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第二部 復興編
24.ランドスにUターン
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翌日の早朝、俺達はケルックに向けて出立した。
また強行軍で、明日の朝までに到着する予定だ。
俺はスザールと並行して馬を走らせながら、遠ざかる町の壁を振り返った。
「ネイモスは肝が据わった人だな。さすがは元騎士団長だ」
「昔から豪胆な方だったよ。部下の面倒見も良くてな。だから今も領民に慕われている」
うん、納得だ。
昨日の夕方、裏手の岩山に登って水脈までの深さを確認した後、ネイモスに戻れと言われた時は驚いた。
「確かに、この下に眠る水は喉から手が出るほど欲しいものだ。しかし、すぐに掘る手立ては無い。そして水が出た時の対策準備も出来ていない」
そしてランドスにはガザルの部下が近づいてきていて、対策を急がねばならないと。
そう言われて、返す言葉は出なかった。
「ところでアキラ、お前の魔法はいつまで有効だと言った?」
「え?……あの、俺がこの世界にいる間は効いてる筈ですけど…」
「ならば、ここの井戸に作ってくれた雨雲は、まだ当分効果が持続するのであろう?」
「あ………そうか…」
俺は言われて初めて、はたと解決策の糸口が見えた。
「分かったか?この都市はまだしばらくは持ちこたえるられるのだ。だから先に他のもっと困窮した地を救いに行ってくれ。その間にここの対策は立てておく。ここは最後で構わん」
目からウロコだった。
とにかくすぐに対策を打って、それからじゃないと次に行けないと思い込んでいた。
そうだ、ここの井戸は深いから下の方で何が起きてるかはガザルの部下が来たとしても分からない。
俺がこの世界にいる間は、作った雨雲は水を供給できるのだから、先に対策を進めておいてもらえばいいんだ。
う~ん、大局を見れる人だなぁ。
ネイモスは、ギリギリの所まで岩山の上を削る作業を進めつつ、水が出た時の貯水地も同時に確保しておくと言っていた。
更に、ガザルの部下は領主の権限で都市に立ち入らせないと言っていた。
つ、つええ。
ネイモスを信じて、ライド王子のチームにはケルックを飛ばして次の場所、サザレーに向かうように言伝鳥に連絡させた。
「サザレーまでは、ケルックから直接向かうと15日以上かかる。下準備の無いまま行ける距離じゃない。商隊などでも途中の王都に寄って補給をしてから向かうコースだ」
ケルックから王都まで10日、王都からサザレーまで10日。
あ~、二等辺三角形の頂点に王都で、両端にケルックとサザレーみたいな位置どりなんだな。
単純に5日はリードできる。
ただ、俺達が早めにライド王子達に追いつかないと、皆の食料が尽きる。
水だけは樽に雲が無限供給してるから飲み放題だけどな。
気合を入れねば。
馬を飛ばしまくった俺達は、夕方にはランドスに到着した。
俺らもへばり気味だが、馬の方がもっと辛かっただろうな。
うわ、全身汗だくになってるよ。
馬の首を軽く叩いてごめんなと謝って、ランドスの兵士に任せた。
エサと水を沢山もらって、ゆっくり休んでくれ。
スザールには副領主に状況を聞きに行ってもらい、残りの兵士達と俺はすぐに町の外れに向かった。
川の源流に当たる場所に着くと、まずは持って来たリルの枝を1本差す。
暑いから日除けにしたいのと、枝を使うからほどほどの高さまで成長させた。
更にその横に果物の枝とマルルの枝を刺して加速。
リルの枝を切って焚火を起こしつつ、交代で岩陰に出した雨雲でシャワーを浴びる。
眼の前に川があるのに入れないんだもんな。
「うお~、気持ちいい!」
兵士達が歓喜の雄叫びを上げている。
冷たい雨にしたからな、涼しくなるだろう。
生ったマルルの実を焼いて皆でかぶりつく。
「やっぱこれが最高だな~」
何度味わっても焼肉なんだよな、マルルの実は。
それもタレをつけた状態の味なんだよ。
最高かよ。
果物も齧っていると、スザールが来て呆れた顔で見られた。
「お前がいると、宿屋は商売上がったりだな」
人をお手軽な宿屋呼ばわりすんな。
でも兵士達にはすごく感謝されて、ちょっといい気分だったりする。
スザールはマルルの実をガブガブと頬張ると、素早くシャワーを浴びにいく。
「で、副領主からの報告は?」
シャワーを浴びてるスザールに聞くと、守備は上々だった。
あの後、予定通りライド王子達が到着。
言伝鳥ククルで頼んだように、アデルが聖女に扮してゾルゲの駆逐と川の水量を戻す宣言をした。
狂喜した住民達は、ライド王子の指示の元、柵の所に板を立ててプールを川から遮断する作業を手伝ってくれた。
また、源流であるこの場所の横にある岩に切れ目を何ヶ所か入れる作業にも従事してくれたらしい。
ライド王子達が連れてきた兵士だけじゃ時間がかかっただろうけど、住民が手伝ってくれたお陰で早く作業が進んだ。
王子達は俺らの到着を待たずに2日前にランドスを出発した。
