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5.マイロのその後③
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「この3年間、商人と商談していたのは誰だ」
マイロの質問で、執事長はようやくマイロが答えに行き着いた事を悟った。
「元奥様のミラ様でございます」
執事長の答えを聞き、マイロが怒りを顕にした。
「何故すぐに教えなかった! ミラが商談までしていただと⁉︎ 伯爵家に不利益が被っていたらどうするつもりだ!」
「何を仰っておられるのです? 元々は大旦那様からマイロ様に渡った仕事のはず。それをミラ様に回したのはマイロ様自身ではありませんか」
マイロはそう言われてやや怯むが、平然とそう話す執事長を見ると、後に引けない。
「俺は父上の後は母上がやっていたと思っていたんだ! それなら一言言ってくれれば良かっただろう!」
「ミラ様が商談をされるようになってから、伯爵家の業績は上がっていきましたので。
新たに取引出来るようになった大手の商会も、全てミラ様が直々に足を運んで、伯爵家の為に取り次いで頂けたのですよ」
あくまで冷静に答える執事長に苛立つが、業績が上がって伯爵家が潤っている以上、マイロは何も言い返せない。
「もういい!」
と、自室へ戻ろうとしたマイロを執事長が引き止める。
「マイロ様、お伝えしたい事が」
「何だ!」
「明後日の商談はなくなりました。今後はこちらへ出向かれることはないそうです」
マイロはびっくりする。
「何処の商会だ?」
「ハルマス王国の美術商にございます」
「あそことは、あの粗悪な宝石の独占契約を結んでいたはず。何とか契約を取り消してもらいたかったのに、もう来ないだと⁉︎」
「はい。これからは、あの宝石の原石のみ送られてくるそうですよ」
それはまずい! 何が何でも契約を取り消してもらわないと、役に立たないクズ原石を高額で買い続ける事になる!
「あの美術商は何処に行けば会えるんだ!?」
マイロは慌てて執事長に問いかけた。
「王都に支店を出しているそうですが、はたして商会長様がいらっしゃるかは……。普段はハルマス王国にいらっしゃるそうで、月に一度こちらに出向いていらっしゃったものですから」
執事長の返答もそこそこに聞き流し、マイロは慌ててその支店に向かった。
本当なら明後日にこちらに来る予定だったのだ。もしかしたら、ここボランサリー王国に来ているかも知れない。
そう考えたマイロは、必死で支店に辿り着き、店の中に入った途端、近くにいた従業員を捕まえて叫んだ。
「ここの商会長に会いたいんだ! この国に来てるんだろ⁉︎ 商会長を呼んでくれ!」
マイロに両肩を掴まれて、揺すぶられながらそう聞かれた従業員は、必死でマイロの手を離そうと抵抗する。
「ちょっと! やめて下さい! 商会長はお約束のない方とはお会いになりません!」
そう返答する従業員を見て、マイロは
「やっぱりいるんだな? 俺はグランブスト伯爵だぞ! 今すぐ商会長を呼べ!」
と脅しをかける。
大声でのやり取りは店中に響き渡り、他の従業員達が、慌ててマイロを落ち着かせようと声を掛けていた。
「何の騒ぎだ、騒々しい」
そこに、その騒ぎを聞きつけて、奥から商会長のヨゼスが出て来た。
マイロの質問で、執事長はようやくマイロが答えに行き着いた事を悟った。
「元奥様のミラ様でございます」
執事長の答えを聞き、マイロが怒りを顕にした。
「何故すぐに教えなかった! ミラが商談までしていただと⁉︎ 伯爵家に不利益が被っていたらどうするつもりだ!」
「何を仰っておられるのです? 元々は大旦那様からマイロ様に渡った仕事のはず。それをミラ様に回したのはマイロ様自身ではありませんか」
マイロはそう言われてやや怯むが、平然とそう話す執事長を見ると、後に引けない。
「俺は父上の後は母上がやっていたと思っていたんだ! それなら一言言ってくれれば良かっただろう!」
「ミラ様が商談をされるようになってから、伯爵家の業績は上がっていきましたので。
新たに取引出来るようになった大手の商会も、全てミラ様が直々に足を運んで、伯爵家の為に取り次いで頂けたのですよ」
あくまで冷静に答える執事長に苛立つが、業績が上がって伯爵家が潤っている以上、マイロは何も言い返せない。
「もういい!」
と、自室へ戻ろうとしたマイロを執事長が引き止める。
「マイロ様、お伝えしたい事が」
「何だ!」
「明後日の商談はなくなりました。今後はこちらへ出向かれることはないそうです」
マイロはびっくりする。
「何処の商会だ?」
「ハルマス王国の美術商にございます」
「あそことは、あの粗悪な宝石の独占契約を結んでいたはず。何とか契約を取り消してもらいたかったのに、もう来ないだと⁉︎」
「はい。これからは、あの宝石の原石のみ送られてくるそうですよ」
それはまずい! 何が何でも契約を取り消してもらわないと、役に立たないクズ原石を高額で買い続ける事になる!
「あの美術商は何処に行けば会えるんだ!?」
マイロは慌てて執事長に問いかけた。
「王都に支店を出しているそうですが、はたして商会長様がいらっしゃるかは……。普段はハルマス王国にいらっしゃるそうで、月に一度こちらに出向いていらっしゃったものですから」
執事長の返答もそこそこに聞き流し、マイロは慌ててその支店に向かった。
本当なら明後日にこちらに来る予定だったのだ。もしかしたら、ここボランサリー王国に来ているかも知れない。
そう考えたマイロは、必死で支店に辿り着き、店の中に入った途端、近くにいた従業員を捕まえて叫んだ。
「ここの商会長に会いたいんだ! この国に来てるんだろ⁉︎ 商会長を呼んでくれ!」
マイロに両肩を掴まれて、揺すぶられながらそう聞かれた従業員は、必死でマイロの手を離そうと抵抗する。
「ちょっと! やめて下さい! 商会長はお約束のない方とはお会いになりません!」
そう返答する従業員を見て、マイロは
「やっぱりいるんだな? 俺はグランブスト伯爵だぞ! 今すぐ商会長を呼べ!」
と脅しをかける。
大声でのやり取りは店中に響き渡り、他の従業員達が、慌ててマイロを落ち着かせようと声を掛けていた。
「何の騒ぎだ、騒々しい」
そこに、その騒ぎを聞きつけて、奥から商会長のヨゼスが出て来た。
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