合成師

盾乃あに

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時は戻らない

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「何のために貴方を引き抜いたかわかる?」
 高層ホテルの最上階で瀬戸は冷や汗を流している。
「はい!必ず契約して来ます!」
 とブレアに頭を下げる。

「そう言ってもう3日よ?今日中に何とかしなさい」
「は、はい!」
 瀬戸にはもう後がなかった。
「貴方が無理なら私が出て行くから、準備だけはしておきなさい」
「は!」
 と横にいるマネージャーに言っておく。

 瀬戸は部屋を出ると素早く行動し、『朱』のクランに向かって車を走らせる。

「ちくしょう!こんなはずじゃないんだ!俺がこんなところで終わるわけない!」
 瀬戸は車の中で喚きながら急いで『朱』クランに向かっていた。

ーーー
 俺は合成部屋で新しい合成が出来ないかと試行錯誤している。

「これも失敗か、何が悪いんだ?」
 今は魔石と魔石を合成しているが、輝きがなくなってしまうものもあれば、割れてしまうものもある。
 
 これでは、魔石の無駄遣いになってしまう。

「ぁあー、ダメだ。何がいけないんだ?」
 と頭を悩ませていると、下からシオンが呼んでいるので行ってみる。

「だから、僕はダメですから!」
「ちゃんと金は払います!お願いします!契約してください!」
 とシオンの前で土下座している瀬戸がいた。
「お前、何してんだ?」
 イライラも重なって、シオンが困っているのをみて怒りが湧いてくる。

「ふ、二人も属性武器を作れるなんて知らなかったぞ!だから、里見さんがダメならこの人に頼むしかないだろ!」
 と逆ギレをかます瀬戸を工房から外に投げ飛ばす。

「ウグッ、イテテ……」
「お前は人の工房に勝手に入って何してるんだ!ここは俺たち『朱』の工房だぞ!」
 俺が声を荒げると、みんなが出てくる。

「どうしたの?ルカが怒るなんてよっぽどね?」
「な、なんでだよ!ただ契約をしてほしいだけなんだ!」
 と瀬戸は言うが、勝手に敷地に入って工房にまで入ったんだ。不法侵入で捕まってもおかしくないぞ?

「ここは俺らのクランだ。お前みたいな奴が無許可で入っていい場所じゃねぇ!」
 俺が言うと皆が頷く。
「ど、どうすればいいですか?私と契約して下さい」
 とまた土下座をするが、誰も頷くものはいない。

「な、なんだよ!そんなに『tortie』がいいのか?金か?あそこより高く買うって言ってるだろ!」
「だからそれとこれとは違うって何遍言ったらわかるんだ?」
 もう瀬戸は『tortie』にいた頃の瀬戸ではなかった。

「うわぁぁ!俺はどうすればいいんだよ!契約取れないと捨てられる!お、お前らのせいだぞ!」
 とわけわからないことを言い出す始末だ。
 
「そんなことは知らん。お前が悪いんだろ?さっさと出ていけよ!」
「うわぁぁぁぁ!ま、待ってくれ!少しでいい!一本でいいから!」
 つまみ出し道路に放り投げると、
「うちのものがすいません」
 とスーツを着た女が瀬戸を受け止めて車に乗せる。

「できればご同行願いたいのですが?」
 と女は何事もなかったかのように言う。
「はぁ、どうせ属性武器の契約だろ?断るから帰ってくれるか」

「……どうなっても知りませんよ?」
「……俺の身内に手出すなら容赦しないが?」
「分かりました。そのように伝えておきます」
 と言って車に乗りこむと帰って行った。

「さて、どうでるかな?」
「さぁ?私なら『tortie』の従業員を全員やめさせるかな?」
 とカグヤが怖いことを言う。
「それは嫌だな」
「まぁ嫌われたくないんだったら普通に来るんじゃない?」

 普通に?
「それはそれで困るな。断ることしかできないからな」
「何で?別に売ればいいじゃない」
「簡単に言うなよ。それなりに苦労するんだぞ?」
 売れば売るほど俺の時間がなくなるからな。

「ですね。職人は時間がかかります」
 とシオンが言うとカグヤも分かったようだ。

「じゃ、あの『Cyan's』も無理ね」
 だな。

 とスマホが鳴る。
「はい」
『Hello、私と話をする気になった?』
 相手はキンベル・ブレアだ。
「はぁ、何度も悪いが、契約はしない」
『なぜ?』
「俺は俺のペースで『tortie』に売ってるんだ。あんたに売る余裕はないな」
『……ふぅ、これ以上は無理のようね。じゃあこちらも好きにさせてもらうわ』
「は?」
『Time doesn't go back.』
 そう言うと通話は切れてしまった。

「時は戻らない?」
「そう言ったの?」
「あぁ、なんか怖いな」
「流石にこちらに危害は加えないでしょうね」
 と言うことは、
「ツネが危ないじゃないか!」
「そうね、早く行きましょう」

 車に乗り込み新宿にあるツネの店に急ぐ。

「クソッ!こんな時に渋滞かよ!」
「落ち着きなさい、すぐに何か起こるわけないじゃない」
「いや、あの女ならやりかねないだろ」

 とにかく急いでツネのところに向かう。

「無事だといいが」
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