【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
83 / 122
ウインティア王国編

83

しおりを挟む
報告によるとあの女は父親から3日間の謹慎を言い渡されたそうだ。

いつもの平和な日常に戻っても3日などすぐに経ってしまう。

また俺たちの前をウロチョロしだした。
反省の色はなさそうだ。

「最初は面白かったですが、もうお腹いっぱいですね。明日からは王族専用の部屋でランチにしましょうか?」

「「それがいいと思います」」

ゾルティーの言葉に即答するグレイとザック。
確かにあれは目障りだ。
エリーも他のメンバーも頷いている。

次の日から場所を変えると、学園中を俺たちを探して走り回っていたようだ。



外からの目がなければ、この部屋も俺の執務室にいるような軽い会話になる。

ここぞとばかりにグレイとザックが場の雰囲気を盛り上げ、エリーもお腹を抱えて笑っている。

こんな2人だがゾルティーの側近だけでなく、護衛ができるほどの腕もある。

俺にもしもの事があっても、この2人ならゾルティーを支えられるだろう。




影に調べさせた結果やはりゾルティーの婚約者候補の家門に怪しい動きをしているところがあると報告があった。

考えられるのは俺を排除し、ゾルティーを王位につけること。

もしくは単純に他の候補者を押し退けゾルティーの婚約者に収まること。

だが今のゾルティーの婚約者候補の4人は元々は俺の婚約者にと執拗く推してきた家門の娘たちだ。

それを知っているゾルティーは今の候補者達の中からは選ぶ気はなさそうだ。
あいつのことだからボロを出すまで泳がせているのだろう。

野心ある奴らは裏で何かしら後暗いことをしていることが多い。
奴らが動き出す前に証拠を押えて終わらせるか。


「ルフィ?何を考えているの?」

心配そうに俺の顔を覗き込むエリー。
今はエリーとの大切な時間だ。
考えるのは後にしよう。

「・・・エリーのこと」

「嘘はダメよ。私には分かるんだからね」

顔には出していないつもりだったんだがな。

「今は聞かないわ。でもルフィは一人じゃないの。忘れないで」

ああ、そうみたいだな。
お前たちまで心配そうな顔をするなよ。
帰ったら、また執務室で相談するよ。





~フィリア・ライベルン侯爵令嬢視点~

3日間の謹慎が解けて登校してからも、アピールを続けていたら突然彼らがテラスに現れなくなったの。

だから、朝から待ち伏せしようと思ったわ。

だけどメイドに命じて早く起こさせても、わたくしの体はベッドの中が好きみたい。
ギリギリまでベッドから出られないの。

いつもギリギリになるわたくしを、お姉様は待ってくれなくなった。
たった2回遅刻しそうになったぐらいで!
本当、意地悪な姉だわ。

朝と昼がダメなら放課後。
そう思って授業が終わるとアラン様を探して目の前で転んでみた。
また気づかれなかったみたい。

まっすぐ前を見て歩くアラン様には足下にわたくしがいても見えないのね。
仕方がないわ。
わたくし小柄だもの。

まあ!
またルフラン殿下が後ろにいたのね!
手を伸ばそうとして止めた。
また取り押さえられて、犯罪者扱いされるのはごめんよ!
同じ失敗は繰り返さないわ!


なら次はゾルティー殿下のところに向かわないと!
私の放課後は忙しいの。


学園を走り回ってやっとゾルティー殿下を見つけたのに・・・転んで見せたのに・・・
またわたくしの邪魔をするのね!
お笑いコンビ!
やめなさい!その無表情の顔!
ムカつくのよ!


もう、直接声をかけるしかなさそう。

"意地悪な姉に虐げられる可哀想な妹"を演じ相談する作戦よ。

次の日から放課後はアラン様に弱々しく声をかけたのに声が小さ過ぎるのね。
今日も気付かれなかったわ。

後ろにはルフラン殿下もいるけれど、困った顔をして背の高いルフラン殿下を見上げてもわたくしが小さ過ぎて目に入らなかったみたい。

次はゾルティー殿下よ!
最近体力がついてきた気がするわ。
ずっと走っているものね。

待ち伏せして木陰に隠れているわたくしの耳に、令嬢たちの話し声が聞こえてきた。

『ねえ可愛い見た目なのに残念な方よね』

あら?わたくしの他に可愛い令嬢なんていたかしら?

『今のあの方を見ていると、同情していたのが馬鹿らしいわ』

誰のことかしら?

『本当にそうよね。実の姉を悪者にするなんて最低よね』

え?

『毎日毎日アラン様やゾルティー殿下を追いかけ回してみっともない』

それって・・・

『学内を走り回る令嬢なんてはしたないわ』

わたくし?

『あの方、アラン様に婚約者がいるの知らないのかしら?』

婚約者?

『いつもアラン様の隣りにいるビジョップ様!素敵よね』

ビジョップ?

『小柄で可愛いらしくて優秀だなんて完璧だわ』

『ええ学園の二大美女。ウォルシュ様とビジョップ様憧れるわ』

はあ?二大美女?

『そんな方々に勝てるわけがないのに見苦しいわよね』

『お姉様のリーゼ様がお可哀想だわ』

やっぱり!

『わたくしもあんな妹なら恥ずかしくていらないわ。頭が悪すぎるもの』

なんですって~!

『君たち真実とはいえ誰が聞いているか分からないから、もう少し小さな声で話そうね』

ゾルティー殿下・・・
真実?この人達の話が?
それだと、わたくしは可愛いけれど、はしたなくて、見苦しくて、みっともなくて、バカな令嬢だってこと?

『『ゾルティー殿下、誰が見ても事実なんですから。こんな噂そこらじゅうでしていますよ』』

え?
わたくしは周りからそんな風に見られていたの?
わたくしが可愛いから見られていると思っていたのは勘違いで、陰で笑われていたの?



『そうだね。彼女の行動は褒められたものじゃないね。あんな下手な演技は私たちには通用しないのにね』


え?最初から演技だとバレていたの?

それも他の生徒達にもバレているの?

『『学園中の笑いものですよ』』

何それ恥ずかしい・・・恥ずかし過ぎて誰にも会いたくない。
わたくし学園中を走っていたわ。
陰でずっとバカにされて笑われていたの?

わたくしは人目につかないように、こっそりと馬車に乗り込んだ。





「これで一人は片付いたね」

「「はい!目障りな令嬢でした」」

ごめんね。君に恨みは無いけれど、これ以上優秀な君の兄や姉の邪魔をして欲しくないんだよね。

しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

処理中です...