52 / 160
おうちにかえりたい編
閑話 魔女と魔法使い
しおりを挟むえ、なに、あの小娘に名前を呼ばせて、自分に呼ばせないのは納得がいかんと?
呼ぶほど親しいかな。ねぇ、で事足りるじゃない。
いやいや冗談ですって。以前の娘さんたちに悪い気がして名前はご遠慮いただきたいんですよ。
わたしの前だって名前はありましたよ。お目覚めは最近だから、覚えていないかも知れないですけどね。
並々ならぬ思いを初代から引き継いでおりますので、覚悟して欲しいところではありますが。
お話はこれだけですか。
おやすみなさい。
ナイトキャップがずれてますよ。よいしょっと。
真っ赤になって逃げていくなんて妙に純情なんですよね。可愛いって言うか。
さて、連絡しないとですね。
あ、紅蓮の、今良いですか?
うちの子が可愛すぎるとか見せてこなくて良いですから。子供寝かしなさい。奥さんどうしたんです?
え、実家に帰られた。
子供は置いてったんですか? そうですか。
ようやく会いましたよ。一度、連絡前にあっておいて良かったです。
いきなり滅せられることもなく穏便に済ましたのでご安心ください?
あー、ローブ食われているのでどうにかした方良くないですか。
いつものこと……。子供って大変なんですね。先代の苦労を思い出しました。
しかし、紅蓮の、が、今や国守の魔法使いとは。連絡来てびっくりしましたよ。
俺の嫁が可愛すぎるとか言い出すの天変地異が起こるかと。
ちょいと物騒すぎる気もしますが、エルナの王族ならあれでも可愛いもんですかね。
そっちに似たようなの十人以上いるんでしょう? 行きたくないわー。
身内には甘いから大丈夫って、ちゃんと数に入ってるのかしら。
利用出来るアイテム扱いされてない?
あー、落ち込んだ顔しないでちょうだい。いじめたいってわけでも無いんだから。
ええとなんの話だったかな。
そうそう。最悪のときに保護して抵抗されない程度の顔見知りにはなったよ。
その先ってのは、お互いの合意でやるべきだと思うんだ。
なんでも先回りして、手出しするものではないでしょう?
家族が心配ってのはわからなくもないけどね。私には家族がないから想像でしかないけど。
なによ。その顔。
ああ、紅蓮の、もそっち側だものね。あー、押し倒せばよいのかしら。
……。
聞かなかった。
そうよ。聞かなかったの。
それでなんの話だっけ。
ヴァージニアの命は保証してあげる。それ以外は、今後を見てかな。
これでも過保護と思うんだけどね。
信用したら?
ああ、奥さんたちが出て行くって言ってるって……。
確か、一人はまだ身重だったわよね?
次は男の子って嬉しそうね。ああ、男一人でちょっと肩身が狭かった……。魔法使いにそんな思いさせるってすごいわね。
で、黙ってろって言うから黙ってるけど、ばれたら怒られると思うのよね。私が。
そのときは助けてくれるんでしょうね?
逃げ腰って嫌な話ね。まあ、良いわ。気に入ったのは確かだもの。
それで貴方の義兄の方はどうなの? 噂でしか知らないんだけど、兄様、大好きっていう妹を見ていると不安にしかならないんだけど。
え、みんな兄弟に対して過剰な愛情があるから困るって? 一人だけじゃないの。そうなの……。
そんな兄弟を押さえて、経済制裁開始しているって……。好戦的なのかなんなのかわからないわね。
誰が行くかで揉めているって、人の国に王族が乗り込んでくるってかなりの事よ? 使者から始めなさいな。っていうかその程度わかっているわよね。
使者の中に誰が紛れ込むかって言う話でしょ。
末妹だけは大人しくして欲しいって酔っぱらってこぼしてたわね。覚えてないでしょうけど。
11才ってそんなに危ないお年頃なの?
……そう。母親代わりみたいなもの、ね。
先代が同じ目に遭ったら、生きていることを後悔させてやりたいからわかるわ。
恐れおののくって、貴方の娘、そうよ。その子が同じ目にあったらどうするの?
