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八頁 愛国のナスタチウム
110話 聖アーダ教国
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道中で襲撃者に襲われ肉体が爆散するという事態に見舞われたものの、その後は特に何事もなく俺たちは無事(?)に教都・ミステルに到着した。
「うわあぁ……!」
そのあまりに幻想的な街並みにクラルテは窓に張り付き声をあげた。ああこの場面はゲームそのまんまだな。俺たちは馬車に乗っているからあれだけ特殊カットインで窓から外を見て満面の笑顔を浮かべているクラルテとミステルの町並みが描かれたスチルが出るんだよな。くっ! プロローグが始まったときにスチルだけは回収しておこうと思ったのにこの角度じゃ無理かっ……! ……なにかリヒトから視線を感じる気がする。なんだよお前だってスチルには結構舞い上がっていたじゃねえか。内心ではウハウハのくせにぃ~♪
まあスチル云々は置いておいて。本当にきれいな街並みだな。全体的に青と白を基調とした建築物が整然と並びその間に植えられた木々は町の中心地へ向けて色が濃い花が咲いている。しかし花の種類まで考えられているのか花の色が建物の色彩を殺すことはない。本当に幻想的という言葉がよく似合う、そういう街だ。
「綺麗な街だな」
「ここミステルは街そのものが観光地なのですよ。この美しい街並みはアーダ国民の誇りであり他国でも高い評価を受けている場所なんです。だからこそ街に入るのはとても厳しいのです。外部の者に荒らされないようにするために」
「これほど美しいのだから強引に自分たちのものにしようという不届きで下劣な輩もそれなりに出てくるか」
そうだろうな。現代日本がまさにそれだった。
美しく環境もいい、そして制度も充実しているとなれば余所者がどかどか入り込もうとする。環境がいいのも町並みが美しいのも制度が充実しているのも全部その国の先人たちの努力の賜物だというのに。それを理解しようともせずただ自分たちが便利に暮らしたいという理由で先住民を虐げ土地を蹂躙する傲慢で野蛮な連中、そしてそれを受け入れて人手不足を解消しようする無能で愚かな政府。ほんと徳川秀忠とか蘇ってくれないかな……なんて死んだ俺が願ってもしょうがないか。
その点、この国は外国人の入国を厳しく制限しているし外国人に対する制度も法律もめちゃくちゃ厳しい。ぶっちゃけ外国人のほうがはるかに罪が重いのだ。あとは帰化制度もない。曰く『帰化を赦すということは自ら裏切り者を招き入れるも同じこと。帰化制度を利用する者はたった今自分たちが国を裏切ることにためらいがない人間であると自ら証明しているということであり自分たちが裏切られないという保証がない』だとさ。その通り! 素晴らしい国だと思う。帰化制度がないのは同盟国であるツヴィトークとアウィスも同じだ。また他国に一度帰化した者は絶対に受け入れないし入国もさせない。理由は簡単。他国の人間になるということは有事の際は祖国に刃を向けると宣言したのと同じだから。めちゃくちゃ理に適っています。
「そうですね。実際過去に何度かそういうのがありまして。アウィスとツヴィトークも参戦しました。同盟を結んだのはこの街並みを守るためでもあるんですよ。同じ宗教観を持つ者同士で守りあい助け合いましょうというのもありますが。もっとも隣国に血気盛んな軍事大国があるからというのが一番の理由ですけど」
「ルクス・アエテルナ帝国、ですよね」
「そうです。現在でも世界の脅威となっているかの国からの侵略を防ぐために三国同盟が締結されたんです」
エヴェイユから講義を受けている間に馬車はミステリア教園へと到着。馬車から降りるとそこには白を基調とした神官服をベースとした制服に身を包んだ人たちがずらり……こんなこと思っちゃだめだけどさ汚れがめっちゃ目立ちそうな服だよね。
人々の中で飛びぬけて容姿の整ったロングヘアーの美人な男の人がすっと前に出て俺たちに一礼した。
「ツヴィトーク王立スティルペース学園の皆様ミステリア教園へようこそ。今回皆様の案内をいたします第一王子のアストラ・ディ・アーダと申します」
アストラ・ディ・アーダ。この聖アーダ教国の王太子でありゲームでも登場した今回のキーパーソンの一人。
「ツヴィトーク王国第二王子エヴェイユ・イル・ツヴィトークです。一週間という短い期間ではありますがよろしくお願いいたします」
互いに握手を交わし詳しくは説明会で、となり早速俺たちの止まる場所へ案内してくれることになった。アストラに続いて教園内を歩いていくが……さっすが教会であることもあってどこもかしこも白いな。他の色と言えば花だけで華美な物なんかも一切なく、ところどころに精霊神ハルモニアの像があるだけ。すれ違う人たちは楚々としていて物静かだ。……ちょっと静かすぎて居づらいな。
「皆様にはこちらの部屋をお使いいただきます。二人一部屋ですのでご了承ください。それでは一時間後にまたお迎えに上がりますのでそれまではごゆるりとお過ごしくださいませ」
