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エリクサー
しおりを挟む「久しぶりじゃな。元気にしておったか?」
「はい、この通り」
と車の中で久しぶりに会う森虎徹、そう言う社長は少し元気がなかった。
「どこか具合でも悪いんですか?」
「……隠してるわけじゃないが、よく気付いたのぅ?」
「いや、久しぶりにあったら元気がないように見えたので」
「まぁ、寄る年並みには勝てんと言うことじゃ。少し病気でな……」
そうか、でも俺は社長には元気でいて欲しい。俺のエゴだがな。
「これをどうぞ」
「これは?……エリクサー」
「はい、これ一本ですが作っていて良かった」
「これは買えん」
と俺に押し付ける。
「いいから飲め!俺はあんたには元気でいて欲しいんだ!」
社長はビックリして固まった。
「分かって下さい。俺は誰にでもこんなものをあげるような人間じゃない。手の届く範囲で大切な人間は助けるって決めたんです」
これは俺の本心だ。
「……ありがとう。ありがたくいただく」
と言ってエリクサーを飲み干す。
身体の至る所が光り、それが治ると、
「うむ、これでワシはルカに借りができたのぅ」
「ですね。これからも元気でいて下さい」
「うむ、ありがとう」
と目頭をつまむといつものクシャリとした笑顔をみせる。
「それにしても美人が2人も増えたな?」
とカグヤとシオンを見て、俺を揶揄う。
「パーティーメンバーですよ」
「そう思っておるのはお主だけかもな?」
と大笑いする社長。
「ハハッ、まぁそれは置いといて、どうなんですか?他の店舗は?」
「ん?なんじゃつまらんのぅ。他の店舗も強化したぞ?日本で起こったことがないとは言い切れないからな」
目を細めツネを見る。
「榊原には辛い思いをさせた」
「いえ、ルカが助けてくれましたので」
と社長の横に座ったツネがそう言う。
「はぁ、お主には頭が上がらなくなってきたのぅ」
「別に今まで通りでお願いしますよ。じゃないとつまらないですしね?」
「全く、ルカは底が見えぬのぅ」
また笑い合う。
車は大きな屋敷のような場所に停まると外に出て中に入って行く。
立派な日本庭園を横目に部屋に入ると上座の真ん中に社長が座り、俺らは横に座る。
「好きなものを頼むと良い」
「それでは社長と同じものを」
「そうか、まぁ後でもいいしのぅ」
女将に言うと食前酒が注がれる。
「今日は榊原、ルカには世話になった!無礼講じゃから大いに飲んで食べてくれ」
「ハハッ、はい」
社長はグラスを持ってそう言うと飲み干すので俺たちも飲む。久しぶりのシャンパンは喉にくるが美味いな。
「で?紹介してもらえるかのぉ?」
「では、私から。ルカのパーティーメンバーで氷室月姫と申します」
「テレビで観ていて知っておるぞ、実際に会うと、より綺麗じゃのう」
「ありがとうございます」
と微笑みながら言うカグヤ。そしてシオンに目が行くと、
「あ、あの、私は相楽紫音といいます。ルカさんのパーティーメンバーです!」
緊張しているシオンだが、噛まずによく言えたな。
「こちらも可愛らしいのぅ、美人に囲まれて……やるのぅ?ルカ」
「まぁ、美人なのは認めますけどね?」
またみんなで笑う。
懐石料理が運ばれてくると俺やツネに話しかけながら食べ進める。
カグヤもシオンもゆっくり話を聞きながら食べているな。
「では、本当にあのエリクサー1本だけじゃったのか?」
「まぁ、そんなに必要じゃなかったですからね?エクストラポーションで事足りますし」
「そ、そうか、ありがとうな。ルカよ」
「あはは、元気ならそれでいいですよ」
持っていても使わないと意味がないしな。
「ワシにできることならなんでも言ってくれ」
「まぁ、その時はよろしくお願いします」
会食は終わり車でまた『tortie』に向かう。
「カードを出してくれるか?」
「ん?はい」
「ほぅ、星4になったようじゃの」
と言い端末を操作している。
「ワシが動かせる金じゃ、エリクサーの代金には程遠いが貰ってくれ」
「別に構わないんですが、ありがたく貰います」
カードを受け取ると、クシャリと笑う。
「今日はありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
頭を下げて『tortie』を出ようとすると、
「ルカ、また会おう!」
「はい!」
車に乗り込むと少しドライブをする。
「社長が元気になったんだから良かった」
「エリクサーを使うとはね?そんなに大事な人なの?」
カグヤが聞いてくる。
「まぁ、俺は気に入ってる人だな」
「そう。なら良かったじゃない」
「そうだな」
東京の街を走ると至る所でイルミネーションが煌めいていて自分でもワクワクしているのが分かる。
「綺麗ね」
「そうですね!なんか気持ちが上がってきますね」
とカグヤもシオンも一緒の気持ちのようだ。
外は寒そうに人が吐く息が白く、肩を窄めて歩いて行く。
今年もそろそろ雪が降る季節になってきた。
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