ククルで連絡を飛ばしたから、今頃はケルックに寄らずに一路サザレーに向かっている筈。
「じゃあ、いっちょゾルゲを駆逐しようかね」
また強行軍で、明日の朝までに到着する予定だ。
俺はスザールと並行して馬を走らせながら、遠ざかる町の壁を振り返った。
「ネイモスは肝が据わった人だな。さすがは元騎士団長だ」
「昔から豪胆な方だったよ。部下の面倒見も良くてな。だから今も領民に慕われている」
うん、納得だ。
昨日の夕方、裏手の岩山に登って水脈までの深さを確認した後、ネイモスに戻れと言われた時は驚いた。
「確かに、この下に眠る水は喉から手が出るほど欲しいものだ。しかし、すぐに掘る手立ては無い。そして水が出た時の対策準備も出来ていない」
そしてランドスにはガザルの部下が近づいてきていて、対策を急がねばならないと。
そう言われて、返す言葉は出なかった。
「ところでアキラ、お前の魔法はいつまで有効だと言った?」
「え?……あの、俺がこの世界にいる間は効いてる筈ですけど…」
「ならば、ここの井戸に作ってくれた雨雲は、まだ当分効果が持続するのであろう?」
「あ………そうか…」
俺は言われて初めて、はたと解決策の糸口が見えた。
「分かったか?この都市はまだしばらくは持ちこたえるられるのだ。だから先に他のもっと困窮した地を救いに行ってくれ。その間にここの対策は立てておく。ここは最後で構わん」
目からウロコだった。
とにかくすぐに対策を打って、それからじゃないと次に行けないと思い込んでいた。
そうだ、ここの井戸は深いから下の方で何が起きてるかはガザルの部下が来たとしても分からない。
俺がこの世界にいる間は、作った雨雲は水を供給できるのだから、先に対策を進めておいてもらえばいいんだ。
う~ん、大局を見れる人だなぁ。
ネイモスは、ギリギリの所まで岩山の上を削る作業を進めつつ、水が出た時の貯水地も同時に確保しておくと言っていた。
更に、ガザルの部下は領主の権限で都市に立ち入らせないと言っていた。
つ、つええ。
ネイモスを信じて、ライド王子のチームにはケルックを飛ばして次の場所、サザレーに向かうように言伝鳥に連絡させた。
「サザレーまでは、ケルックから直接向かうと15日以上かかる。下準備の無いまま行ける距離じゃない。商隊などでも途中の王都に寄って補給をしてから向かうコースだ」
ケルックから王都まで10日、王都からサザレーまで10日。
あ~、二等辺三角形の頂点に王都で、両端にケルックとサザレーみたいな位置どりなんだな。
単純に5日はリードできる。
ただ、俺達が早めにライド王子達に追いつかないと、皆の食料が尽きる。
水だけは樽に雲が無限供給してるから飲み放題だけどな。
気合を入れねば。
馬を飛ばしまくった俺達は、夕方にはランドスに到着した。
俺らもへばり気味だが、馬の方がもっと辛かっただろうな。
うわ、全身汗だくになってるよ。
馬の首を軽く叩いてごめんなと謝って、ランドスの兵士に任せた。
エサと水を沢山もらって、ゆっくり休んでくれ。
スザールには副領主に状況を聞きに行ってもらい、残りの兵士達と俺はすぐに町の外れに向かった。
川の源流に当たる場所に着くと、まずは持って来たリルの枝を1本差す。
暑いから日除けにしたいのと、枝を使うからほどほどの高さまで成長させた。
更にその横に果物の枝とマルルの枝を刺して加速。
リルの枝を切って焚火を起こしつつ、交代で岩陰に出した雨雲でシャワーを浴びる。
眼の前に川があるのに入れないんだもんな。
「うお~、気持ちいい!」
兵士達が歓喜の雄叫びを上げている。
冷たい雨にしたからな、涼しくなるだろう。
生ったマルルの実を焼いて皆でかぶりつく。
「やっぱこれが最高だな~」
何度味わっても焼肉なんだよな、マルルの実は。
それもタレをつけた状態の味なんだよ。
最高かよ。
果物も齧っていると、スザールが来て呆れた顔で見られた。
「お前がいると、宿屋は商売上がったりだな」
人をお手軽な宿屋呼ばわりすんな。
でも兵士達にはすごく感謝されて、ちょっといい気分だったりする。
スザールはマルルの実をガブガブと頬張ると、素早くシャワーを浴びにいく。
「で、副領主からの報告は?」
シャワーを浴びてるスザールに聞くと、守備は上々だった。
あの後、予定通りライド王子達が到着。
言伝鳥ククルで頼んだように、アデルが聖女に扮してゾルゲの駆逐と川の水量を戻す宣言をした。
狂喜した住民達は、ライド王子の指示の元、柵の所に板を立ててプールを川から遮断する作業を手伝ってくれた。
また、源流であるこの場所の横にある岩に切れ目を何ヶ所か入れる作業にも従事してくれたらしい。
ライド王子達が連れてきた兵士だけじゃ時間がかかっただろうけど、住民が手伝ってくれたお陰で早く作業が進んだ。
王子達は俺らの到着を待たずに2日前にランドスを出発した。
ククルで連絡を飛ばしたから、今頃はケルックに寄らずに一路サザレーに向かっている筈。
「じゃあ、いっちょゾルゲを駆逐しようかね」
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