わかってくれて嬉しいわ。
問題は、どんなものに手を出したかわかっていない人たちなんだけど。自分のことは自分で始末をつけるとか言うから手出ししないのよ?
ちゃんと警告したからね。
で、闇のほうは?
こっちは光の領地だから、あまり派手にはやらないと思うけど。
……教会なかったから、把握が遅れて激オコ。
結婚? いいんじゃない? なんの祝福してやろうか、からの、この状況だから落差が激しいと。
ご近所の兄ちゃんじゃないんだから、そんな気軽に祝福用意しないで欲しい。と。
でも、あの子、何か持っているわよね? 闇の気配があったから。
二日酔いしない加護。
なにそれ羨ましい。
肝臓は守ってくれない。そう。どっちも守ってくれる素敵な神は酒の神くらいかしら。飲んだくれていると時々、やってくるのよね。暇なのかしら。
嫁にしようとしているとかやだな冗談、え、マジ? いやいやないわー。
そう言って一ダースくどいてんでしょ?
そうそう。隙あれば嫁を増やすとか意味がわかんない。
……だから、端々にのろけを差し込むのやめなさいって。
だから他のヤツと話すの嫌なのよ。
ああ、お互い様でしょ。
定期連絡はいれないわ。そっちはそっち、こっちはこっちでやる方がいいでしょ?
じゃ、元気かどうかくらいは連絡してあげるから、ちゃんとお城に行くのよ。ほら、もう寝てるじゃない。
はいはい。
可愛いわね。ほんっとに。
じゃあ、またね。
はぁ。男親ってめんどくさい。
……それで、盗み聞きした魔王様はいかがお考えで?
怒ってる? ええ、もちろん。
寝てくださいね。仕事が増えるんです。
あのうるさいサルとめんどくさい狼連中をしめてくる仕事が増えるんです。
同じ種類ばっかり増えるってどういう事ですかね。
滅するのも疲れるし、微妙に自我があるから心がそげるんですよ。あたしも一応、感情ってものがありますからね。
ええ、反省してください。
添い寝して上げるので、早くねて……。逃げていくってどういう意味なんですかね。
48
あなたにおすすめの小説
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
ある平凡な女、転生する
眼鏡から鱗
ファンタジー
平々凡々な暮らしをしていた私。
しかし、会社帰りに事故ってお陀仏。
次に、気がついたらとっても良い部屋でした。
えっ、なんで?
※ゆる〜く、頭空っぽにして読んで下さい(笑)
※大変更新が遅いので申し訳ないですが、気長にお待ちください。
★作品の中にある画像は、全てAI生成にて貼り付けたものとなります。イメージですので顔や服装については、皆様のご想像で脳内変換を宜しくお願いします。★
特技は有効利用しよう。
庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。
…………。
どうしてくれよう……。
婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。
この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。
孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
悪役令嬢の妹(=モブのはず)なのでメインキャラクターとは関わりたくありません! 〜快適な読書時間を満喫するため、モブに徹しようと思います〜
詩月結蒼
ファンタジー
白髪碧眼の美少女公爵令嬢に転生した主人公が「私って、主要人物なの!?」となり、読書のため脇役を目指し奮闘するお話です。
読書時間を満喫したいという思いから、あれやこれやと頑張りますが、主要人物である以上、面倒ごとに巻き込まれるのはお決まりのこと。
腹黒(?)王子にウザ絡みされたり、ほかの公爵令嬢にお茶会を持ちかけられたり。あるときは裏社会へ潜入して暗殺者を従者にし、またあるときは主要人物と婚約し……ん? あれ? 脇役目指してるのに、いつのまにか逆方向に走ってる!?
✳︎略称はあくモブです
✳︎毎週火曜日と金曜日午前0時更新です。
✳︎ファンタジー部門にて6位になりました。ありがとうございます(2025年10月7日)
✳︎カクヨムでも公開しております
→https://kakuyomu.jp/works/16818093073927573146
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる