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バグ
しおりを挟むヤンキー君と僕、名前だけ言って頭下げて、熊が軽く双方の自己紹介をした後、直ぐに仕事の説明をしてもらった。
「バグ、と一言で言っても優先順位があってS,A,B,C,Dとレベル分けされてるから、注意してね」
「ほー」
「はい」
「Sは単純操作でハングアップ、ブラックアウトしてしまうような、早急に修正を要請するような致命的なバグ」
「うん」
「はい」
「Aは特定の手順でハングしたり、プレイヤーに著しい不利益をもたらすバグ、後進行不能とかね、特定キャラがいるとクリアするための鍵が手に入らないみたいな」
「ほぅ」
「はい」
「Bはクリア自体はできるけど、プレイヤーにある程度不利益をもたらすバグ、課金したのに買った武器と見た目が違うみたいな」
「それはBなの? 直してくれよ!」
「はい」
「Cは明らかに不具合だが致命的ではないバグ、誤字脱字とか、漢字の間違いとかキャラの名前のバグは発売されたものでもたまにあるよね。画面が切り替わったら服の色が変わったとか」
「一番萎えるけどな、名前間違え」
「はい」
「Dは不具合とまでは言えないが、気になるバグ句点とか、まぁ自分は引っ掛かるなぁ程度のもの」
「うんうんなるへそ」
「はい」
熊の話を聞いてる間、ヤンキー君は見た目とは逆に僕より口数少く話を合図ちだけ打って聞いていた。
むしろ仕事なんだから僕も敬語使わなきゃ事象だな。
「ま、とりあえず今日プレイしてもらうのは明日ファイナルロムが上がるゲームだから、S以下のバグはエンバク回避するために修正なんかは無理かな。マスターアップする前に適当にイレギュラー操作してみたり進行チェックしてバグがあったら検索かけてみて、開発から修正しないって返信きてるバグだと思うから、で、レポートの書き方なんかを見といてよ。一度報告する体でレポート書いてみたりして、さ」
「ちょっと熊氏! 急に色々難易度高い事言ってない?!」
「うっす」
こんなの慣れだよ慣れって熊は大きなお腹撫で回してver85と書かれたロムを僕達のゲーム機にセットした。
「やるのはコンシューマーゲーム、コントローラー振ったりするダンスゲームなんだけど人気スマホゲームとタイアップしてるから利益確実、我らの部署は不利益を出さないための仕事だからよ~く見てね。二人で対戦しても良いからね」
「お、おう」
「はい」
「PCの中に仕様書が入ってるから、共有で使って? 何かあったら我のとこに聞きに来てね。まぁマスター前は弄らないのが基本だから今日はチェッカーの雰囲気でも掴んでくれたらいいかな」
「…………うん」
「わかりました」
「すみません無藤さん、こっちのゲームで聞きたい事が」
「うん、今行く。じゃぁね信長殿」
プヨンプヨンしてるだけだと思っていた熊ちゃんはちゃんと仕事してる人だった……。
しかもちょっと格好良いじゃないか、仕事する熊たん。
「さてと……じゃぁやってみようかな」
ちょっと背筋を伸ばして深く呼吸したら、コントローラーを先に握るヤンキー君がまさかのガムを噛みだしてこっち見てきた。
「ダンスゲームか……へぇたっつんこういうやるんスか」
「え? たっつん……? え? え? 僕の事?」
「うっす」
「何で急に距離縮めてくんの怖い! 今時の若者って皆そーなの?」
そういえばうちの弟も距離近いけど!
「いや、対戦とかするってまっさん言ってたんで仲良くなった方がいいかなって」
「あ、ああ、そっか。それは宜しく…………え? あ、熊とは知り合いなの? そのまっさ」
「いや、初対面っす」
「…………へぇ、そう」
やっぱ距離感可笑しくね。
頭の周りハテナだらけ! ってしてたらヤンキー君は半目でしかも僕より背高いから見下し気味な目で言ってきた。
「何見てんスか」
「んっと……あ、僕は何て呼ぼうかなって」
「ああ、名字にさんでいいスよ」
「え? こ、高杉さん?」
「何たっつん」
「高杉さん」
「たっつん」
「じょ、上下間系がっ!!」
「ああ、年齢とか気にしちゃうタイプ?」
「年齢…………もだけど初対面……」
「じゃないっしょ」
「ああ、そっか一度会ってるか」
何かやだなこのペース。
「で? たっつんいくつ?」
「2、28……」
「へぇけっこういってんだ」
「高杉さんは?」
「ん? オレ? いくつに見える?」
「あ、そうゆうのすげぇめんどくせぇからいいや」
「あ、そう。じゃやろっか」
え? ため口? 何で? 僕のが年上だと思うんだけど?!
