【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

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最終章 勇者と魔王

第九十二話

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「ガアァァァア!!」

 サクヤは結界に向かって力の限りの炎をぶつけている。
 こちらの魔力と集中力が切れそうだ。

「ぐっ」
「あぁ……」

 もう魔力が……ディルアスと握り締めている両手に力が入る。


 その時ディルアスではない温もりを両手に感じた。
 目を開けると私の手の上からさらに握り締める手が背後から伸びていた。
 振り向くと人間化したルナがいた。

 まだ完全に治癒されていない、焼け爛れた姿のルナが私を背後から包むように、両手を重ねていた。

『諦めるな!』

 ルナは荒い呼吸で叫んだ。
 両手からルナの魔力が流れてくる。

「ルナ! 魔力を使ったら怪我が!」
『大丈夫だ』

 後ろから抱き締めるように身体を寄せ、顔を近付け耳元で小さく言った。

『我の魔力も使え!』

 ルナの魔力が身体に巡る。温かい。泣きそうになる。でもまたルナに怒られるね。

 ディルアスも両手にさらに力を込めた。

『僕たちの魔力も!』

 オブとゼルも側に寄った。

「ありがとう、二人とも」

 私はオブの、ディルアスはゼルの宝玉に触れた。

「我々の魔力も使ってください!」

 結界内にいた魔導士たちが声を上げた。

「みんな、ありがとう」
「いけそうだ! このまま集中するぞ!」

 ディルアスが叫んだ。

 光る結界はサクヤの炎に押されていたが、ルナたちの魔力が加わり力が増した。
 さらに厚い壁となり、サクヤの炎を消滅させていく。

 それでもサクヤは炎を出し続け抵抗する。
 しかし結界は炎を完全消滅させ、サクヤの伸ばした手に結界が触れた。

「ガアァァァア!!」

 サクヤは叫び声を上げ、逃げようとするが、結界はサクヤの手を捕らえたまま離さない。
 何とか逃れようと必死に抵抗し、暴れまわる。

「このまま……このまま、いけー!!!!」

 全ての魔力を放出し結界を広げた。

「ギャアアァァア!!」

 結界は堰を切ったかのように一瞬にしてサクヤの身体を飲み込んだ。
 その一瞬でサクヤから黒い靄が溢れ出て消滅していった。

 結界はそのまま広がり、周りの黒い炎も全て消し去って消えた。


 私はそのまま意識を失った。
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