何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第3話:お前、俺がいなきゃ生きていけないとか思ってないよな?

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アレスとの出会いから数ヶ月。
歩けるようになり、言葉もそこそこ話せるようになった今、私には新しい日課がある。

それは――アレスと常に一緒にいることだ。

「カノン様、今日はお昼寝の前に絵本を読みましょうか。」

「……いや、その、先に牛乳だけ……。」

「はい、カノン様の好きな温かめの牛乳をご用意しました。」

「っ、気が早いな!?」

メイドでも母でもない、幼馴染みの少年が、当然のように私の世話をしている現実。
その場にいた使用人が微笑ましげに目を細めていた。いや、慣れすぎじゃない?

アレスはクラヴィス公爵家の嫡男――つまり最高位の貴族家の跡取りだ。
それなのに、なぜか「自分の役目はカノン様のそばにいることです」とか平気で言ってのける。

「今日は庭に新しい花が咲いたそうです。一緒に見に行きませんか?」

「……アレス、君は暇なのか?」

「はい。カノン様と一緒に過ごすことが、僕の一番大切な予定ですから。」

将来有望すぎる。方向性がおかしい意味で。

私は普通に過ごしたいだけなのだが、アレスは何かと一緒にいたがる。
いや、わかってる。これは「親友ポジション」の彼の仕様だ。

ゲームの中では、どのルートを選んでも主人公のすぐそばにいて、見守り、助け、時に命を差し出すような男だった。

でも、その忠義の裏には、ほんの一滴の狂気が混ざっていた――というのが、プレイヤー間での通説だ。

そして今、私は思い知っている。

この男、ゲームの数倍で重い。

「カノン様は、今日もかわいいですね。」

「やめろ、無表情で言うな。」

「大丈夫です、将来は僕が守りますので。」

「え、将来の話!?」

だが、その言葉を否定できなかった。
なぜなら、私の両親も使用人たちも、当たり前のように「二人は一緒に育つもの」として扱っていたからだ。

このままいくと本当にアレスが騎士になって私を守る、みたいなルートに突入してしまうのでは……?
いや、というか確実にそうなる未来しか見えない。

そして、なぜかそれに対する抵抗感が、日々薄れていっている自分もいる。

カノン・ライエル・フィルディア、1歳と3ヶ月。
親友フラグが順調に立ちすぎてて、もう後戻りできない初夏の出来事である。
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