46 / 96
六章 勇者
第四十六話
しおりを挟む
朝食を食べ終わり、侍女さんがお茶を入れてくれていると扉を叩く音がした。
侍女さんがお茶を置くと扉を開けに行ってくれた。
「ユウ様、ディルアス様がいらっしゃってます」
「入ってもらってください!」
慌ててお茶を飲み干そうとすると、部屋に入ってきたディルアスが止めた。
「ゆっくりで良い」
「あ、ありがとう」
ケホッとむせながらカップを置いた。侍女さんはディルアスにもお茶を勧めた。
ディルアスは促されるままに向かいに座った。
朝からお茶だなんて優雅だな、とぼんやり考えていた。
「今日は綺麗だな」
「えっ!?」
ぼそぼそと小さい声でディルアスが言った。
「いや、その、服がいつもと違うから……」
言いながら顔を背ける。
えっ、何? ディルアスが綺麗とか言った!? えっ!? 最近よく喋ってくれるな、とは思ってたけど、ディルアスってそんなキャラ!? 意外とチャラい人!?
いや、それはないか。自分で言っときながら思い切り照れてるし。そんな照れられるとこっちも照れるってば!
「あ、侍女さんが選んでくれた服だから! 綺麗だし可愛い服だよね!」
何かこっちまで照れるから、わざとらしく声が大きくなってしまった。
侍女さんがにこにこしている……。くっ、何だかムズムズする。
「とりあえず禁書庫行こうか!」
耐えられなくなった。うん、話題を変えちゃう。
元々禁書庫に行く予定だったしね!
お茶を飲み干すと、侍女さんが王宮の書庫まで案内をしてくれた。ルナとオブは部屋にお留守番。
ディルアスが書庫の管理人に閲覧許可証を見せる。
「禁書庫ですね。奥の部屋になります。どうぞ」
書庫の入り口からさらに奥に扉があった。そこは厳重に鍵がかけられており、管理人が鍵を開けた。
重々しい扉の向こうには手前の書庫よりは少ないがどれも古そうな本が置いてあった。
「この中の本はどれも持ち出しは出来ませんのでご注意ください」
「はい、ありがとうございます」
管理人は元いた場所に戻った。
「とりあえず勇者の記載のあるものを探すか」
「うん」
ひたすら勇者関連の本を探すために、片っ端から読んで行った。
しかし中々勇者に関する事柄が載る本が出て来ない。
「あー、疲れる!」
机に突っ伏して呟いた。
「中々出て来ないねぇ」
「あぁ、少し休憩するか」
いつの間にか昼になっていたため、一度書庫を出て昼食をお願いした。
「それならば気分転換にお外で昼食はいかがですか?」
侍女さんが書庫にずっと籠りっぱなしだったことに気を遣ってくれ提案してくれた。
「良いですね! お願いします!」
広い庭園の真ん中にあるガゼボに案内され、昼食を用意してくれた。
爽やかな風が吹き気持ちが良い。ワンピースの裾がヒラヒラと風に靡く。
「ユウ、ディルアス! 調べものはどうだ!? 捗っているか?」
昼食の準備最中にアレンとリシュレルさんが現れた。
「お? ユウ、中々似合ってるな!」
ニヤッとアレンは笑った。
「本当ですね、お似合いですよ」
リシュレルさんもにこりと微笑んだ。
いや、もう居たたまれないから触れないでー!
