報したとの事です。」
「通報機の小型化を急がねばならないな。蜥蜴人はこの者たちの処遇をどうしたいと考えているんだ?」
「実はこちらにいらっしゃっていて、我らアストルム騎士団に手を下して欲しいと。」
そう言うと砦の奥から数十を超える蜥蜴人が出てくる。
アルベルトにとって魔物、亜人種は初めて見るものだったため体を震わせていた。
「あ、あれは、、、、」
「私たちが魔物と呼んでいる亜人種の蜥蜴人です。」
「亜人種?」
「我々人間と同じように知恵を持ち社会を作り上げ生活をしている者たちです。理性を失い手当たり次第に肉を切り裂く者と区別を図るために公女様が亜人種と呼ぶようになさったのです。」
ダリアは蜥蜴人たちに対してお辞儀をすると蜥蜴人たちも慌てて膝を曲げ始めた。
「頭をおあげ下さい公女様、我が集落に対して救いの手を差し伸べてくださったのは公女様ではありませぬか。それに、我が集落の者たちを襲ったのはあなたではありません。どうか、、、、」
「いや、、、彼らは蜥蜴人の子供が希少価値が高いことを知って言葉が通じるにも関わらず刃を奮った。我が妹、ヒナは子の事件を知り深く胸を痛めていた。」
「な、なんとヒナ様にも、、、、じ、実は公女様に折り入ってお願いが、、、」
「なんだい?」
「奴らが襲った際に手に入れたとされる魔石や、、、その、、皮などを、遺族に返してやりたいと思います。」
「もちろんだ。おい、ここへ。」
騎士たちが1人ずつ美しい彫刻が施された箱をダリアの元へと持ってくる。
同時に群衆の中から遺族であろう蜥蜴人が前に出ると騎士たちが箱を各々手渡していく。
「あぁ、、、あぁぁっ!リドニーっ!」
「これが、、、パパなの?ねぇっ!嘘だよ!こんなのパパじゃないっ!」
箱を大事そうに抱き抱え泣き崩れる遺族たち。
「なんなんだよ!この茶番は!おい!聞いてんのかっ!」
喚く冒険者たちにダリアは闇のオーラを放ち威嚇をする。
「さて、命の冒涜者たちよ。断罪の時間だ。」
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