【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
84 / 122
ウインティア王国編

84

しおりを挟む
~ルフランの執務室~

「あれから彼女引き籠もりになっちゃったようだね」

「「やっと静かになりました」」

「やはり学園に来ていなかったのか」

「仕方ないよね。僕たちが何もしなくてもマナーも礼儀も守れない令嬢なんて学園に居場所がなくなるのは当然だよ」

あとはあの両親だな。

レイが面白いこと言っていたな。
"働かざる者食うべからず"前世で使われていた言葉だそうだ。

人任せで働かないそんな当主ならいらない。

あとはこの書類と、あの兄の書類があれば貴族院でもスムーズに話が進むはずだ。




「それより兄上気になることがあるのでしょう?」

「・・・ああ」

「セルティ嬢のことですか?」

「いや、アイツはまだ動いてない」

「マイですか?」

「あの女は眼中に無いが・・・アランがいるから心配はしていない」

「遠慮なく言っていただいて結構ですよ」

これは気付いているな。

「ゾルティーお前の婚約者候補だが・・・」

「ああ、野心があり過ぎるのも問題ですね」

「気に入った令嬢がいるとは思わないが、多少の交流はあったのだろう?」

「いえそれ程ありませんよ。切り捨てる存在と親しくするほど暇ではないので」

相変わらずキツイな。

「彼女たちの中には王族に嫁ぐのに必要なものを既に失っている者もいますからね」

それも知っていたか。

「・・・それなのに候補のままにしているのは・・・やはりお前は賢いな」

「そろそろ動きますか?」

「ああ、グレイとザック影を紹介する。お前たちは影の仕事を学べ!」

「「はっ」」

コイツらは王家の裏の部分を知っていた方がいい。
何れコイツらに任せるようになるからな。

「アラン、マイがレイの過去を調べさせた。分かっているな?」

「任せて下さい」

待っていたようだな。
アランの黒い笑顔も久しぶりに見たな。
これでレイは心配ない。

「ガルお前はエリーから目を離すな。必ず守りきれ信じているぞ」

「はい!命にかえても!」

嬉しそうだなガル。
お前もいい目をするようになった。


これで爵位を失う者と降爵する家門があるが、見せしめには丁度いい。
腐った膿は早めに出した方がこの国のためだ。





~リーゼ・ライベルン侯爵令嬢視点~

何度止めても私の言葉はフィリアには届かない。
両親までが持ち上げるからフィリアがどんどん調子に乗ってしまう。
それでも家督を継ぐ兄のためにもフィリアを止めなければならない。



学園内でフィリアの令嬢らしからぬ行動に、フィリアの評判が下がってきた頃、真っ青な顔でフィリアが帰ってきた。

「フィリア何かあったの?」

「煩い!黙りなさいよ出来損ないのくせに!」

顔を歪めて怒鳴るフィリアだけど、こんな子じゃなかった。
本当に可愛い妹だったのよ。

幼い頃は末っ子特有のワガママはあったけれど、言い聞かせればちゃんと分かる子だったのに・・・。

野心から兄と私の教育に力を入れるようになった両親は、どんどん厳しい教育にエスカレートしていった。

その厳しい教育を見ていたフィリアが泣いて両親に縋った時からフィリアが変わった。

家庭教師が来る度に泣いて嫌がるフィリアに末っ子には甘くなるのか、両親は私たちのように無理やり教育を受けさせようとはしなかった。

それからだ、フィリアは泣くことで嫌なことから逃げるようになったのは。
泣けば思い通りになると理解したフィリアは、自己中心的になっていった。

そのうちお兄様のことも私のことも見下すようになった。

このままでは将来困ることになると説いても見下している私達の言葉はフィリアには届かなかった。

そして、真っ青な顔で帰ってきてからフィリアは学園に通うのをやめた。
理由を聞いても怒鳴るだけで話にならない。
そのうち物を投げてくるようになった。

学園で私を意地悪な姉だと噂していた人たちが擦り寄ってきても今更だ。
意外と人の目を気にせず一人でいる方が気楽だと気づいた頃、王宮からお父様とお兄様にお呼びがかかった。



結果、お父様がお兄様に家督を譲る事になった。

お父様はお母様と結婚してから一度も領地に視察にも行かず王都の邸で自由に過ごしていた。
領地で領主代行として取り仕切っていたのはお父様の弟。私たちの叔父様だった。

お父様はお兄様が学園を卒業するまでは毎年夏になると私とお兄様を領地に視察の勉強だと追いやっていた。
嫌な顔一つ見せない優しい叔父様夫婦は領民からも信頼されている立派な人たちだ。

今まで私たち家族が生活出来ていたのは叔父様のお陰なのにお父様は実の弟をバカにしていた。

私だってお父様を賢い人だとは思っていなかったが、まさか書類仕事さえ人任せだとは思いもしなかった。
何もかも執事に任せっきりだった。
執事が善人でよかった。
悪い人なら侯爵家を乗っ取られていたかもしれない。
それ程お父様は愚かだった。

お兄様が用意した書類の他に、ルフラン殿下が調べた書類で両親の処罰が決まったそうだ。

お父様とお母様は領地で幽閉。
もう、ここには戻ってこない。
駄々を捏ねていたお母様もお父様の「領地が嫌なら強制労働行きになるぞ」の一言で渋々頷いた。

これは貴族院から出された罰だ。
20年以上働かず、侯爵家当主の恩恵だけを貪っていたと判断されたからだ。

意外だったのはフィリアだった。
自分から両親と領地に引き籠もると言ったのだ。
「お兄様、お姉様今までごめんさい」と泣くのを耐えて領地に向かう馬車に乗り込むフィリアには反省の色が見えた。
まだフィリアは15歳。
いくらでもやり直しは出来る。
お兄様と相談してフィリアの元に家庭教師を送った。
"立派な淑女になって戻ってきなさい"そう手紙を預けて・・・。


後日、ランチをしている皆さまに「ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」と頭を下げる私に「よく頑張ったわね。これから貴女は自由よ。なんでも出来るし何にでもなれるわ」そう言って微笑んでくれたウォルシュ嬢を見て決めた。

王太子妃になるウォルシュ嬢の侍女になりたい。
今まで耐えてきた厳しい教育を無駄にはしない。
ウォルシュ嬢の心に寄り添えられる侍女を目指す。


それがルフラン殿下に対するお礼にもなると信じて・・・。
しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

処理中です...