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剣とクラン
しおりを挟む『カンカンカンッ』
と小気味よい音が聞こえてくる。
ここはとある工房をカグヤが貸し切って、シオンが初めて鍛冶を行っている。
作り方は分かるようで、材料は鉄、鋼鉄、ミスリルなどを用意してある。
好きなように作ってくれと言ってあるので何ができるかは分からない。
「もう3時間になるか」
「まぁ、鍛冶初心者だからまだかかるでしょ?」
頷くとまた音を聞いて眠くなってくる。
雪が舞い散るこの季節に、工房から離れたこの部屋まで熱気が伝わってくるので暖かく、待っている俺らは自然と眠気を覚える。
ふと気づくと音は止み、ドアが開く。
「できました!これが僕の初めての作品です」
とシオンが中に入ってくる。
頬には煤をつけ、汗だくで一本の剣をもっていた。
「よくやったわね!凄い剣じゃない!」
と両手でシオンに抱きつくカグヤ。
「よ、汚れますよ?!」
「いいのよ!よく頑張ったわね」
と照れてるシオンの右手にある剣は鋭く光っている。
『鑑定』を使うと、
フレイムソード……炎の宿ったミスリルの剣。
「凄いな、属性剣だ。しかも名前まで変わっている」
俺の作るミスリルの属性武器は『鑑定』でも名前が変わる事はない。
やはり鍛冶士は特別なのだろう。
「え?名前があるの?」
「あぁ、フレイムソードだ」
「凄いじゃない!流石シオンね」
とまた抱きつく。
形の変わったミスリルソード、いや、フレイムソードは綺麗な赤い魔石が嵌め込まれている。
「こ、これ、初めての武器です。ルカさんに使ってもらいたくて」
カグヤの抱擁から逃れたシオンは俺の前に来ると剣を差し出してくる。
「いいのか?もっと有名なやつに使ってもらったほうが」
「いえ、ぼ、わ、私がここまで出来たのもルカさんがいたからなので、使って欲しいんです」
と渡されるフレイムソードはまだ暖かく、手にズッシリと重みが加わる。
「いいじゃない!今度は私に作ってね?」
「はい!」
俺が剣を少し振ると揺らめく空気で熱を放出している事が分かる。
「これはいい剣だな。ありがとうシオン」
「はい!」
時計を見ると5時間近く工房で鍛冶をしていたようだが、疲れを見せない元気な笑顔でシオンが笑う。
流石鍛冶士だな。
スキルと言うことだから合成のようなものだと思っていたが、やはり鍛冶は鍛冶なんだよな。
ちゃんと工程を通って完成した剣は輝きが違うように感じる。
「少し休むか?それとも飯でも?」
「お腹ぺこぺこです」
「なら飯だな!シャワー浴びてこいよ?どこか予約しておく」
「、な、なら居酒屋でお願いします」
「分かったよ」
と言い、シオンはシャワーを浴びに行った。
「よし、今日はお祝いだな!」
「そうね!」
クリスマスイルミネーションがあちこちで輝き、俺たちはなんとか予約できた新宿の居酒屋まで、タクシーで向かう。
「あはは、なら結構失敗したのか」
「そうなんです。なかなか難しくて」
「いいのよ!だってあんな素晴らしいものを作ったんだもの」
その通りだな。
生産職で俺の次に属性剣、いや、フレイムソードは初めてこの世に生まれたんだからな。
「やっぱりクランを作らない?」
「ん?まぁ、いいけど、誰でも入れるわけにはいかないぞ?」
「それは選ぶのは私達だし、とりあえず秘密よ?」
「それなら別にいいが」
カグヤはクランを立ち上げたいのか。
まぁ、今回のようにいつまでも工房を借りるわけにはいかないし、建物が必要だな。
「いいですね!仲間が増えるのは賛成です」
「ね?作りましょ?私達のクラン」
「とりあえず着いたみたいだな。あとは飲みながら決めよう」
タクシーは夜の街に到着したようだ。
降りるとカップルや仲間同士ではしゃいでいるようで通りも賑やかだ。
店に入りボックス席でいつものように生を頼むとカグヤが夢を語り、シオンがそれに同調し、俺が笑いながら楽しく飲む。
そうだな、ヒナやミオ、ナツメなんかも誘ってもいいかもな?
それにマー坊達も。
前向きに検討しながら酒は進み、次はクランの場所や、名前を話し出す。
「私達、パーティーの名前も決めましょうよ?」
「これから人を増やすのにか?」
「あてはあるんですか?」
と串を取りながらシオンが聞いてくる。
「あぁ、2人いるな。カグヤに会う前にパーティーに誘われたからどうかな?」
「そう、ルカがいいと思うなら賛成よ?」
「なら連絡はしてみるよ」
まだパーティーを組んでなければだがな。
「クランのリーダーはルカだからね?」
「なんでだよ?カグヤがやればいいじゃないか?」
「私は他にも仕事があるんだもの。それにルカが適任よ」
めんどくさい……でも、この3人のなかで自由なのも俺か。
「ふむ、俺がリーダーになってもいいが、有名にはしないぞ?」
「勝手になると思うけど?まぁ、それでいいわね」
「はい!」
これからが大変そうだが、まぁ、信頼できる仲間達でやるクランなら楽しそうだ。
未来のことを喋り、楽しく盛り上がって夜は更けていく。
カグヤは早速、クランハウスの話や、工房やクランビルのことを話し、金がかかるな。
まぁ、使いきれない金があるにはあるし、俺1人が出すわけじゃないからな。
「うふふ、ねぇ、ルカ?楽しいわね!」
「まぁ、勝手に想像してるだけだがな?」
「現実にするのよ!私達で!」
「いいですね!」
まだ、無名のパーティーがクランなんて口にしてるが、近い未来に思って俺たちは動いていくのだろう。
「まぁ、楽しく行こう」
「そうね!」
「はい!」
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