何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第38話:言葉にしなければ、届かないものもあるから

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最近、アレスが――少し、離れている気がする。

歩くときは、半歩後ろ。
食事中は、余計な話をしない。
目が合うと、すぐに逸らす。

(……なんだこれ。)

ほんの一週間前までは、触れれば答えてくれた。
からかえば笑ってくれた。
甘えれば甘え返してくれた。

でも今のアレスは、“完璧な騎士”の顔に戻っていた。

(……やっぱり、俺が“試しすぎた”のか。)

(それとも、ちゃんと“好き”って言わなかったから……?)

その夜、私は自室の窓辺でひとり考えていた。

(このままじゃ、また“向こう側”に行っちゃう。)

アレスは、ずっと私の“特別”だった。
けど、きっと“私にとって”だけじゃない。

アレスにとっての“私は”、ちゃんと答えなければ――

消えてしまう。



翌日。

私は、彼を庭園に呼び出した。

「アレス。」

「はい。」

「……最近、俺のこと、避けてる?」

「……そのように見えましたか。」

「“見えた”っていうか……感じた。怖かった。」

アレスは眉を下げて、困ったように笑った。

「……すみません。僕がいけなかった。」

「違う。俺も……何も言わなかったから。」

私は大きく息を吸った。

「アレス。」

「はい。」

「俺……お前のこと、“好き”って思ってる。」

アレスの目が、わずかに揺れた。

「昔はよくわからなかった。でも今は、わかる。」

「お前が誰かに取られたら、俺、すごく嫌だって思う。触れたいって思う。褒められたいって思う。一緒にいないと、寂しいって思う。」

「それが、“好き”なんだろ?」

アレスは――長い沈黙のあと、膝をついて頭を下げた。

「……そんなことを、あなたの口から聞けるとは、思っていませんでした。」

「だから、逃げないで。……俺が、追いかけるから。」

その言葉に、アレスの肩が震えた。

カノン・ライエル・フィルディア、14歳と半年。
“気持ちを言葉にすること”が、“誰かを守る力になる”と知った夜だった。
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