【完結】モブなのに最強?

らんか

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 あれからダミアンは、陛下に魔物討伐参加を願い出て、西方の騎士団と共に、討伐に参加させてもらえる事となった。
 もちろんリセラやオルガ、ミゼルも一緒だ。もちろん未成年であり、王族であるダミアンは後方支援で、リセラ達も同じ。西方の騎士団にとっては、足手まといも甚だしいが口には出せず、仕方なく受け入れていた。

 (やっとここまで来たわ。あとは私を庇って、魔物にオルガが怪我させられる状況を作り出せば……)

 リセラは何としてでもこの機会を逃さず、聖なる力を発現しなければと考えていた。
 しかし後方支援では、なかなか魔物に直接接触する事はなく、イライラが募るばかりだ。

 リセラは、オルガにこっそり近づき、
 「オルガ様、こんな事では名誉挽回にはなりませんわよね。もっと前に出て魔物の一匹でも倒しましょうよ。私、防御魔法を駆使してオルガ様をお助けしますから」
と囁いた。

 「そうだな。行こう!リセラ」

 リセラに自分1人が誘われた事に気をよくしたオルガが、リセラと共に走り出し、前線まで来ると、一匹の大型のベアモンスターに攻撃を仕掛けた。
 
 「何してるんだ!」
 
 ダミアンや他の騎士達が止めようとしたが、ベアモンスターはオルガとリセラに向かって走り出し、大きな唸り声と共に鋭い鉤爪で、襲いかかった。

 「きゃあ!」
 
 リセラの叫び声で、オルガがリセラを庇い、オルガの背中をベアモンスターの鉤爪が襲う。
 オルガの背中が血に染まり、肉片が飛び散った様を見たリセラの身体が急に光り出したと共に、リセラを襲おうとしていたベアモンスターが跡形もなく消滅した。


 「今の光は? ベアモンスターが消滅した? ……まさか、聖なる力?」
 
 リセラの身体を包み込む光が収まる頃には、その近くに潜んでいた魔物たちも跡形もなく消滅していた。

 (やったわ! ようやく聖なる力が目覚めたわ!)

 喜びに溢れているリセラの周りを囲むようにダミアンやミゼル、他の騎士達が集まった。そして、みんなが見ている中で、リセラはオルガに近づき、力を使って背中の傷を治癒する。
 みるみる傷が塞がり、意識が回復したオルガを見て、周りの人達は口々に叫んだ。

 「聖女様だ! 聖女様が現れた!」
 「聖なる力が発現された! 奇跡だ!」
 「すごい! これで王国は安泰だ!」

 喜びと共に、みんなに崇められ始めたリセラ。

 「やはり、君は凄い人だったのだな! 君は僕に相応しい女性だ!」

 ダミアンは感激してリセラを抱きしめ、すぐに騎士達に指示を出した。

 「王宮に先触れを出せ! すぐに王都に戻り、聖女の出現を陛下に報告する!
 聖女を守ることが最優先事項だ!周りを固めよ!」

 そして、ダミアンはその場に居た騎士団に守らせながら、早々にリセラを連れて帰還した。
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