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第二部 復興編
25.ゾルゲの駆逐
さて、問題のゾルゲの駆逐はどうやるかというと、簡単に言えば干乾びさせる。
生態は、スザールが知っていたので駆除方法は簡単だった。
ゾルゲは北の寒い地方に生息する生物だけに、熱や乾燥には極端に弱いらしい。
陸上に上げて乾燥すると、萎びて死ぬ。
ならば、ということで大胆な手段を取ることにした。
どちらにしてもこの水脈は細くなってきていて、近いうちに枯渇する水源なので、脇の岩山を崩して一気に口を塞いでしまう。
ゾルゲが死んだら、近くにあった太い水脈を開けて一気に流してしまうのだ。
大胆だけど効果的で、しかも手っ取り早い。
ここ大事な?
時間勝負だから。
もう夕陽がかなり傾いてきているから、急いで準備に入ろう。
スザールが来るのを待っていたのは、住民達に今夜は川の傍から離れていることを副領主から周知徹底してもらっていたからだ。
もしも想定外の事が起きて、川の水が溢れて住宅地にゾルゲが流入してしまったら一大事だもんな。
俺はゾルゲで痛い目を見ているからね。
安全第一で。
さっき成長させたリルの木の枝をバンバン切って岩山に向かい、ライド王子達が作っておいてくれた隙間に間隔を空けて刺していく。
この作業を皆で手分けして行う。
数か所の岩山で作業が完了したら、全員安全な位置まで下がる。
「行くぞ!」
掛け声をかけてから、俺はリルの枝に一気に成長加速をかけた。
メキメキと嫌な音を立てながら枝が伸びて太くなっていく。
岩のひび割れがどんどん広がっていき、崩落は一瞬だった。
ドドーン!と地響きと共に岩が次々と川に落下し、湧き出ている場所を埋めていく。
地震というものを体験したことが無い兵士達は、腰を抜かしてへたり込んでいる。
さすがのスザールもちょっと及び腰だ。
俺は地震大国ニッポン育ちだから、これくらいじゃ全く動じない。
震度3くらいは日常茶飯事だからね。
「おお、うまくいったみたいだな」
水煙と水柱が治まると、岩に埋められて水の流れが止まる。
よし、成功だ。
「これで明け方まで待って、水がほぼ引いたら乾燥に入ろう」
「うん、そうだな」
暗い中でゾルゲがいる所には近づけないし、これで少し休めるな。
は~、くたびれた。
ハードな工程だったから、クタクタだ。
川の見張りは必要だから交代で仮眠を取ろうとしていた所へ、町の方から数人の男達がやってきた。
「お~い、あんたら大丈夫か?」
ん?聞き覚えがある声だ。
「あ、タロスさんか」
先頭に立っていたのは、先日俺がゾルゲの血で火傷した時に助けてくれたタロスさんだった。
「さっきすごい音と地揺れがあったから、びっくりしたよ」
「ああ、聖女様がお力を使われて、川を埋めたからな」
「は?埋めたって?……おわっ!」
目が点のまま俺らの先を見たタロスさんも、腰を抜かさんばかりに驚いていた。
岩山が派手に崩壊してたらビビるわな。
「大丈夫だよ、ゾルゲを日干しにしたら川は戻して下さるらしい」
「そ、そうなのか………聖女様って、かなり大胆なんだな……」
有り難いことに、見張りはタロスさん達がやってくれるというので、俺達は全員朝まで爆睡させてもらった。
丸一日寝てないし、重労働だったからマジ助かったわ。
お礼として残っていた果物やマルルの実を渡したら、スゲー喜んでくれた。
朝日が昇って、眩しさで目が醒めた。
「う~ん、良く寝たぁ」
若いからね、一晩ぐっすり寝れば疲れは取れる。
強張った体を起き抜けのストレッチでほぐしてから、俺は昨日焚火していた所に向かう。
「おう、起きたか」
スザールはもう起きて朝飯を食べていた。
さすが、鍛え方が違うわ。
「特にマズい事は起きなかったか?」
果物を齧りながら聞くと、スザールは頷く。
「大丈夫だ。飯を食ったら出発しよう」
残りの兵士達も起きてきて素早く朝飯を食べると、見張りをしてくれたタロスさん達に礼を言って出発した。
川の傍まで下りると、黒い塊が結構ある。
げっ、これ全部ゾルゲかよ。
こんなにいたとは。
「こりゃあ、普通に駆逐してたら何年もかかる量だな」
スザールも顔を顰めて眺めてる。
デカい口をパクパクさせてウネっている姿がエグい。
陽が昇って川底の水が蒸発し始めるのを待って、それを加速する。
水蒸気がボワっと上がって、川底が干上がっていく。
「よし、このまま下流に向かって移動していくぞ」
ゾルゲ日干し作戦開始だ。
生態は、スザールが知っていたので駆除方法は簡単だった。
ゾルゲは北の寒い地方に生息する生物だけに、熱や乾燥には極端に弱いらしい。
陸上に上げて乾燥すると、萎びて死ぬ。
ならば、ということで大胆な手段を取ることにした。
どちらにしてもこの水脈は細くなってきていて、近いうちに枯渇する水源なので、脇の岩山を崩して一気に口を塞いでしまう。
ゾルゲが死んだら、近くにあった太い水脈を開けて一気に流してしまうのだ。
大胆だけど効果的で、しかも手っ取り早い。
ここ大事な?
