【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

文字の大きさ
45 / 96
六章 勇者

第四十五話

しおりを挟む
「と、とりあえず勇者と魔王について調べてみるか! ユウ、禁書庫の閲覧許可を取ってやるから自分で調べてみるか?」
「うん、お願いします」

 何も知らずに勇者にされてしまうのは嫌だ。勇者とは何なのか、魔王とは何なのかを知りたい。

「俺も付き合う」
「え!? ディルアスが? 調べるの付き合ってくれるの?」
「あぁ」

 意外だった。ディルアスはそういうことには関わりたくないのかと思っていた。だから私をマリー亭に預けて姿を消したのかと思っていた。

 何だかんだと竜の谷やら王宮の結界やらも付き合ってくれてるし、やっぱり優しい人なんだろうな。最近はよく喋ってくれてるし。

「ありがとう、じゃあよろしくね」

「しばらくは王宮に泊まると良い。父上には結界の件の報告はするが、お前たちのことは結界を張った当人であることは内密にしておく。表向きには俺の客だ。禁書庫は後で閲覧許可証を渡すから、自由に閲覧すると良い。その代わり何か分かったら、すぐ俺に報告してくれ」
「分かった」
「では今日はもう休め」


 部屋に戻るとお風呂と食事が用意されていた。身の回りの世話も侍女さんを付けてくれたが、食事の用意等以外の自分で出来ること以外は丁重にお断りした。
 豪華でとても美味しい食事とお風呂で、まったりと癒された。ルナとオブも洗ってみようかと思ったが嫌がられた。うん、嫌がると思った。

 お風呂から上がると寝衣が置かれ着ていた服がなくなっていた。
 こ、これを着て寝るのかぁ……いわゆるネグリジェ? レースたっぷりヒラヒラだな……。久しぶりにワンピースを着るとスースーする。しかも何か生地薄いし。恥ずかしいし。まあ誰に見せるでもないから良いか。早く寝よう。
 浴室から出るとルナとオブが驚いた顔をした。

『何だその格好は』
『ユウ、かわいいねぇ!』
「いや、言いたいことは分かるけど、突っ込まないで! これしかなかったし! 恥ずかしいし!」

 部屋の扉がノックされた。

「ユウ、俺だ。さっき閲覧許可証が届いた。明日から早速禁書庫へ行くか?」

 ディルアスの声だった。閲覧許可証! もう届いたんだ!
 扉を開けた。ディルアスも入浴後なのか良い匂いがして、サッパリした格好だった。
 その時お互いに「あっ!」となった。
 ディルアスは慌てて横を向き、すまん、と小さい声で言った。
 いや、こちらこそすいません、こんな格好で扉開けて!

「あ、いや、こんな格好でごめんなさい! 明日行く! 禁書庫行く!」

 扉の陰に隠れながら言った。

「分かった。では明日朝食後に迎えに行く。じゃあ明日」

 ディルアスは顔をそらしながら、そう言うとそのまま自分の部屋に帰った。
 扉を閉ざして、はぁぁあ、と深い溜め息を吐いた。この格好で出迎えはダメだったな……。
 もそもそとベッドに入り込んだ。
 あぁ、ふかふかベッド!しかも凄く広い! ルナとオブもベッドに乗って来たが余裕で広い!
 気持ち良いなぁ、と嬉しくなり眠りについた。

 翌朝、侍女さんが部屋をノックする音で目が覚めた。

「ユウ様、おはようございます。お目覚めですか? お支度お手伝いいたします」

 にっこりと侍女さんが言った。

「おはようございます」

 過度なお世話はお断りしたので、こちらがお願いしたことだけをしてくれる。

「お着替えはどれになさいますか?」

 クローゼットになぜかたくさんの服が用意されていた。昨日部屋を出ているあの短時間の間だけで用意されていたのか……凄いな。

 クローゼットを眺めてもどうもドレスばかり……いや、これ、どれを着たら良いのよ。
 悩んでいると侍女さんか中身を色々確認した後、一着取り出した。

「これはいかがですか?」

 とても高そうな肌触りの良さそうな生地だが、デザインはとてもシンプルなワンピースで、ほんのりピンク色で少しだけレースをあしらっていて上品で綺麗だった。

 他は何だか豪華そうなドレスばかりだし、一番良さげかな、と、侍女さんに感謝してそれを着ることにした。

 着替えている間に朝食を準備してくれて、着替え終わると席に着いた。

「とてもお似合いですよ」

 侍女さんは満足そうな顔をしていた。うん、侍女さんの見立てのおかげ。

「ありがとうございます」

 にこりと笑い合い、朝食をいただいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について

あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

処理中です...