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師走
しおりを挟む「うー、サブサブ」
暖房をつけ部屋があったまるまで布団に潜り込む。
テンは自分のベッドから出てこない。
ようやくあったまって来たのでベッドからゆっくり降りる。
コーヒーを淹れると飲んで目を覚ます。
『ニャーにも』
とテンが出て来てカフェオレを入れてやるとまた、眠たそうに目を擦り。
「昨日は寒かったな」
『寒かったにゃ!布団に入ろうか迷ったにゃ』
「入ってくればよかったのに」
何かしらプライドがあったのだろう。
「それにしても雪が降りそうだな」
『ニャーに、雪が降っても部屋にいればいいにゃ』
「まぁ、そうだけどな」
別に無理して外に出る必要はないからな。
テレビをつけると朝の番組に小金井が出演している。
1人でムスッとしながらでている小金井は、何を考えてるんだろうか?
「俺は今、監禁されてポーションを作らされている!」
突然そう言い放つと、
「この守銭奴!お前がレシピを公開しないなら俺は持ってるレシピを公開するぞ!」
あーぁ、総理に念を押したんだが。
「他のレシピを持って来い!俺が作ってやる!」
『って言ってるにゃよ?』
「別に大事なレシピは渡してないからな。公開されてもどーってことないさ」
だけど本当に懲りない奴だな。
リセット薬でも飲ませてやるか?
「暴力で今度は解決できると思うなよ!」
はぁ、馬鹿の一つ覚えのようにレシピ、レシピとうるさいなぁ。
まぁ渡さないから何言われても知らないがな。
その日の夜に総理が言い訳に来たが、それもレシピを欲しいが為だな。
「レシピはこれ以上やらん!そしてこれ以上言うようならどうなっても知らんからな?」
「そ、それは…」
「まぁ、あいつがレシピを言ったところでだがな」
「まだやはりあるのか!」
総理の後ろに転移して、
「お前には悪いがこんなこともできるからな?」
「ひ、ひあい!」
と走って逃げて行った。
この師走の寒い中大変だなぁ。
そんな時、またクリスマスの誘いが来た。
『よぅ、クリスマス空いてるか?』
と言うのは青蘭だ。
「なんだよ、空いてるに決まってるだろ?」
『んじゃまたパーティーやるから来てくれよ』
「わかった、こっちも人が増えたがいいか?」
『おう!何人でもどうぞ』
ツクヨとネオをあっちから連れてくる。で、ガーナ、ツクヨ、グラム、ネオ、ミライにメグミの正装を買いに行く。ついでに俺のも。
グラムはサイズがなくオーダーメイドだな。
ガーナは化けるのが上手いし、ツクヨとネオは可愛くなったな。
ミライやメグミも綺麗になった。
冬だからコートなんかも買う。
ガーナは自分でプレゼントを作るらしいのでそれは任せ、ツクヨ達のプレゼントを買いに行く。
だがあまりいいのがないようで、やはり俺が作ってやることになった、皮はいっぱいあるので手作りマジックバッグだ。
人のことを考えて用意したことないツクヨは四苦八苦していたが。結局自分の欲しいような感じのものが出来上がったようだ。
「我はこれがいい」
「それはプレゼント用だから我慢しろ」
「うー、これ以上のものがもらえるのか?」
「運次第だな」
プレゼントをあげて人に喜んでもらうのは気持ちのいいもんだと言うことがわかればいいけどな。
クリスマスも近づくとミライがクリスマスツリーを買って来た。
ツクヨやネオ、テンも加わって組み立てている。
「んじゃ点灯」
「ほわぁ、綺麗なのじゃ!」
「本当ですね」
『ニャーの星が輝いてるにゃ』
と3人とも喜んでいる。
これだけ喜ぶなら早く買ってあげればよかったな。
ヤトベースの電気を消してクリスマスツリーのあかりで飲むビールもまたいいもんだな。
そしてクリスマス当日になるとまた青蘭が迎えに来てくれ、今回は船上パーティーらしいので楽しみにしていると、
「今回は嫌な奴も来るが我慢してくれよ?」
「ん?なんでだ?」
「コネで入って来やがったんだよ、小金井が」
「あはは、あいつらしいな!」
「本当に困るぜ!俺はあいつが嫌いだってのに!」
と拳を握る青蘭。
「まぁ、嫌いな奴ほど図々しいからな」
「俺たちも我慢するからそこのとこよろしくな」
「「「うぇーい……」」」
とちょっと気落ちするメンバーだが、やはりパーティーが楽しみのようで、ニヤけ顔が収まってないな。
船上パーティーということで、でかい船に乗り込んでいく。大型のパーティー船でやる為、皆、厚着をしている。
中は暖まる場所がある為、それほど苦にはならないな。
それよりも船上から見るライトアップされた橋や街並みがとても綺麗で目を奪われる。
「さぁ、いまからクリスマスパーティーを始めようじゃないか!!」
青蘭の声で『わぁっ』とみんなが盛り上がる。
山になってるクリスマスプレゼント。
船上でもイルミネーションが輝いている。
さすがに人も多いのでロマンティックな気分にはなれないがな。
「あっちに行ってみるのじゃ!」
「おいおい、あんまり走るなよ?」
「分かったのじゃ」
とテン、ツクヨ、ネオは走り回るし、グラムは食べてばかりいるな。
ガーナとミライ、メグミの3人と飲んでいると、久しぶりの顔に笑顔が溢れる。
「ハルカ!久しぶりだな」
「ヤト!連絡くらいしてよ」
「S級にはあがれたか?」
「なんとかね!先越されたけど」
「あはは、でもよかったな!」
「ありがと、まさかカレン達に先越されるとはね」
「まぁ運が良かったんだろ」
「さっき会って話したけど先にS級に上がったらしいじゃない?」
「まぁ、成り行きでな」
と言うと苦笑いだ。
「日本で7組目のS級パーティーよ?」
「縁起がいいな、七番目か」
「フフッ、あなたに助けられてから、結構苦労したのよ?」
ハルカは一緒のパーティーの近藤達を呼び、色々と語ってくれた。
「じゃあ、楽しみにしてるわ!」
「おう!絶対こいよ」
とヤトベースでまた会うことになった。
ハルカ達の為に装備なんかを充実させとかないとな。
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