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第10話:平和な日常、それが一番尊いと思ってた
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「カノンー!はやくこいよー!」
「うるさい、リドル、待て!今準備してんだよ!」
今日も今日とて村の広場は大賑わいだった。
年長者たちは畑仕事に出払っていて、ここにいるのは私たちくらい。つまり、今この場所は“子供たちの王国”である。
「なにやってるの、カノン様。早くしないと陽が傾きますよ。」
「はいはい、わかってるってば、アレス。あんまり急かすと靴の紐がまた逆になるから!」
靴の紐すら巻いてくれるアレスの手をやんわり払いながら、私はようやく広場に到着した。
リドル、デニス、リンが既に輪になって遊んでいる。
「今日は何する?またかくれんぼ?」
「それともおままごと?この前はカミラちゃんがやってた役、リンがやってみたいなー!」
「デニスは今日も怪我係がいい!」
「なにその謎役職。」
わいわいと騒ぎながら始まる遊び。
アレスは一歩引いた位置で見守っているけれど、目はいつも私を追っている。
(……あの子、本当に変わらないなぁ。)
そう思いつつも、私は彼の存在に、少しだけ安心していた。
「カノン様、リンがまたお姫様役やるって言ってますけど……どうしますか?」
「うーん、じゃあ俺は従者役かな?……アレスは?」
「……僕は、護衛騎士です。」
「いつもじゃん、それ。」
リンが笑いながらツッコミを入れた。
そんな、当たり前のように流れていく日常。
皆が笑っていて、手を取り合っていて、誰一人取り残されていない。
きっとこれが、幸せってやつなんだろう。
その日の夕暮れ、遊び疲れて転がった皆の間に寝転びながら、私は空を見上げた。
「ああ、こうしてるだけで、いいよな……。」
本気でそう思った。
けれど、ふと、目を伏せた瞬間、アレスと目が合った。
その目は、どこか“哀しさ”に似た色をしていて。
「……アレス?」
「いえ、なんでも。今日は……楽しかったですね。」
いつもと変わらぬ微笑み。
でも、私はその奥にある「何か」を見逃していたのかもしれない。
カノン・ライエル・フィルディア、3歳と半年。
平穏な日常は、たしかに幸福だった。
……だからこそ、それが失われる日がくるとは、まだ思ってもいなかったのだ。
「うるさい、リドル、待て!今準備してんだよ!」
今日も今日とて村の広場は大賑わいだった。
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「はいはい、わかってるってば、アレス。あんまり急かすと靴の紐がまた逆になるから!」
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きっとこれが、幸せってやつなんだろう。
その日の夕暮れ、遊び疲れて転がった皆の間に寝転びながら、私は空を見上げた。
「ああ、こうしてるだけで、いいよな……。」
本気でそう思った。
けれど、ふと、目を伏せた瞬間、アレスと目が合った。
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「……アレス?」
「いえ、なんでも。今日は……楽しかったですね。」
いつもと変わらぬ微笑み。
でも、私はその奥にある「何か」を見逃していたのかもしれない。
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……だからこそ、それが失われる日がくるとは、まだ思ってもいなかったのだ。
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