合成師

盾乃あに

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 『ヴァーミリオン

 賢者の石からそう名付けた俺らのクラン名だ。
 大層な名前だが、これからクランの名前にもなってくるのでカグヤ、シオンと知恵を出し合って決めた。
 
 俺たちは今、マンションを一つ買い取り、隣の土地も買い、工房も建てている。
 場所は墨田区、色々なものづくりが盛んな街だ。
 マンションの下の階は受付があり、2階は共同スペース、その上は居住スペースの15階建だ。
 そこをクランハウスにする。
 隣の工房も敷地とし、一応工房とマンションには塀を設けてある。

「凄いですねー」
「まぁ、金はなんとかなったからな。いい場所が買えてよかったよ」
 カグヤや『tortie 』の社長の森虎徹モリコテツの口添えがあったからいい物件を紹介してもらえた。
 マンションの方は少し手を加えてあり、工房は1から建てている。

 工事はもう始まっている。
 スキル持ちがいるようで早いスピードで建物が作られていくので工期は短くて済みそうだ。

「こっちにシオンや俺の工房ができるのは嬉しいな」
「はい!僕、、、私も頑張ります」
「……言いづらいなら直さなくていいぞ?」
「う、はい。やっぱり慣れなくて」
 男のフリをしていたのだから仕方ない。
 まぁ、僕っ子だな。

「出来たわよ!これが私達の看板になるわ」
 とカグヤが走って段ボールを持ってくる。
「どれ」
 開けるとシルバーの看板に『Vermilion』と彫ってある。

「へぇ、綺麗だな。親方に取り付けてもらうか」
「そうね!」
 親方に頼み取り付けて貰うと、ようやくクランの拠点が出来たな。


「うふふ、こう言うのって嬉しいわね?」
「だな」
「はい!ワクワクしますね!」
 と喋ってると荷物を持った2人がこちらにくるのが見える。

「ルカさーん!」
「おう、来たな!これからよろしくな!」
 来たのは逢坂美桜オウサカミオ七尾緋奈ナナオヒナだ。
 2人に連絡したら良い返事がもらえ、2人とも『朱』に入ることになった。

「凄いマンションですね?」
「ミオ達も住むからな。奮発したぞ?」
「えへへ、こんな良いところに住めるなんて」
 とニヤけるヒナに上を眺めるミオ。
「これで5人ね!」
 カグヤが言う。
「はい、カグヤさんにシオンちゃんもよろしくお願いします」
「カグヤでいいわよ。私達はクランなんだからね?」
「そうです。僕もシオンでいいですから」
「分かったわ、カグヤにシオン。よろしくね」
 とミオが握手を交わすと、ヒナも握手していく。

「とりあえず部屋を見て決めてくれ。俺達はもう決めて荷物も運んであるからな」
「「はい!」」
 2人を案内するのはカグヤが買って出たので任せる。

 俺とシオンは素材を買いに行くために別行動だ。

「どこに買いに行くんですか?」
「品川にある製鉄所の本社だ。カグヤに紹介してもらったからな」
「へぇ、じゃあ鉄を買うんですね?」
「だな」
 車に乗り込んで品川に向かう。

 品川にあるデカいビルの駐車場に車を停め、中に入って受付をする。
 商談スペースで待っていると、スーツの男が2人で目の前に立つ。

「俺は小日向淳コヒナタアツシだ」
「部長、お客様ですよ?すいません、私は洛陽要ラクヨウカナメと申します」
 と無愛想な男の分も低姿勢の男が名刺を渡してくる。
 
「この度はありがとうございます」
 立ち上がり頭を下げると、
「いや、流石に氷室さんに紹介されたら無碍にできるわけないだろ?」
「はは、すいません」
 とあまり歓迎されていないようだ。
「で?何を作る?どれくらい欲しいんだ?」
「そうですね、剣を作るのでとりあえず1トンは欲しいです」
「……はぁ、厚板を扱いやすい大きさにして送ってやる。場所を教えろ」
 と用紙を渡してくる。
「ありがとうございます」
 無愛想な男がそう言う。

「あまりこう言うのはやめろ。こちらも仕事だからやっているが、それなりに付き合いを大事にしている」
「はい、これからもよろしくお願いします」
 昔気質の人のようだな。
「……はぁ、わかったよ」
 と言うとコヒナタは立ち上がり出ていく。

「すいません、うちの部長が」
「いえ、無理を言ってるのはこちらですから」
 ラクヨウがそう言う。こちらはちゃんと商談してくれるようだ。

「これからも定期的に買われるんですか?」
「出来ればそうしたいと思っています」
「では、今回は急ぎで用意しますが、次回からは期日など細かいところまで確認し、それから動くということでよろしいでしょうか?」
 そうだよな、来ていきなりは流石に悪かったな。

「はい、申し訳ありません。次回からはそうさせていただきます」
「良かった、では、私の方に連絡するようにして下さい」
 と言って少し雑談をしてからビルを出る。

「良かったですね?」
「まぁ、カグヤの紹介だし、最初からうまくいくとは思ってなかったが、とりあえず急ぎではないことは伝えたからな」
 あれから期日もラクヨウと話し合って無理のない範囲で決めてきたから問題はないだろ。

 これで素材は手に入るからヨシとしよう。

 俺たちは車でクランハウスに戻る。
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