何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第41話:たとえ王子でなくなっても、愛していると言えるから

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月が、静かに満ちていた。
王宮の高台、誰も来ない離れのバルコニーで、私はアレスと向かい合っていた。

風が、少し冷たい。
でもそれが、胸に灯る熱を際立たせてくれる気がした。

「……アレス。」

「はい。」

「もし、誰かに“その関係はおかしい”って言われたら。“王族として不適切”だとか、“身分違い”だとか――。」

「それは……きっと、現実に起こることでしょう。」

「でも、俺はそれでも、“お前を愛してる”って言いたい。」

アレスは、目を見開いた。

「王子じゃなくなっても、騎士じゃなくても、どっちかが傷ついても、それでも……一緒に生きていたいって、思うんだ。」

「それってたぶん、すごく我が儘で、すごく――。」

「すごく、恋だ。」

私は手を伸ばした。
アレスの頬に触れると、彼の体が少しだけ震えた。

「俺、ずっと傍にいたい。誰に否定されても、言える。“好きだ”って。」

「だから、約束してほしい。」

「“俺がどんな立場になっても、お前が俺を想ってくれるなら、傍にいてくれ”って。」

アレスは、そっと目を伏せて――そして、深く頷いた。

「誓います。
 あなたが王子であろうと、なかろうと。
 誰に否定されようと、あなたが“あなた”である限り、
 私はあなたを、全身全霊で愛し、支え続けます。」

その言葉は、祈りのようだった。

私はアレスの手を取り、指を絡める。

「じゃあ、契約成立だな。
 未来、どんなことがあっても、俺たちは――一緒にいる。」

「はい。今度こそ、永遠に。」

ふたりの影が、月に重なって長く伸びる。
その光が“ふたりを照らすものでありますように”と、ただ願った。

カノン・ライエル・フィルディア、15歳と数ヶ月。
“王子としての愛”でも、“騎士としての忠誠”でもなく、
“ひとりの人間としての未来”を、ようやく掴んだ夜だった。
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