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最終章 勇者と魔王
第九十話
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サクヤの周りの黒い炎と靄は全てサクヤに吸収されていった。
「身体が……」
サクヤの身体が大きくなっていった。
そして肌は黒くなり、瞳は赤黒く光っている。
腕や脚からは皮膚が裂けるようにひび割れていき、角なのか爪なのか鋭いものが突き出して来た。
完全に異形なものへと成り果てた。
「アハハハ!! 俺が最強だ! 最強だ! 俺がこの世界で一番だ!」
声もサクヤの声ではなかった。ダミ声の低く聞き取りにくい声になっていた。
「サクヤ……」
「俺の力だ!!」
叫んだサクヤから黒い炎が噴き出した。
咄嗟にディルアスが結界を張ったが、他の魔導士たちは間に合わない。
慌てて障壁結界を魔導士や兵士たちの前に張ったが、そんなもので防げる威力ではなかった。
障壁結界は壊され、魔導士や兵士たちは吹き飛ばされ黒い炎に飲み込まれる。
彼らから悲鳴が上がる。
「ああ!!」
蓄積治癒だけでは間に合わない。
個別結界を張り走った。治癒を!
「ユウ!」
第二波が来た。
ルナが駆け寄ったかと思うと、私のすぐ後ろですぐさま振り返り炎を吐き出した。
しかし黒い炎はルナの炎を打ち消した。
「ルナ!!」
『グワァァァア!!』
炎に飲まれたルナは咆哮を上げ炎を打ち払った。
魔導士、兵士たちに広範囲治癒を行い、急いでルナの元に駆け寄った。
蓄積治癒で少しずつだが治癒していっている。
「良かった……」
泣きそうだった。
『大丈夫だ……今はまだ泣くな……』
苦しそうにルナは答えた。
うん、今は泣いている場合じゃない。うつむき堪えた。
顔を上げ、ルナに治癒魔法を。
ディルアスが駆け寄ってきた。
「サクヤは力を暴発させているだけのような気がする。周りに誰がいようと全く見えていない。今のサクヤはただ力を誇示したいだけなんだ。恐らく魔物の力のせいでサクヤ本人の意識がなくなっているんだ」
「じゃあもしサクヤの意識を取り戻すことが出来たなら……」
「止められるかもしれないな。可能性はかなり低いが。そもそもどうしたら意識を取り戻せるかも分からないが……」
次々に黒い炎が押し寄せる。辺り一面焼き尽くしていく。
魔導士たちは動ける者が出来る限りの結界を張る。
広範囲に風魔法と水魔法で嵐を巻き起こし、炎の勢いを弱めてみるが、さらに一層の炎が襲い来る。
サクヤ目掛け炎を纏わせた雷撃を矢のように放ってみるが、サクヤの身体に触れようかという瞬間、雷撃の矢は弾けとんだ。
「やっぱり攻撃魔法は一切効かないんだ……」
『ユウ!!』
黒い炎は生き物のようにうねり迫って来た。サクヤを狙った者への報復か。サクヤの意思なのか。
ルナが庇うように私の前に躍り出た。
嫌だ! またルナが傷付くのを見たくない!
慌てて結界を張る。さらに強化と五重!
触手のような動きで炎は次々に結界を貫いて行く。最後の一枚にヒビが入ったとき、ディルアスが水竜巻で炎を絡め取った。
「ディルアス、ありがとう」
ディルアス、ルナ、オブ、ゼル、そして私と、全員が一塊に集まった。
「キリがない……」
全員が疲弊している。結界を張り続けている魔導士たちも終わりのない戦いに心が折れそうになっている。
「どうしたら……」
その時ふと目の前の城の一部が気になった。
何だろう、その崩れかけた城の一ヶ所、棟になった所だ。
何かを忘れているような……。
「身体が……」
サクヤの身体が大きくなっていった。
そして肌は黒くなり、瞳は赤黒く光っている。
腕や脚からは皮膚が裂けるようにひび割れていき、角なのか爪なのか鋭いものが突き出して来た。
完全に異形なものへと成り果てた。
「アハハハ!! 俺が最強だ! 最強だ! 俺がこの世界で一番だ!」
声もサクヤの声ではなかった。ダミ声の低く聞き取りにくい声になっていた。
「サクヤ……」
「俺の力だ!!」
叫んだサクヤから黒い炎が噴き出した。
咄嗟にディルアスが結界を張ったが、他の魔導士たちは間に合わない。
慌てて障壁結界を魔導士や兵士たちの前に張ったが、そんなもので防げる威力ではなかった。
障壁結界は壊され、魔導士や兵士たちは吹き飛ばされ黒い炎に飲み込まれる。
彼らから悲鳴が上がる。
「ああ!!」
蓄積治癒だけでは間に合わない。
個別結界を張り走った。治癒を!
「ユウ!」
第二波が来た。
ルナが駆け寄ったかと思うと、私のすぐ後ろですぐさま振り返り炎を吐き出した。
しかし黒い炎はルナの炎を打ち消した。
「ルナ!!」
『グワァァァア!!』
炎に飲まれたルナは咆哮を上げ炎を打ち払った。
魔導士、兵士たちに広範囲治癒を行い、急いでルナの元に駆け寄った。
蓄積治癒で少しずつだが治癒していっている。
「良かった……」
泣きそうだった。
『大丈夫だ……今はまだ泣くな……』
苦しそうにルナは答えた。
うん、今は泣いている場合じゃない。うつむき堪えた。
顔を上げ、ルナに治癒魔法を。
ディルアスが駆け寄ってきた。
「サクヤは力を暴発させているだけのような気がする。周りに誰がいようと全く見えていない。今のサクヤはただ力を誇示したいだけなんだ。恐らく魔物の力のせいでサクヤ本人の意識がなくなっているんだ」
「じゃあもしサクヤの意識を取り戻すことが出来たなら……」
「止められるかもしれないな。可能性はかなり低いが。そもそもどうしたら意識を取り戻せるかも分からないが……」
次々に黒い炎が押し寄せる。辺り一面焼き尽くしていく。
魔導士たちは動ける者が出来る限りの結界を張る。
広範囲に風魔法と水魔法で嵐を巻き起こし、炎の勢いを弱めてみるが、さらに一層の炎が襲い来る。
サクヤ目掛け炎を纏わせた雷撃を矢のように放ってみるが、サクヤの身体に触れようかという瞬間、雷撃の矢は弾けとんだ。
「やっぱり攻撃魔法は一切効かないんだ……」
『ユウ!!』
黒い炎は生き物のようにうねり迫って来た。サクヤを狙った者への報復か。サクヤの意思なのか。
ルナが庇うように私の前に躍り出た。
嫌だ! またルナが傷付くのを見たくない!
慌てて結界を張る。さらに強化と五重!
触手のような動きで炎は次々に結界を貫いて行く。最後の一枚にヒビが入ったとき、ディルアスが水竜巻で炎を絡め取った。
「ディルアス、ありがとう」
ディルアス、ルナ、オブ、ゼル、そして私と、全員が一塊に集まった。
「キリがない……」
全員が疲弊している。結界を張り続けている魔導士たちも終わりのない戦いに心が折れそうになっている。
「どうしたら……」
その時ふと目の前の城の一部が気になった。
何だろう、その崩れかけた城の一ヶ所、棟になった所だ。
何かを忘れているような……。
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