木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら

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九話 天神会とゲルマン・ディアス

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 国営ギルド天心会はベルグール王国にある3つの国営ギルドの一つである。
 その中でも規模は最大で王国最強にして最も古くからあるギルドだ。
 
「相変わらずでっけぇ門だなぁ、威厳を形に表しすぎて入ることすら恐れ多いんだよなぁ、なんか入るの申し訳ないから……よし帰ろう!」

 そうだ、そうだよな何も今日すぐ行かなくても大丈夫だよな。
 ギルド報告はクエスト達成後3日以内って規約書に書いてあってし。
 
「お!オルケンじゃないか!もう戻ったのか」
「げ、ゲルマン会長」

 ゲルマン・ディアス、王国最強の冒険者にして天心会会長である、そしてこの下には3人のギルドマスターがいてそのさらに下に俺がいる。
 言うなればこの方は俺の上司の上司である。
 一番会いたくなかった人に会ってしまったな。
 クエスト失敗の件なんて死んでも言えないし、 さぁてなんて誤魔化そうかなぁ……。

「いやぁ会長、偶然ですねぇ」
「お前、クエストはどうしたんだ?」
「え?く、クエストですか」

 まずいないきなり核心をつく質問してきたな。
 どうやって凌ごうか最悪泣き落としでいくか。

「お前まさか……逃げたのか?」

 やべぇバレた!
 仕方ねぇ泣くしかねぇ。

「いや違うんですよぉぉお、逃げたくなかったんだけど逃げざるを得ない状況になりましてぇ」
「どうせ初めから逃げる気だったんだろ……まったく、お前が弱いのは知ってるんだから儂も比較的楽な仕事を振ったというのに」

 そうこのゲルマン会長は俺が弱い事やただ運が良いだけなのを知っている。
 何故なら俺はこの人に勉強や剣術を教わっていたからだ。
 故にこの人は俺の数少ない理解者である。

「す、すいませぇぇん」
「しかしオルケン、お前何があったんだ纏っている空気やオーラが魔王級……いやそれ以上になっているぞ」
「え?わかるんですか」
「ああまあな、儂は感知魔法も心得ているからなお前のヤバさがひしひしと伝わってくる、儂の精神力の高さ故に今こうして普通にしていられるが、並の術師では精神を病むレベルのオーラ出してるぞお前」
「は?」

 おいおいなんだよそれ。
 今の俺魔王級なのかよ、つかなんで悪方面の強者を引き合いにだすんですか会長、せめて聖騎士とかもっと色々あるでしょ。

「まぁ何があったかは今度詳しく訊くとして、それよりもほれ、これを持ってろ」
「うわっ、なんですかこれ?」

 そう言って会長はポッケから何か青色の石を取り出し俺に投げ渡した。
 
「それは偽造石と呼ばれる本来はダンジョンなんかに入る際自身のレベルを偽装する石じゃ、しかもこれはその中でも希少価値の高い石でな、これを身につけていればどんなレベルも1に偽装できる」
「す、凄いっすね」
「とりあえずお前、それをこれから肌身離さず持っておけ、今のお前を感知系術者が見れば無用な争いを生むやもしれん」
「りょ、了解です」

 もしかして俺って結構やばいの?なんかゲルマン会長の目つきがさっきからめっちゃ本気なんですけど。
 ま、まぁ別にそれが原因で殺されるとかはないよなぁ……。

「ときにオルケン、クエスト放棄はクエスト失敗よりも重いペナルティになるのだがその辺はちゃんと理解しておるか?」
「え?そうなんすか」

 マジかよぉ、クエスト失敗より重いってそれはもしや給料なしか……。
 そんなの最悪だよぉ。

「その様子なら知らんようだな、はぁまったくお前という奴は世話の焼ける、仕方ない特別に儂が代わりのクエストを用意しよう」
「え?いらないです」
「あ?何を言っておるんだお前は、それに拒否権はない黙って聞け」
「そ、そんなぁ」

 代わりのクエストってなんだよ危ないのやつとか嫌だし行きたくねぇよ。

「今日の夜、この街デリアリの第一広場の酒場でとある貴族立ち会いの下に人身売買がある、お前はこの取引を何してもいいから阻止しろ」
「え、あ、人身売買、阻止?」
「そうじゃ、本来このクエストはギルドマスターに頼もうと思っていたのだが今のお前なら多分大丈夫だろ」
「い、いやぁ僕自信ないなぁ」
「行かねば半年間給料なしでタダ働きしてもらうぞ」
「行きます!行かせてくださいお願いします」

 こんなの酷い職権濫用だ!労働組合に訴えてやる!と言いたいところだが今回の場合クエスト放棄している手前言えるはずもない。
 まぁ多分今の俺ならやれるはずだから大丈夫だろ……。
 はぁ面倒な事になったなぁ。

「よし頼むぞオルケン、終わったらまた儂の下に来いその力の話もしたいしな」
「りょ、了解です」

 よし終わったら少し部屋に籠って2日後に行こう!3日以内の報告義務だから規約違反にはならない。
 どうせ疲れる事するんだ約束された休日の一つや二つ確保しても責められやしないだろう。
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