「ど、どうも」
「今日から早速行ってるんだろ? どうだ?」
リシュレルさんがこちらで殿下も昼食を、と呆れ顔で侍女さんたちに指示している。侍女さんたちが慌てて昼食用意を増やしている。バタバタだね、侍女さんたち大変だ。
「まだ全く何も……」
「全くかぁ」
今回はリシュレルさんも一緒にテーブルに着いた。
庭園に出る前に連れて来たルナとオブも一緒にみんなで昼食を取る。
「仕方ないですよ、元々勇者に関する記載はとても少ないと聞いていますし。記載を見付けるのはかなり労力がいるかもしれませんね」
「そうだなぁ。俺もどの本に載っていたとかも覚えてないし、俺が読んだ以上にさらにまだあるのかも分からんしな……」
その話を聞きながら溜め息を吐いた。
「地道に頑張るしかないな」
「そうだね……」
こういうときディルアスはやっぱり無表情なんだね。
「まあ気長に頑張れ」
アレンは苦笑しながら言った。
侍女さんがお茶を置くと扉を開けに行ってくれた。
「ユウ様、ディルアス様がいらっしゃってます」
「入ってもらってください!」
慌ててお茶を飲み干そうとすると、部屋に入ってきたディルアスが止めた。
「ゆっくりで良い」
「あ、ありがとう」
ケホッとむせながらカップを置いた。侍女さんはディルアスにもお茶を勧めた。
ディルアスは促されるままに向かいに座った。
朝からお茶だなんて優雅だな、とぼんやり考えていた。
「今日は綺麗だな」
「えっ!?」
ぼそぼそと小さい声でディルアスが言った。
「いや、その、服がいつもと違うから……」
言いながら顔を背ける。
えっ、何? ディルアスが綺麗とか言った!? えっ!? 最近よく喋ってくれるな、とは思ってたけど、ディルアスってそんなキャラ!? 意外とチャラい人!?
いや、それはないか。自分で言っときながら思い切り照れてるし。そんな照れられるとこっちも照れるってば!
「あ、侍女さんが選んでくれた服だから! 綺麗だし可愛い服だよね!」
何かこっちまで照れるから、わざとらしく声が大きくなってしまった。
侍女さんがにこにこしている……。くっ、何だかムズムズする。
「とりあえず禁書庫行こうか!」
耐えられなくなった。うん、話題を変えちゃう。
元々禁書庫に行く予定だったしね!
お茶を飲み干すと、侍女さんが王宮の書庫まで案内をしてくれた。ルナとオブは部屋にお留守番。
ディルアスが書庫の管理人に閲覧許可証を見せる。
「禁書庫ですね。奥の部屋になります。どうぞ」
書庫の入り口からさらに奥に扉があった。そこは厳重に鍵がかけられており、管理人が鍵を開けた。
重々しい扉の向こうには手前の書庫よりは少ないがどれも古そうな本が置いてあった。
「この中の本はどれも持ち出しは出来ませんのでご注意ください」
「はい、ありがとうございます」
管理人は元いた場所に戻った。
「とりあえず勇者の記載のあるものを探すか」
「うん」
ひたすら勇者関連の本を探すために、片っ端から読んで行った。
しかし中々勇者に関する事柄が載る本が出て来ない。
「あー、疲れる!」
机に突っ伏して呟いた。
「中々出て来ないねぇ」
「あぁ、少し休憩するか」
いつの間にか昼になっていたため、一度書庫を出て昼食をお願いした。
「それならば気分転換にお外で昼食はいかがですか?」
侍女さんが書庫にずっと籠りっぱなしだったことに気を遣ってくれ提案してくれた。
「良いですね! お願いします!」
広い庭園の真ん中にあるガゼボに案内され、昼食を用意してくれた。
爽やかな風が吹き気持ちが良い。ワンピースの裾がヒラヒラと風に靡く。
「ユウ、ディルアス! 調べものはどうだ!? 捗っているか?」
昼食の準備最中にアレンとリシュレルさんが現れた。
「お? ユウ、中々似合ってるな!」
ニヤッとアレンは笑った。
「本当ですね、お似合いですよ」
リシュレルさんもにこりと微笑んだ。
いや、もう居たたまれないから触れないでー!
「ど、どうも」
「今日から早速行ってるんだろ? どうだ?」
リシュレルさんがこちらで殿下も昼食を、と呆れ顔で侍女さんたちに指示している。侍女さんたちが慌てて昼食用意を増やしている。バタバタだね、侍女さんたち大変だ。
「まだ全く何も……」
「全くかぁ」
今回はリシュレルさんも一緒にテーブルに着いた。
庭園に出る前に連れて来たルナとオブも一緒にみんなで昼食を取る。
「仕方ないですよ、元々勇者に関する記載はとても少ないと聞いていますし。記載を見付けるのはかなり労力がいるかもしれませんね」
「そうだなぁ。俺もどの本に載っていたとかも覚えてないし、俺が読んだ以上にさらにまだあるのかも分からんしな……」
その話を聞きながら溜め息を吐いた。
「地道に頑張るしかないな」
「そうだね……」
こういうときディルアスはやっぱり無表情なんだね。
「まあ気長に頑張れ」
アレンは苦笑しながら言った。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる