四人の令嬢と公爵と

オゾン層

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婚約

輝き

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 開かれたダイニングの扉の前にいた者。その姿を見た時、姉妹達は自身の目を疑った。



 陽に当たって黄金色に輝く艶のある髪。
 白い柔肌に中性的で愛らしい顔。
 スレンダーで、しかし引き締まった筋肉。

 「輝き」という代名詞が型にはまる美青年が其処にいた。

 あまりの美しさに姉妹達は皆言葉を失い、しばしその青年を見つめていた。
 青年はというと、ガルシア姉妹を見るや否や、無邪気に笑ってみせた。


「もしかして兄さん達の婚約者?聞いてた通り綺麗な人達だね!」


 そう言って笑って見せるものだから、姉妹達は頬を赤らめることしかできない。しかし、青年の発した言葉に姉妹達は正気を取り戻した。


「……あの、貴方様はもしかして」


 ルーナが聞くよりも先に、青年が口を開いた。


「はじめまして!僕はディト。末っ子のディト・ラヴェルトだよ!」


 青年は、ディトは、にこやかな笑顔で自己紹介をした。
 笑顔から全てにかけて輝いて見えるディトに、姉妹達は酷く動揺する。


(とても綺麗なお方だわ……)

(笑顔が素敵ね……)

(まるで宝石みたいだわ!輝いてるもの!)

(愛らしいお顔って、きっとああいうのかしら……)


 口には出さぬが、それほどにディトは美しかったのだ。


「……コホン」


 ふと、ラゼイヤが咳払いをしたことで姉妹達の意識は婚約者達に向けられる。

 バルフレが、この世のものとは思えぬ形相でエレノアを睨んでいた。
 世界中の怒りと憎しみを綯交ないまぜたような視線が、エレノアを貫かんとしている。
 具現化したような恐怖に姉妹達は背筋を凍らせたが、視線の先にいるエレノアは不思議そうに首を傾げていた。
 あれは「あら?なんでこの人は怖い顔をしているのかしら?」という顔である。流石はエレノアと言ったところか、姉妹達は拍手を送りたくなった。

 そして当然ながら、他の者達もそれぞれ反応が違った。

 ラゼイヤはバツが悪そうに目を伏せている。恐らくこうなることを想定していたのだろう。苦虫を噛み潰したような顔をしている。というか本当に噛み潰してるのではなかろうか、と思えるほどに深刻そうな顔をしていた。
 心なしか、彼から生えている触手も元気がなくなっているように見える。

 ラトーニァは無言だった。が、ゴリゴリと石を磨り潰すような音が先ほどから聞こえてくる。それはラトーニァの口からだった。
 彼はずっと歯軋りをしていた。ギチギチと歯と歯茎を限界まで痛めつける音がする。目から生えている角のせいで視線までは感じなかったが、明らかに不機嫌なのが見て取れた。

 ゴトリルは……朝食に出されていたメロンを丸かじりしていた。そのままの状態で。
 余程腹が空いていたらしく、弟そっちのけで次々と果物を消費し、時折果物の一切れをクロエの皿に盛り付けていた。
 今この中では一番無害な存在だろう。


「……令嬢様、改めて紹介するよ。私達の弟、ディトだ」


 ラゼイヤの言葉に力は籠っていなかった。
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