悪役令嬢の心変わり

青年編

第69話 死は至高の慈悲

「さて、命の冒険者たちよ。断罪の時間だ。」

闇のオーラによる恐怖で冒険者たちは身動きひとつ取れずにいた。
それは冒険者たちだけでは無い。
放たれているオーラに民衆さえも生唾を飲み込んで立ち尽くすしか無かった。

「冒険者ギルドには何度も、、、我慢強く、、、説明をしたはずだ。人間の村を襲っている魔物は正魔力によって正気を失っていたことを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。そして我ら同様、魔物もとい亜人種たちは人間の存在を知るものはそう多くなかった。互いに生きる世界があるのだと知らなかった。だがそれを互いに認識した今、侵略し合うのはあまりにも無意味なことである。共存の道を選んだからこそこの村のように死んだ土地で生きることが出来るのだ。」

ダリアは冒険者たちの方へ振り返るとにこやかな笑顔を見せる。


「冒険者とは本来、人々を守るために魔物討伐し、生活の助けをする者である。そしてその肩書きどおり様々な土地を見て歩き生活の違い、人種の違いを誰よりも経験しているはずである。好戦的では無い魔物がいることは知っているはずだろう？冒険者などという肩書きは貴様たちには分不相応のようだ。」

その瞬間ダリアの瞳孔が怪しく光り、冒険者たちの足元に黒い煙がたちこめ始める。

「貴様たちはこれから私が作り上げたアビスにて拷問を受け続けてもらう。殺してしまうのはあまりにも優しすぎる断罪だからな。」

元冒険者たちは黒い煙を吸い込むと喘鳴しながら黒い煙にまかれながらどんどん沈んでいく。
元冒険者のひとりが手を伸ばし助けを求めるもダリアは変わらず冷たい瞳で見下ろしている。


「そうやって助けを求めた者たちに貴様たちは無慈悲に殺した。同じ人種を名乗るのも忌々しいわ。」




こうしてアルデン村での断罪は終わりを告げた。
全ての対応を終えたダリアはアルベルトたちの元へと戻っていく。

「ダリア、、、」

「いい勉強になったろ？」

アルベルトは少しだけ驚くとフッと口端を上げてダリアの方に手を置いた。

「あぁ、感謝するよ。」






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