何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第22話:好きだからって、全部を縛っていいわけじゃないって

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ある日の昼下がり。
アレスは珍しく、カノンのそばに“いない”。

その姿は、王立学園の中庭のベンチでひとり、書物をめくっていた。

表紙には、やや擦れた文字でこう書かれている。

『人と人との距離感 ~恋愛編~』

「……難しい。」

そんな彼に、最初に声をかけたのは――

「アレスくん、それ……“恋の本”?」

振り返ると、そこにはリンの姿。
明るく人懐こい笑顔に、アレスは戸惑いながらも頷いた。

「……僕は、カノン様のことが……とても、大切で。でも、どう接すればいいのか、わからなくなって。」

「そっか。うーん……恋ってね、“自分の気持ちを押しつけない”のが第一歩だよ。」

「押しつけ、ない……。」

「うん。“一緒にいたい”と“閉じ込めたい”は、ぜんぜん違うからね。」

その言葉に、アレスはハッとした顔をする。



別の日、彼は今度はミレイアのもとを訪れる。

「な、なによ。あたしに相談って……変なこと言ったらぶっ飛ばすからね!」

「……恋人ができたあなたに、聞きたいことがあります。“好かれる”ために、自分を変える必要は、ありますか?」

「……うーん。変えるっていうか、“合わせる”のは必要かも。でも……“変わらなくても愛してくれる人”の方が、本物って感じしない?」

「……なるほど。」

「まあ、あたしは変われないから、“変わらなくていいよ”って言ってくれる変態と付き合ってるけど!」

「ミレイアさん、それはそれで問題が……。」



そのまた後日。

アレスは、生徒会室のアイリーンにも声をかけた。

「……アレスさんからそんな話題が出るとは思いませんでしたけど。」

「僕は、“相手を幸せにしたい”という気持ちが、きっとあるのだと思っています。でも、それが空回りしてしまう。」

アイリーンは真剣な表情で頷いた。

「たぶん……それ、相手の気持ちを“想像”する力が足りてないのかも。私も、昔そうだったから。」

「……想像。」

「“この人はどうしたら嬉しいか”じゃなくて、“この人は何が嫌か、苦しいか”をちゃんと考えること。そこからじゃないかな。」



その夜、カノンのもとにアレスは言った。

「僕は、あなたの隣にいるために、“正しい好き”を、学んでいます。」

「……アレス?」

「だから、もう閉じ込めません。でも……“隣で、歩く方法”を、ゆっくり見つけさせてください。」

私は思わず笑った。

「いい先生、いっぱいだったろ?」

「……はい。あなたが“幸せにした”人たちですから。」

カノン・ライエル・フィルディア、7歳と半年。
彼のそばにいた少年は、少しだけ“大人の愛”に近づいた気がした。
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