44 / 96
六章 勇者
第四十四話
しおりを挟む
「ユウが勇者かもしれない……ということだが」
「ユウ様が勇者……」
リシュレルさんが驚いた顔した。
私も驚いた。信じられない。意味分からない。出来ればその話は忘れていて欲しかった。
「ケシュナの森に勇者が現れる、ということだったか?」
ディルアスが聞いた。
「あぁ、昔読んだ勇者に関する本にはそう書いてあった。魔王が現れる時、勇者も現れる。勇者は異世界人で、ケシュナの森の石碑の元に召還される、と」
「ユウ様は異世界人でケシュナの森に?」
リシュレルさんは私を見た。
「ユウはケシュナの森に倒れていた。俺が見付けた」
ディルアスが答えた。私は何も言えないでいた。
「ユウの魔力の高さといい、勇者である確率は高いだろうな……」
みんなが一斉にこちらを見た。
「いや、でも、そんなこと言われても……」
「うーん、勇者である確率は高いが、とりあえず今は魔王が現れた、とかは聞かないしな。様子を見ながら、勇者のことを調べるほうが良いんじゃないか?」
「勇者のことを調べる?」
「あぁ、ユウが勇者にしても、魔王についても魔物についても、俺たちはよく分かっていない。勇者だけに頼らなくても何とかなるのかもしれないしな」
「なるほど」
アレンに言われて、確かに調べてみるのは良いかもしれないと思った。訳も分からず勇者扱いされるのも嫌だし。
そう考えていると、突然ルナが人間化した。
「お、お前! あの時の……あぁ、ルナなんだな……」
アレンは思い出し、ディルアスとリシュレルさんは驚いた顔をしている。
そりゃいきなり人間が現れたら驚くよね。
「ルナ! 何でいきなり人間化してるの!?」
『我の前の契約者は勇者だった』
「あ、そういえば……」
「前の契約者が勇者!?」
『奴が魔王を倒したときは勇者の魔法しか効かなかった。あの同時の魔王がそうなだけかもしれないが。それと……』
ルナが私を見た。
『前の契約者とユウの魔力は似ていると思った』
「以前の勇者とユウの魔力が似ている、か……前はどんな風に魔王と戦うことになったんだ?」
『勇者のことも最初から勇者とは呼ばれていなかったし、魔王も最初、魔王とは知らなかった。普通に魔物と戦い、その中で普通の魔法では効かない魔物がいた。それが魔王だと後に分かっただけだ』
「勇者も魔王も最初は分からず、か……謎だらけだな。魔王を倒した後の勇者は?」
『消えた』
「消えた!?」
そう、以前ルナは消えたと言っていた。悲しそうだった。
「ルナ……」
『大丈夫だ』
ルナは心配するな、と笑った。
『ある日突然気配が全く感じなくなったのだ。どうなったのかは全く分からない。その後二度と会うことはなかった』
「そ、そうなのか……」
全員が沈黙した。
『我が知っていることはそれだけだ』
そう言うとルナは再び小型化し、膝の上で丸くなった。オブも心配そうにルナを見ていた。そんなオブと膝の上のルナを撫でた。
「ユウ様が勇者……」
リシュレルさんが驚いた顔した。
私も驚いた。信じられない。意味分からない。出来ればその話は忘れていて欲しかった。
「ケシュナの森に勇者が現れる、ということだったか?」
ディルアスが聞いた。
「あぁ、昔読んだ勇者に関する本にはそう書いてあった。魔王が現れる時、勇者も現れる。勇者は異世界人で、ケシュナの森の石碑の元に召還される、と」
「ユウ様は異世界人でケシュナの森に?」
リシュレルさんは私を見た。
「ユウはケシュナの森に倒れていた。俺が見付けた」
ディルアスが答えた。私は何も言えないでいた。
「ユウの魔力の高さといい、勇者である確率は高いだろうな……」
みんなが一斉にこちらを見た。
「いや、でも、そんなこと言われても……」
「うーん、勇者である確率は高いが、とりあえず今は魔王が現れた、とかは聞かないしな。様子を見ながら、勇者のことを調べるほうが良いんじゃないか?」
「勇者のことを調べる?」
「あぁ、ユウが勇者にしても、魔王についても魔物についても、俺たちはよく分かっていない。勇者だけに頼らなくても何とかなるのかもしれないしな」
「なるほど」
アレンに言われて、確かに調べてみるのは良いかもしれないと思った。訳も分からず勇者扱いされるのも嫌だし。
そう考えていると、突然ルナが人間化した。
「お、お前! あの時の……あぁ、ルナなんだな……」
アレンは思い出し、ディルアスとリシュレルさんは驚いた顔をしている。
そりゃいきなり人間が現れたら驚くよね。
「ルナ! 何でいきなり人間化してるの!?」
『我の前の契約者は勇者だった』
「あ、そういえば……」
「前の契約者が勇者!?」
『奴が魔王を倒したときは勇者の魔法しか効かなかった。あの同時の魔王がそうなだけかもしれないが。それと……』
ルナが私を見た。
『前の契約者とユウの魔力は似ていると思った』
「以前の勇者とユウの魔力が似ている、か……前はどんな風に魔王と戦うことになったんだ?」
『勇者のことも最初から勇者とは呼ばれていなかったし、魔王も最初、魔王とは知らなかった。普通に魔物と戦い、その中で普通の魔法では効かない魔物がいた。それが魔王だと後に分かっただけだ』
「勇者も魔王も最初は分からず、か……謎だらけだな。魔王を倒した後の勇者は?」
『消えた』
「消えた!?」
そう、以前ルナは消えたと言っていた。悲しそうだった。
「ルナ……」
『大丈夫だ』
ルナは心配するな、と笑った。
『ある日突然気配が全く感じなくなったのだ。どうなったのかは全く分からない。その後二度と会うことはなかった』
「そ、そうなのか……」
全員が沈黙した。
『我が知っていることはそれだけだ』
そう言うとルナは再び小型化し、膝の上で丸くなった。オブも心配そうにルナを見ていた。そんなオブと膝の上のルナを撫でた。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる