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第15話
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「アンディとダンスを踊ってるのを見て、俺も誘おうと思ったんだ。
でも、ジョイが食事をしたいようだったので、一緒にここに居たんだが・・・
思いの外注目を集めてしまった」
スティーブン様は辺りを見渡して、かなり注目を浴びてることを再確認し、決まりが悪そうにしている。
「なるほどね。
でも、私と踊った後にお前がダンスに誘ったらどうなると思う?」
「失念していたよ。
ダンスは・・・諦める」
私をダンスに誘おうとしてたなんて、一見普通に見えたけど、また術に掛かっているのかもしれない。
私は、お皿に残っているチキンと野菜を食べていた。
本当ならデザートも食べたかったけど、アンドリュー様はそろそろ帰りそうな雰囲気がある。
とりあえずは、このお皿の料理だけでも味わっておかないと。
残すなんて以ての外だ。
「君はいいかい、ジョイ?
・・・って、君、顔が真っ赤だよ」
「大丈夫ですよ。
多分さっき飲んだワインで赤くなっただけで、至って正常ですよ」
言われてみれば、顔が少し暑かった。
以前もワインを飲んで顔が真っ赤になり周りに心配されたが、ふらつくことも具合いが悪くなることもなかった。
でも、でも、なんだか少しフワフワしてきた。
「そうは見えないが。
まぁ、そんな状態じゃダンスは無理だね」
何やら途中で立ち上がったスティーブン様が給仕係からグラスを預かり、私に差し出してきた。
「水だよ。飲むといい」
受け取って飲むと、冷たい水が体に染み渡った。
「はぁ~、生き返った。
ありがとうございます」
「ジョイ、デザートを食べようとしているなら、やめた方がいい」
スティーブン様は、さっき私が一気飲みしたグラスの匂いを嗅いでいた。
「えーっ!
あのピンクのマカロン!」
料理を見た時に一番最初に目に入ったマカロンが、なぜか食べたくて仕方がなかった。
「さっきのワインは割と度数が高い。
しかも一気飲みだ。
グラスを渡した責任は俺にもある。
その・・・君は今夜は伯爵邸に泊まるんだろう。
明日、店が開いたら一番で伯爵邸に届けるよ。
マカロンも、パイもクッキーも、赤ちゃんも食べられ・・・・・・」
そこまでは聞こえていた。
でも、急にフワフワが強くなって、そこからは全く覚えていない。
翌朝目を覚ましたら、フカフカのベッドの上だった。
もちろんドレス姿ではなく、子爵令嬢の時ですら着たことのない上等なレースのついた夜着を着ていた。
いったい、どうやって帰ってきたんだろう。
その前に、どうして何も覚えてないんだろう。
しばらくすると、昨夜ドレスを着せてくれた侍女が来たので話を聞くと、喜んで教えてくれた。
「氷の公爵様がものっすごい心配顔でジョイ様を横抱きされて馬車から降りて来た時は、もう驚いたのなんのって!」
スティーブン様は、どうやら夜会会場で私が酔って倒れてからずっと横抱きで運んでくれたらしい。
そして、この部屋へと私を運んだ後も心配するあまりに部屋から出ようとせず、アンドリュー様に追い返されたらしい。
ああ・・・。
なんてことをやらかしたんだろう。
夜会会場で酔って倒れるなんて、普通有り得ない。
スティーブン様にも、アンドリュー様にも迷惑をかけて・・・。
着替えをして、アンドリュー様に謝罪に行こうとするも、既に仕事へ向かい数日は戻らないらしいと伝えられた。
自分のしでかしたことに沈んでいると、侍女が甘い香りのする箱を抱えて現れた。
「公爵様からですって」
これは・・・。
『明日、店が開いたら伯爵邸に届けるよ。
マカロンも、パイもクッキーも、赤ちゃんも食べられ・・・』
スティーブン様・・・・・・。
渡された箱の上には、薔薇が1本置かれていた。
でも、ジョイが食事をしたいようだったので、一緒にここに居たんだが・・・
思いの外注目を集めてしまった」
スティーブン様は辺りを見渡して、かなり注目を浴びてることを再確認し、決まりが悪そうにしている。
「なるほどね。
でも、私と踊った後にお前がダンスに誘ったらどうなると思う?」
「失念していたよ。
ダンスは・・・諦める」
私をダンスに誘おうとしてたなんて、一見普通に見えたけど、また術に掛かっているのかもしれない。
私は、お皿に残っているチキンと野菜を食べていた。
本当ならデザートも食べたかったけど、アンドリュー様はそろそろ帰りそうな雰囲気がある。
とりあえずは、このお皿の料理だけでも味わっておかないと。
残すなんて以ての外だ。
「君はいいかい、ジョイ?
