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第一章 ちかづく
01 CALLING
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『隼人が女の子連れてきたのよ!大学のサークルで出会ったんですって。近くの女子大の子よ』
うきうきと弾む母の声が電話口でそう語ったのは、今年ももう終わろうという頃だった。
隼人は7つ離れた弟だ。我が弟ながらよくできた奴で、 何をやらせても器用にこなす。
俺も世間的に決して悪くない大学を出たが、隼人は国内トップのT大卒である。
この年の差があってよかったと何度思ったことか。両親や、2歳上の姉がベタベタに可愛がっていた。
大人になって考えてみれば、恐らく隼人ができたのは両親にとって「計算外」だろう。隼人が産まれたのは母が37歳のときだった。
「マジで?早くない?あいつ25だろ」
『早くないわよー。お父さんだって結婚したの27だもの。相手の子同級生だし』
あんたみたいに遅い方が心配だわ、と、案の定お小言をたれる。
「昨今の男の平均初婚年齢、35だけど」
『あら、そうなの?じゃまだあんたも行き遅れじゃないのね』
男にその表現はありなのかわからないが、あえてスルーして問う。
「で、どんな子?」
母はイキイキ話し始めた。
『しっかりしたいい子よ。にこにこして、はきはき答えて。市役所に勤めてるんだって。あんたも誰か紹介してもらいなさいよ』
また変な方向に話が向かいそうになったところで、電話のキャッチが入る。
「あ、電話きた。悪いけど切るよ。また」
『またって言って、かけてこないくせに』
母が嘆息しながら言って、じゃあねと電話が切れ、切り替わる。
『Hello?』
声を聞いて、俺は苦笑した。噂の張本人だ。
今お前の話を聞いたところだ、と英語で返すと、隼人は笑った。
隼人は大学在学中にアメリカに留学していた。外資系企業に勤める俺が、ちょうどボストンにいた頃だったので、なにかと便を図ってやったし、母も安心して送り出したようだ。
英会話を忘れないように、という隼人の希望で、俺との電話は英語だ。
『急なんだけど、明日の午後、時間ある?』
「あるけど。なに、お前のハニーに会わせてくれるの?」
『まあ、そんなとこ』
隼人の声は晴れ晴れしていた。俺は笑って答える。
「いいよ。野暮用はキャンセルしとく。可愛い弟のフィアンセに会えるチャンスだからな」
隼人も笑って、Thanks、と短く答える。時間と場所はまたメールする、と言って隼人は電話を切った。
うきうきと弾む母の声が電話口でそう語ったのは、今年ももう終わろうという頃だった。
隼人は7つ離れた弟だ。我が弟ながらよくできた奴で、 何をやらせても器用にこなす。
俺も世間的に決して悪くない大学を出たが、隼人は国内トップのT大卒である。
この年の差があってよかったと何度思ったことか。両親や、2歳上の姉がベタベタに可愛がっていた。
大人になって考えてみれば、恐らく隼人ができたのは両親にとって「計算外」だろう。隼人が産まれたのは母が37歳のときだった。
「マジで?早くない?あいつ25だろ」
『早くないわよー。お父さんだって結婚したの27だもの。相手の子同級生だし』
あんたみたいに遅い方が心配だわ、と、案の定お小言をたれる。
「昨今の男の平均初婚年齢、35だけど」
『あら、そうなの?じゃまだあんたも行き遅れじゃないのね』
男にその表現はありなのかわからないが、あえてスルーして問う。
「で、どんな子?」
母はイキイキ話し始めた。
『しっかりしたいい子よ。にこにこして、はきはき答えて。市役所に勤めてるんだって。あんたも誰か紹介してもらいなさいよ』
また変な方向に話が向かいそうになったところで、電話のキャッチが入る。
「あ、電話きた。悪いけど切るよ。また」
『またって言って、かけてこないくせに』
母が嘆息しながら言って、じゃあねと電話が切れ、切り替わる。
『Hello?』
声を聞いて、俺は苦笑した。噂の張本人だ。
今お前の話を聞いたところだ、と英語で返すと、隼人は笑った。
隼人は大学在学中にアメリカに留学していた。外資系企業に勤める俺が、ちょうどボストンにいた頃だったので、なにかと便を図ってやったし、母も安心して送り出したようだ。
英会話を忘れないように、という隼人の希望で、俺との電話は英語だ。
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