【完結】モブなのに最強?

らんか

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 結界の消滅の危機は、王城にも知らせが届いていた。
 すぐに陛下は、教皇とリセラを王城に呼び寄せ、教皇から現状を聞いた。

「陛下、事は一刻を争うのです。すぐにでも聖女殿には結界の張り直しをしていただかなければ」

 教皇の言葉を受けて、陛下はリセラに頼む。

「聖女殿。結界の消滅は国の一大事。王国全体の結界の張り直しを、改めて貴殿にお願いしたい」

 陛下の言葉を受け、リセラは考える。
 
「もちろんです陛下~。国の一大事ですもの~。私に出来ることならば、ぜひさせていただきたいと思いますぅ。
 でも、私、自信がなくてぇ。
 お願いを聞いてくだされば、それを支えに頑張れると思うんですぅ。聞いていただけますかぁ?」

 リセラの言葉に教皇が慌てて
「聖女殿! 国の一大事に交換状件を出すなんて、人道に反してますぞ!」
と、慌てて言葉を取り下げさせようとした。 

 しかし、リセラは不安そうにしながら
「だってぇ、不安なんですもの~。
 国全体なんて私、自信がありませんわぁ」
と、泣きながら訴える。

 陛下は慌てて、
「よい。聖女殿。してどんな願い事なのじゃ?」
と、聞いた。

 それを聞いたリセラは、恥ずかしそうにモジモジとしながら
「私、実は以前よりシオン様をお慕いしておりましたの~。
 ですのでシオン様には、結界を張る時に私の側にずっと付き添って頂きたいのですぅ。
 そして、上手く王国全体に結界が張り直せた時には、シオン様と結婚をさせて下さいませぇ」
と、言った。


 リセラのその願いを聞いて、その場にいた者は全員、目を剥いて驚いた。

「聖女殿、聖女殿は確かダミアンと懇意にしていたはず。何故シオンなのだ。
 それにシオンはつい先日、ラバンティ辺境伯令嬢との婚約が整ったばかり。
 それは無理な相談じゃ。
 ダミアンでは、駄目なのか?」

 陛下は焦りながら提案するが、リセラは首を縦にふらない。

「どうしてもシオン様がいいのですぅ。
 シオン様でないと、私は力が出ないのです」
の一点張り。

 困り果てた陛下だか、結界を盾に取られ、しぶしぶ妥協した。

「聖女殿。結界の張り直し時は、シオンに王太子として側に付き添い、聖女殿を見守る役目を与える事とする。
 上手く王国全体の結界を張り直せた時に、聖女殿の望みを、前向きに検討する事を約束しよう」

 陛下の言質を取ったリセラは、こっそりとほくそ笑み、
「ありがとうございます陛下! 私、これで頑張れそうですわぁ」
と、了承したのだった。






「というわけで、申し訳ない。国の危機にどうしても聖女殿の力が必要なのだ。
 そなたたちには酷であるが、国の、国民全員の命を守るためと、理解してもらいたい」

 陛下に呼ばれ、王宮に参上したミーシャとミーシャの両親、シオンは応接室にて先程の聖女とのやり取りを説明された。

「そんな! あんまりです父上! 私がどんなにミーシャ嬢との婚約を望んでいたかご存知でしょう。
 やっとそれが叶ったというのに、この仕打ちはあんまりです!
 しかも、何故私なのです? あんなに懇意にしていたダミアンの間違いではないのですか?」

 シオンの言うことはもっともであった。
 ラバンティ辺境伯も、頷きながら思案している。

(さすがお花畑脳ヒロイン、そうきたか。
 どうりで、やたらとシオン様にちょっかいかけてくると思っていたら、始めからシオン様狙いだったのね。全く懲りないというか、何と言うか……こんな無理に自分の思い通りに進めても、人の気持ちは変わらないのに)

 ミーシャは、いつまでもゲーム感覚で攻略しようとするリセラに、更に不快な気持ちになった。

 
 結局は、結界消滅の危機を目の前に、聖女の力は必要不可欠で、聖女の要求を受け入れざるを得ないという内容で、話は締め括られた。
 
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