・・・って、君、顔が真っ赤だよ」
「大丈夫ですよ。
多分さっき飲んだワインで赤くなっただけで、至って正常ですよ」
言われてみれば、顔が少し暑かった。
以前もワインを飲んで顔が真っ赤になり周りに心配されたが、ふらつくことも具合いが悪くなることもなかった。
でも、でも、なんだか少しフワフワしてきた。
「そうは見えないが。
まぁ、そんな状態じゃダンスは無理だね」
何やら途中で立ち上がったスティーブン様が給仕係からグラスを預かり、私に差し出してきた。
「水だよ。飲むといい」
受け取って飲むと、冷たい水が体に染み渡った。
「はぁ~、生き返った。
ありがとうございます」
「ジョイ、デザートを食べようとしているなら、やめた方がいい」
スティーブン様は、さっき私が一気飲みしたグラスの匂いを嗅いでいた。
「えーっ!
あのピンクのマカロン!」
料理を見た時に一番最初に目に入ったマカロンが、なぜか食べたくて仕方がなかった。
「さっきのワインは割と度数が高い。
しかも一気飲みだ。
グラスを渡した責任は俺にもある。
その・・・君は今夜は伯爵邸に泊まるんだろう。
明日、店が開いたら一番で伯爵邸に届けるよ。
マカロンも、パイもクッキーも、赤ちゃんも食べられ・・・・・・」
そこまでは聞こえていた。
でも、急にフワフワが強くなって、そこからは全く覚えていない。
翌朝目を覚ましたら、フカフカのベッドの上だった。
もちろんドレス姿ではなく、子爵令嬢の時ですら着たことのない上等なレースのついた夜着を着ていた。
いったい、どうやって帰ってきたんだろう。
その前に、どうして何も覚えてないんだろう。
しばらくすると、昨夜ドレスを着せてくれた侍女が来たので話を聞くと、喜んで教えてくれた。
「氷の公爵様がものっすごい心配顔でジョイ様を横抱きされて馬車から降りて来た時は、もう驚いたのなんのって!」
スティーブン様は、どうやら夜会会場で私が酔って倒れてからずっと横抱きで運んでくれたらしい。
そして、この部屋へと私を運んだ後も心配するあまりに部屋から出ようとせず、アンドリュー様に追い返されたらしい。
ああ・・・。
なんてことをやらかしたんだろう。
夜会会場で酔って倒れるなんて、普通有り得ない。
スティーブン様にも、アンドリュー様にも迷惑をかけて・・・。
着替えをして、アンドリュー様に謝罪に行こうとするも、既に仕事へ向かい数日は戻らないらしいと伝えられた。
自分のしでかしたことに沈んでいると、侍女が甘い香りのする箱を抱えて現れた。
「公爵様からですって」
これは・・・。
『明日、店が開いたら伯爵邸に届けるよ。
マカロンも、パイもクッキーも、赤ちゃんも食べられ・・・』
スティーブン様・・・・・・。
渡された箱の上には、薔薇が1本置かれていた。
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