【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
59 / 122
ウインティア王国編

59

しおりを挟む
エリーの乗ったウォルシュ家の馬車が校門から入ってくると周りが騒ぎ出した。

先に降りてきたのはアランだ。
令嬢たちの悲鳴が上がるが中に手を差し伸べてレイをエスコートする。
さすが慣れたもんだな。

次は俺の出番だな。
続いてエリーが降りてくる。
差し出す俺の手を見てエリーがクスッと俺に笑顔を見せる。
朝からエリーが可愛い。
抱きしめたい!

エリーが笑顔を見せると周りが静まり返るのも慣れてきたな。
前から思っていたがエリーはみんなの視線に全く気が付かないから気にもしない。

教えて意識しだしたら困るのは俺だ。
黙っているのが正解だな。

その時エリーが俺の手をギュッと握り返してきた。

「今日もお弁当を作ってきたの。ルフランも一緒に食べるでしょ?」と俺を見上げながら小さい声で聞くんだよ。
もうエリーが可愛すぎる。

「ありがとう当然一緒に食べるよ」

誰にもエリーの手作り弁当は渡さない。

そのまま手を繋いで教室まで歩く。
これが毎日続くんだぞ。最高だ。
帰ってきてくれてありがとう。

幸せだな。
諦めていたエリーが俺の手の届く所に帰ってきたんだ。
もうこの小さな手を離すことは出来そうにない。
だからエリー、俺のことを好きになってくれ。



今日編入するこの3人は俺と同じクラスだ。

教師が来る前に俺の隣にエリーを座らせた。
誰にも文句は言わせない。

3人とも注目を集めているな。
もうこれは仕方がない。

エリーとアランは当然だが、王子妃教育も終わらせているレイの洗練された佇まいは羨望の眼差しを向けられている。

アトラニア王国でのレイは元婚約者のせいで周りから蔑まれていた。
それにレイを嘲笑う声ばかりが聞こえていた。
それでもレイは折れることなく背筋を伸ばし堂々と前を向いていた。
そんなレイの強さを俺も見てきた。

今もアランの隣にいるレイに、嫉妬や妬みの目を向けてくる令嬢もいる。
でもレイのことはアランが守るだろう。

教師が入ってくると3人の自己紹介が始まった。

「アトラニア王国に留学していたエリザベート・ウォルシュです。皆さん仲良くして下さいね」
エリーそこで微笑むな!
俺は周りを威嚇するように睨んだ。

「僕も姉と一緒にアトラニア王国に留学していたアラン・ウォルシュです。隣にいるのが僕の婚約者です。僕の可愛い婚約者にちょっかい出さないで下さいね」

アランは笑顔でクラスの男たちを見渡す。

「もう!アランったら!アトラニア王国から留学してきましたレイチェル・ビジョップです。よろしくお願い致します」

さすが綺麗な礼だな。

休憩時間になるとクラスメイト達がこっちをチラチラ見てくる。
3人が気になるのは分かる。
だが、誰もエリーには近づかせないからな!
それにエリーも気にしていないようだしな。

「ルフラン、後で学園内を案内してね。ここも広いから迷っちゃう」

可愛いお願いだな。

「昼休みか放課後がいいな」

「ルフランに任せるわ」

案内は放課後にしよう。
エリーと少しでも長く一緒にいたいからな。

「そうだね放課後に案内してもらおうか」

「ええ、それがよさそうね」

アラン!レイ!ニヤニヤするな!
こいつら俺の心を読めるのか?




エリーと手を繋いでカフェのテラスまで歩いて行く。

昨日よりも重くなっているバスケットには、後ろから着いてくるアランとレイの分も入っているのだろうな。
邪魔だが仕方がない。

テーブルいっぱいに広げられた弁当は色とりどりで美味しそうだ。

そこにゾルティーが側近候補を連れて現れた。

「美味しそうだね」

「ご機嫌ようゾルティー殿下。私の手作りでよろしかったらご一緒しませんか?」

エリーが優しいのは知っている。
でも弟だろうがエリーの手作りは食べさせたくない。

「いいのかな?」

ゾルティー当然断るよな?

「ええ是非!お連れの方もどうぞ」

エリーーーもう人を増やすな!
候補の2人も頬を染めるなよ。

「「ありがとうございます」」

お前ら遠慮しろよ。

座っているテーブルは5人しか座れない。
もちろんゾルティーが残りの椅子に座った。

隣のテーブルには側近候補の2人と何故かガルザークが座った。

「足りなかったら声をかけてね。おかわりもあるわよ」

3人にも笑顔でそう言っていた。
コイツら図々しいな。

「本当に美味しいんだけど、全部エリー嬢が作ったの?」

「そうだよ。沢山あるからいっぱい食べてね」

ゾルティー調子に乗るなよ。

「ほらルフランも食べて」

エリーは俺にだけ食べさせてくれる。
この特別感が何とも言えないな。

目の前でレイもアランに食べさせているな。

隣のテーブルの3人は無言で一心不乱に食べている。
お前ら味わって食えよ。

「ねえエリー嬢、今度の休みにランに会いに行ってもいいかな?」

「もちろん!ルフランも来るでしょう?」

「当然だ」

「じゃあ天気が良かったらバーベキューしない?職人さんに頼んで作ってもらったあれ、持って帰ってきたんでしょう?」

レイ、そのバーベキューとはなんなんだ?

俺とゾルティーが首を傾げるていると。

「いいわね。当日までルフランもゾルティー殿下も楽しみにしていてね」


「「あの~私たちも参加してはダメでしょうか?」」

厚かましいな、ゾルティーの側近候補。

「いいわよ。ね?」

「ああ、多い方が楽しいからね」

「そうね。みんなとバーベキューするの楽しみだわ」

おい!アランとレイ!2人とも断らないのか?

「では俺も行かせていただきます」

ガルザークなんでお前まで・・・

俺が一言も発せない間に決まってしまった。


沢山食べて欲しいからお腹を空かせて来てね。
エリーが笑顔でそう言うと、3人とも何度も頷いていた。

まあ、コイツらは別にエリーを狙っていなさそうだし参加を許してやるか。



俺の周りがこんなに賑やかなのも久しぶりだな。







~ゾルティー殿下+側近候補2人の会話~


「あんなに綺麗なウォルシュ嬢の手料理が食べられるなんてな」

「しかも、すごく美味しかったね。」

「次の休みが楽しみだな」

「今度は何を食べさせてくれるのかな?」

「2人とも分かっていると思うがエリー嬢にだけは、手を出すなよ」

「「当然です。まだ死にたくありません」」

「まあ、私も楽しみなんだけどね。それより兄上の顔見た?」

「独占欲丸出しでしたね」

「ずっと無表情の顔しか見たことがありませんでしたが、ウォルシュ嬢の前では別人でしたね」

そんなんだよね。
まだ兄上の表情は動かないままなんだけど、エリー嬢の前だけでは鋭かった目は優しくなり、口角が上がるんだよね。

「面白いよね。そうそうウォルシュ家にはエリー嬢の飼っている犬がいるんだけどね、大型犬だから苦手なら来ない方がいいよ」

「大丈夫です。私は犬が好きですから」

「私も犬を飼っているので大丈夫です」

「すっごく可愛いんだよ。ランて名前で人なつこい子なんだよ。会うのが楽しみなんだ。私と同じ金色の瞳なんだよ」
しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

処理中です...