…………まっいっかどうせ今日でお別れだし、何て呼ぼうと呼ばれようと構わないかな。
プレイボタン押したら、画面には麦わら帽子かぶった猿がマラカス持って踊り出した。
ふーん……レーティング表記はCERO Aだから全年齢対象のお子さま向けゲームか。
猿の主人公がダンス対決して曲が増えてくゲーム、コントローラーのボタン押すか振るとキャラが動く。
名前はタカにしてゲームスタート。
熊ちゃんが言ってた通り、明日ファイナルが上がるだけあって製品版レベルの完成度で素人の僕にバグなんて例えDでも見つからないなって感じだった。
で、タイアップしてるゲームって何だ?
って二人の間に置かれたPC見ようとしたら、高杉さんが覗き込んできた。
「仕様書見るんスか」
「うん、タイアップしてるゲームなにかなって…………」
マウス握ろうとしたら指輪ついてる手が上から乗っかってきたから手引っ込めた。
高杉さんは何も気にしない様子でマウス操作して、半眼がこっちをチラッと見る。
「ああ、ドレミガールズとコラボなんスね」
「ふぅん……ドレミガールズ……名前しか知らないや」
「楽器育てると女の子になるんスよ。オレやってるますヨ、しかもハマってますトライアングルめっちゃツンデレで可愛いっス」
「へぇ……」
楽器を……育てる?
まぁ戦艦も女の子になる世の中だし何も不思議じゃないな、ってゆうかコレ。
「こないだの声優ライブがまさにこのゲームだったっしょ」
「ああ、そっか! だから見覚えあったんだ!」
「友達から警備誘われてタダ見出来るかと思ったらオタクが熱狂的すぎてそれどころじゃなかったっス」
「ああ、そうだったんだ…………もう僕あの日の事あんま覚えてないや」
「え?」
「え?」
眠たそうにしてた目が開いて、何かわからんがビクッ! てしてしまったがな!!
「覚えてないんスか」
「え? な、何を? ああ、もちろん高杉さんに水貰ったのは覚えてますよ」
「水…………ああ、マジか」
「ん? 何? 何かあったっけ?」
「いや、何でもねっス」
高杉さんはPCから離れてヘッドホン着けてゲーム始めたから、僕もやろっかな。
備品の高そうなヘッドホンつけてゲームスタートしたら、良いヘッドホンだけあって曲が始まった瞬間、周囲がゲーム一色になった。
お子様向けなんて言ったけど、楽しいな……っつーか難しい。
ヤバイ、ただ遊んでるだけになってるけど楽しい!
夢中になって遊んでたら首元が急にヒヤッとして軽く体が跳ねた。
え? 何?!! 高杉さんが僕の首のとこに手ぐーにして指輪押し当てるんだけど意味不明。
「な、な、な、な、な、な、な、何?! 若者で流行ってるの? ソレ何?! 僕を殺すの?!!」
「ねぇたっつん彼女いんの?」
「は? 何の話?」
「そろそろ魔法使いになれるヤツだと思ってたのに、いんの?」
「え? どういう意味だソレ………………彼女なんかいないし」
「あ? じゃあビッチなん? あー……マジ意味わかんね」
「意味わかんねーのお前だろ」
手払い除けて首擦って何なんだよコイツ。
見てたら舌打ちして、目逸らすし。
「オレけっこーうんめーとか信じるタイプなんで」
「だから何の話」
「こっちの話」
「教える気ねーなら僕にすんなよ」
頭可笑しいのかコイツは、睨んでるのに全然こっち見ねぇし、ありがとう!
睨んでるとこ見られて睨み返されたらチビるとこでした。
で、ゲームもそこそこわかったから、キャラクター画面でも見ようかなぁって開いてみた。
何せドレミガールズは108人もいるしな。
あ、でも楽器擬人化してるって考えたら108人でも少ない方かな。
PCでドレミガールズのキャラクター紹介文読みながらゲームでもキャラクター画面標示させて、ふんふんふん……可愛いなぁ。
あれ、これさっきの子と似てるなぁ、へぇ双子なんだ~うんうん、タンバリンが幼女なの何となくわかる!
んで、ふむふむ画面いじくり倒してたら。
「あ、あれ?」
ん? 次のページが……。
「んんん?」
「どしたん、たっつん」
「あ……」
決して僕のせいではないんだけど、何かすげー悪い事した気になった。
「ハングアップした…………」
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