91 / 96
最終章 勇者と魔王
第九十一話
しおりを挟む
「あの時の結界……」
「え?」
この崩れかけた棟、あの時ディルアスと二人がかりで結界を張った棟だ!
「竜の谷から帰って来て王宮に張った結界、あの結界は魔物を打ち払っていった……」
「最大結界魔法……」
「あれならサクヤの中の魔物を打ち払えないかな!?」
「……やってみる価値はあるかもな……しかし……」
「しかし?」
「あの魔法は魔力消費が激しい。万が一ダメだった場合、もう後がない」
「…………」
確かにあの時も結界を張った後、急激な疲労で動けなかった。
背中密着のディルアスは今は思い出さない!
不自然に頭をブンブンと振って、みんなに怪訝な顔された。
「と、とにかくやってみない? このまま策がないまま防御ばかりしていても埒が明かない」
『まあそうだろうな。このまま魔力が尽きてやられるだけだ』
「そうだな……やろう」
他の結界を張っている余裕はない。全ての結界を消滅させた。
ディルアスと向かい合い、両手を繋ぐ。
『その間は我らが守る、急げ!』
ルナたちが迫り来る炎に何とか対抗しようとしてくれているが、ルナたちの炎は黒い炎に打ち消されてしまう。
その度にルナたちは炎に飲まれ呻き声を上げる。
「みんな!!」
『集中しろ!』
ルナたちが気になり集中出来ていないことを、炎に飲まれながらのルナに叱責され、泣きそうになるのを必死に堪える。
ダメだ、このままだと余計に時間がかかってルナたちが死んじゃう!
集中! 急げ! 集中!
ディルアスの魔力が流れ込む。私の魔力もディルアスに流れ込むのが分かる。
一つに溶け合い一つの魔力となる。
「いくぞ」
ディルアスの声と共にお互いの中心に結界が浮かび上がる。白い光る小さな球。
その球に全ての魔力を集中していく。
『グワァァァア!!』
ルナたちの咆哮が聞こえビクッとなるが集中だ!
集中!
光る球は徐々に大きくなり、私とディルアスを包み、さらに広がり、ルナ、オブ、ゼルもその中に。
黒い炎は結界を破ろうと纏わりついてくるが、今までの結界と違って破られない。いけそうか。
味方の人たちも結界の内部に入っていき、今までずっと結界を張り続けていた魔導士たちが、呆然とへたり込んだ。
ルナたちは焼け爛れた身体を休め、蓄積治癒で治るのを待つ。
異変に気付いたのかサクヤはこちらを向いた。
今まで周りのことは全く見えていなかったのに、ついにこちらを向いたのだ。
赤黒い瞳には怒りが見え、こちらを睨む。
「ガアァァァア!!」
獣の雄叫びのような叫び声を上げると、黒い炎は地上から空まで登る、炎の壁となり巨大な波のように押し寄せた。
「ユウ、耐えろ!」
巨大な炎に包まれ結界が揺らぐ。
集中だ! 全ての魔力を注ぐんだ! 広がれ! 広がれ!
結界は炎を消滅させていき、サクヤの足元まで伸びた。
サクヤは怒りと焦りとの表情で足元の結界に炎をぶつける。
「くっ」
ディルアスと二人がかりの結界でもサクヤには抑えられてしまうのか。
全ての魔力を注いでもダメなのか……。
ダメだ、魔力が尽きてしまう……。
「え?」
この崩れかけた棟、あの時ディルアスと二人がかりで結界を張った棟だ!
「竜の谷から帰って来て王宮に張った結界、あの結界は魔物を打ち払っていった……」
「最大結界魔法……」
「あれならサクヤの中の魔物を打ち払えないかな!?」
「……やってみる価値はあるかもな……しかし……」
「しかし?」
「あの魔法は魔力消費が激しい。万が一ダメだった場合、もう後がない」
「…………」
確かにあの時も結界を張った後、急激な疲労で動けなかった。
背中密着のディルアスは今は思い出さない!
不自然に頭をブンブンと振って、みんなに怪訝な顔された。
「と、とにかくやってみない? このまま策がないまま防御ばかりしていても埒が明かない」
『まあそうだろうな。このまま魔力が尽きてやられるだけだ』
「そうだな……やろう」
他の結界を張っている余裕はない。全ての結界を消滅させた。
ディルアスと向かい合い、両手を繋ぐ。
『その間は我らが守る、急げ!』
ルナたちが迫り来る炎に何とか対抗しようとしてくれているが、ルナたちの炎は黒い炎に打ち消されてしまう。
その度にルナたちは炎に飲まれ呻き声を上げる。
「みんな!!」
『集中しろ!』
ルナたちが気になり集中出来ていないことを、炎に飲まれながらのルナに叱責され、泣きそうになるのを必死に堪える。
ダメだ、このままだと余計に時間がかかってルナたちが死んじゃう!
集中! 急げ! 集中!
ディルアスの魔力が流れ込む。私の魔力もディルアスに流れ込むのが分かる。
一つに溶け合い一つの魔力となる。
「いくぞ」
ディルアスの声と共にお互いの中心に結界が浮かび上がる。白い光る小さな球。
その球に全ての魔力を集中していく。
『グワァァァア!!』
ルナたちの咆哮が聞こえビクッとなるが集中だ!
集中!
光る球は徐々に大きくなり、私とディルアスを包み、さらに広がり、ルナ、オブ、ゼルもその中に。
黒い炎は結界を破ろうと纏わりついてくるが、今までの結界と違って破られない。いけそうか。
味方の人たちも結界の内部に入っていき、今までずっと結界を張り続けていた魔導士たちが、呆然とへたり込んだ。
ルナたちは焼け爛れた身体を休め、蓄積治癒で治るのを待つ。
異変に気付いたのかサクヤはこちらを向いた。
今まで周りのことは全く見えていなかったのに、ついにこちらを向いたのだ。
赤黒い瞳には怒りが見え、こちらを睨む。
「ガアァァァア!!」
獣の雄叫びのような叫び声を上げると、黒い炎は地上から空まで登る、炎の壁となり巨大な波のように押し寄せた。
「ユウ、耐えろ!」
巨大な炎に包まれ結界が揺らぐ。
集中だ! 全ての魔力を注ぐんだ! 広がれ! 広がれ!
結界は炎を消滅させていき、サクヤの足元まで伸びた。
サクヤは怒りと焦りとの表情で足元の結界に炎をぶつける。
「くっ」
ディルアスと二人がかりの結界でもサクヤには抑えられてしまうのか。
全ての魔力を注いでもダメなのか……。
ダメだ、魔力が尽きてしまう……。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる