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あれから数日後、国中に聖女による結界の再設置が行なわれる事が発表され、その準備が行われた。
結界は、王都を中心にして、国全体を覆うように設置する事とし、場所として、王都の大聖堂で行なわれることとなった。
大聖堂には、王族をはじめ、官僚や多くの高位貴族が集まり、聖女リセラの偉業を見守るように多くの司祭や、修道士、修道女たちも集まっている。
その中央にリセラと、リセラの付き添いに任命されたシオンが立っていた。
「聖女殿。お始め下さい」
教皇の言葉で、リセラは大聖堂の祈りを捧げる像の前に跪き、
「シオン様ぁ、どうか私を見守ってて下さいませね」
と、上目遣いでシオンを見てくるので、シオンは顔を引き攣らせながら頷く。
その様子に気付いていないリセラは、シオンが側にいる事に満足し、目を瞑って像に祈りを捧げながら、結界魔法を駆使した。
みんなが見守る中、静かにリセラは祈りを捧げている。
その様子を少し離れた場所からミーシャも、ミーシャの両親や、ユーリ、ユーリの両親らと共に見ていた。
「しかし、あのお花畑ヒロイン。よくもあのような条件を突きつけましたわね」
いつもは上品さを失わないユーリが苦々しい表情で、苛立たし気に言う。
「ええ、本当に救いようのない残念ヒロインですわね」
ミーシャも容赦なく、リセラを軽蔑した目で見た。
様々な感情を持ちながら、聖女の結界の再設置に期待を寄せて見守る観衆であったが、祈りを始めてから1時間は過ぎた頃だろうか。少しずつ辺りがざわめき始めた。
「ちょっと祈りが長くない?」
「まだ結界は完成してないのかな?」
「なんか、更に結界が薄らいだような気がするのは、気のせいか?」
周りがざわめき始めた頃、リセラは密かに焦っていた。
(全然結界魔法が発動しない! 何故?
前は少しでも何とか出来たのに! 前に使ってからは全然使用してなかったから魔力もしっかり溜まってるのに、何故使えないのよ!
ここで結界魔法が使えなかったら、私はどうなるの⁉︎
早く! 使えるようにしてよ神様!
私はこの世界のヒロインなんでしょう⁉︎)
リセラの様子を隣で見ていたシオンは不審な表情をしながらも、リセラに問いかける。
「聖女殿、いかがした? 汗が凄いようだが、具合でも?」
シオンの問いかけにリセラは必死になって
「だ、大丈夫ですわ。もうすぐ終わります」
と、祈りを続けている。
しかしリセラの必死の祈りも虚しく、全然結界魔法が発動せず。
周りの観衆たちが困惑と、不安に包まれている中、大聖堂内に、凶報がもたらされた。
「大変です! いよいよ結界が消滅し始め、王国の北の地域より、魔物が入り込んできたとの知らせが届きました!」
日頃より結界消滅を危惧して、王国の各辺境地に領地を持つ貴族らは、常に警戒を行なっており、万が一に備えて魔物と戦う準備をしていた。
そして今回は、その内の北に領地を持つ辺境伯家からの知らせで、応援要請が来たのだ。
「なんと! すぐに北へ応援部隊を送れ!
聖女殿! 結界はまだか! 早くしないと北だけでなく、各地域からも魔物が入り込んでくる! 一刻の猶予も残されていないのだ!
早く結界で王国を覆ってくれ!」
陛下が指示を出しながらリセラに頼む。
しかし、リセラは青い顔をしながら震えだした。
「聖女殿⁈ どうされた? 具合が悪いようだが、今は頑張ってほしい! あなたに全てが掛かっているんだ!」
シオンはリセラを支えながら、懇願した。
しかし、リセラは震えるばかりで、一向に返答せず、祈りもやめてしまう。
シオンは、何とかリセラに結界魔法を展開してもらおうと、祈りを続けてもらうよう説得するが、リセラは顔を横にふりながら、泣き出してしまった。
「む、むり。全然結界魔法が発動しないの。私には荷が重かったのよ~!」
リセラは一向に泣き止む様子もなく、その場に居た全員が、結界が無くなってしまうという事態に、恐怖を感じた。
泣きやまないリセラに埒があかないと感じたシオンは、意を決して叫んだ。
「ミーシャ! 頼む! 代わりに結界を!