時間勝負だから。
もう夕陽がかなり傾いてきているから、急いで準備に入ろう。
スザールが来るのを待っていたのは、住民達に今夜は川の傍から離れていることを副領主から周知徹底してもらっていたからだ。
もしも想定外の事が起きて、川の水が溢れて住宅地にゾルゲが流入してしまったら一大事だもんな。
俺はゾルゲで痛い目を見ているからね。
安全第一で。
さっき成長させたリルの木の枝をバンバン切って岩山に向かい、ライド王子達が作っておいてくれた隙間に間隔を空けて刺していく。
この作業を皆で手分けして行う。
数か所の岩山で作業が完了したら、全員安全な位置まで下がる。
「行くぞ!」
掛け声をかけてから、俺はリルの枝に一気に成長加速をかけた。
メキメキと嫌な音を立てながら枝が伸びて太くなっていく。
岩のひび割れがどんどん広がっていき、崩落は一瞬だった。
ドドーン!と地響きと共に岩が次々と川に落下し、湧き出ている場所を埋めていく。
地震というものを体験したことが無い兵士達は、腰を抜かしてへたり込んでいる。
さすがのスザールもちょっと及び腰だ。
俺は地震大国ニッポン育ちだから、これくらいじゃ全く動じない。
震度3くらいは日常茶飯事だからね。
「おお、うまくいったみたいだな」
水煙と水柱が治まると、岩に埋められて水の流れが止まる。
よし、成功だ。
「これで明け方まで待って、水がほぼ引いたら乾燥に入ろう」
「うん、そうだな」
暗い中でゾルゲがいる所には近づけないし、これで少し休めるな。
は~、くたびれた。
ハードな工程だったから、クタクタだ。
川の見張りは必要だから交代で仮眠を取ろうとしていた所へ、町の方から数人の男達がやってきた。
「お~い、あんたら大丈夫か?」
ん?聞き覚えがある声だ。
「あ、タロスさんか」
先頭に立っていたのは、先日俺がゾルゲの血で火傷した時に助けてくれたタロスさんだった。
「さっきすごい音と地揺れがあったから、びっくりしたよ」
「ああ、聖女様がお力を使われて、川を埋めたからな」
「は?埋めたって?……おわっ!」
目が点のまま俺らの先を見たタロスさんも、腰を抜かさんばかりに驚いていた。
岩山が派手に崩壊してたらビビるわな。
「大丈夫だよ、ゾルゲを日干しにしたら川は戻して下さるらしい」
「そ、そうなのか………聖女様って、かなり大胆なんだな……」
有り難いことに、見張りはタロスさん達がやってくれるというので、俺達は全員朝まで爆睡させてもらった。
丸一日寝てないし、重労働だったからマジ助かったわ。
お礼として残っていた果物やマルルの実を渡したら、スゲー喜んでくれた。
朝日が昇って、眩しさで目が醒めた。
「う~ん、良く寝たぁ」
若いからね、一晩ぐっすり寝れば疲れは取れる。
強張った体を起き抜けのストレッチでほぐしてから、俺は昨日焚火していた所に向かう。
「おう、起きたか」
スザールはもう起きて朝飯を食べていた。
さすが、鍛え方が違うわ。
「特にマズい事は起きなかったか?」
果物を齧りながら聞くと、スザールは頷く。
「大丈夫だ。飯を食ったら出発しよう」
残りの兵士達も起きてきて素早く朝飯を食べると、見張りをしてくれたタロスさん達に礼を言って出発した。
川の傍まで下りると、黒い塊が結構ある。
げっ、これ全部ゾルゲかよ。
こんなにいたとは。
「こりゃあ、普通に駆逐してたら何年もかかる量だな」
スザールも顔を顰めて眺めてる。
デカい口をパクパクさせてウネっている姿がエグい。
陽が昇って川底の水が蒸発し始めるのを待って、それを加速する。
水蒸気がボワっと上がって、川底が干上がっていく。
「よし、このまま下流に向かって移動していくぞ」
ゾルゲ日干し作戦開始だ。
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