国を、民を助けてくれ!」
結界は、王都を中心にして、国全体を覆うように設置する事とし、場所として、王都の大聖堂で行なわれることとなった。
大聖堂には、王族をはじめ、官僚や多くの高位貴族が集まり、聖女リセラの偉業を見守るように多くの司祭や、修道士、修道女たちも集まっている。
その中央にリセラと、リセラの付き添いに任命されたシオンが立っていた。
「聖女殿。お始め下さい」
教皇の言葉で、リセラは大聖堂の祈りを捧げる像の前に跪き、
「シオン様ぁ、どうか私を見守ってて下さいませね」
と、上目遣いでシオンを見てくるので、シオンは顔を引き攣らせながら頷く。
その様子に気付いていないリセラは、シオンが側にいる事に満足し、目を瞑って像に祈りを捧げながら、結界魔法を駆使した。
みんなが見守る中、静かにリセラは祈りを捧げている。
その様子を少し離れた場所からミーシャも、ミーシャの両親や、ユーリ、ユーリの両親らと共に見ていた。
「しかし、あのお花畑ヒロイン。よくもあのような条件を突きつけましたわね」
いつもは上品さを失わないユーリが苦々しい表情で、苛立たし気に言う。
「ええ、本当に救いようのない残念ヒロインですわね」
ミーシャも容赦なく、リセラを軽蔑した目で見た。
様々な感情を持ちながら、聖女の結界の再設置に期待を寄せて見守る観衆であったが、祈りを始めてから1時間は過ぎた頃だろうか。少しずつ辺りがざわめき始めた。
「ちょっと祈りが長くない?」
「まだ結界は完成してないのかな?」
「なんか、更に結界が薄らいだような気がするのは、気のせいか?」
周りがざわめき始めた頃、リセラは密かに焦っていた。
(全然結界魔法が発動しない! 何故?
前は少しでも何とか出来たのに! 前に使ってからは全然使用してなかったから魔力もしっかり溜まってるのに、何故使えないのよ!
ここで結界魔法が使えなかったら、私はどうなるの⁉︎
早く! 使えるようにしてよ神様!
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リセラの様子を隣で見ていたシオンは不審な表情をしながらも、リセラに問いかける。
「聖女殿、いかがした? 汗が凄いようだが、具合でも?」
シオンの問いかけにリセラは必死になって
「だ、大丈夫ですわ。もうすぐ終わります」
と、祈りを続けている。
しかしリセラの必死の祈りも虚しく、全然結界魔法が発動せず。
周りの観衆たちが困惑と、不安に包まれている中、大聖堂内に、凶報がもたらされた。
「大変です! いよいよ結界が消滅し始め、王国の北の地域より、魔物が入り込んできたとの知らせが届きました!」
日頃より結界消滅を危惧して、王国の各辺境地に領地を持つ貴族らは、常に警戒を行なっており、万が一に備えて魔物と戦う準備をしていた。
そして今回は、その内の北に領地を持つ辺境伯家からの知らせで、応援要請が来たのだ。
「なんと! すぐに北へ応援部隊を送れ!
聖女殿! 結界はまだか! 早くしないと北だけでなく、各地域からも魔物が入り込んでくる! 一刻の猶予も残されていないのだ!
早く結界で王国を覆ってくれ!」
陛下が指示を出しながらリセラに頼む。
しかし、リセラは青い顔をしながら震えだした。
「聖女殿⁈ どうされた? 具合が悪いようだが、今は頑張ってほしい! あなたに全てが掛かっているんだ!」
シオンはリセラを支えながら、懇願した。
しかし、リセラは震えるばかりで、一向に返答せず、祈りもやめてしまう。
シオンは、何とかリセラに結界魔法を展開してもらおうと、祈りを続けてもらうよう説得するが、リセラは顔を横にふりながら、泣き出してしまった。
「む、むり。全然結界魔法が発動しないの。私には荷が重かったのよ~!」
リセラは一向に泣き止む様子もなく、その場に居た全員が、結界が無くなってしまうという事態に、恐怖を感じた。
泣きやまないリセラに埒があかないと感じたシオンは、意を決して叫んだ。
「ミーシャ! 頼む! 代わりに結界を!
国を、民を助けてくれ!」
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