そう言うとアストラは一礼して去って行った。エヴェイユがささっとペアを作って部屋を割り振る。本当に仕事が早くて結構だけど……。
「よろしくなシュヴァリエ」
なんでアウルと同室なんでしょうかねぇ? にっこり笑うアウルをスルーしてエヴェイユに視線を向けると何やら意味深な笑みを送られた。あの野郎……絶対楽しんでいるだろ! はあ……。
「どうした? 入らないのか?」
「君がドアを塞いでいるんだろう。さっさと入れ」
「それは悪かった」
全く悪びれる様子もなくカラカラと笑いながら部屋に入ったアウルに続いて俺も入ると質素ながらも上質だと分かる家具類が目に入った。家具は机と椅子がそれぞれ二人分とベッドのみ。まあごちゃごちゃ家具が置いてあってもそれはそれで困るしな。一週間しかいないんだから荷物も増えようがないか。
「さてと……これから一週間楽しみだな」
「私は憂鬱だ」
「……出発前に殿下から言われたことを気にしているのか?」
「気にはしていませんが面倒だとは思っていますよ。お家騒動のようなものではないですか」
「それは否定できないな」
内容を思い出してアウルも苦笑するしかないようだ。
ツヴィトークで行われた説明会のあとでエヴェイユに呼び出されて聞いた内容。それはアーダの王族が聖女を使って良からぬことを企んでいるらしいということだった。しかもツヴィトークからくる俺たちを利用しようと考えているようで一日目の交流会が終わった後に極秘で話し合いを持ちたいとの密書が届いたという。送ってきたのはさっき挨拶をした王太子様だ。
「まったく……なぜ私まで」
「これまでに何度もツヴィトークで起きた事件を解決してきたからじゃないか?」
「冗談じゃない」
「それだけ頼りにされているということでいいんじゃないのか?」
「他人事だと思って……」
「俺も参加するのだから他人事ではないな」
本当になんでこんなことになってんだか。クラルテが関わるはずだったイベントが悉く俺に回ってきているというこの現象について誰か説明してはくれないだろうか。割と切実に。
ため息をついてもだもだしているうちに時間となりアストラが俺たちを呼びに来た。
講堂に連れてこられて日程の説明を受ける。概要は概ねツヴィトークで聞いていたものと同じ。起床と就寝時間については脅迫かと言わんばかりの勢いで厳守するように命じられた。なんだか修学旅行を思い出すな。就寝時間決められていて先生が見回りに来るあれ。律儀に就寝時間守っていた奴ってどれだけいるんだろ。ちなみに俺は守っていません。一回も守っていません。先生が来たときは寝たふりして誤魔化しました。むしろそれを楽しんでいたまである。直前までおしゃべりして遊んで先生の気配した瞬間に布団に潜って先生がいなくなった瞬間に布団の中でみんなで笑っていましたがなにか? リヒトと同じ部屋だったら確実にそれをやってたぞ。つーか言い出しっぺ風車だったし。
まあそんな昔話は置いておいて。俺は今回メインで関わることになるアーダ側の人間、そのうちの一人に目を向けける。
「ティアと申します」
夜空を溶かしたような不思議な目の色と艶やかな銀髪を持った美女。ティアと名乗るこの少女はこの話のもう一人のキーパーソンだ。
「うわあぁ……!」
そのあまりに幻想的な街並みにクラルテは窓に張り付き声をあげた。ああこの場面はゲームそのまんまだな。俺たちは馬車に乗っているからあれだけ特殊カットインで窓から外を見て満面の笑顔を浮かべているクラルテとミステルの町並みが描かれたスチルが出るんだよな。くっ! プロローグが始まったときにスチルだけは回収しておこうと思ったのにこの角度じゃ無理かっ……! ……なにかリヒトから視線を感じる気がする。なんだよお前だってスチルには結構舞い上がっていたじゃねえか。内心ではウハウハのくせにぃ~♪
まあスチル云々は置いておいて。本当にきれいな街並みだな。全体的に青と白を基調とした建築物が整然と並びその間に植えられた木々は町の中心地へ向けて色が濃い花が咲いている。しかし花の種類まで考えられているのか花の色が建物の色彩を殺すことはない。本当に幻想的という言葉がよく似合う、そういう街だ。
「綺麗な街だな」
「ここミステルは街そのものが観光地なのですよ。この美しい街並みはアーダ国民の誇りであり他国でも高い評価を受けている場所なんです。だからこそ街に入るのはとても厳しいのです。外部の者に荒らされないようにするために」
「これほど美しいのだから強引に自分たちのものにしようという不届きで下劣な輩もそれなりに出てくるか」
そうだろうな。現代日本がまさにそれだった。
美しく環境もいい、そして制度も充実しているとなれば余所者がどかどか入り込もうとする。環境がいいのも町並みが美しいのも制度が充実しているのも全部その国の先人たちの努力の賜物だというのに。それを理解しようともせずただ自分たちが便利に暮らしたいという理由で先住民を虐げ土地を蹂躙する傲慢で野蛮な連中、そしてそれを受け入れて人手不足を解消しようする無能で愚かな政府。ほんと徳川秀忠とか蘇ってくれないかな……なんて死んだ俺が願ってもしょうがないか。
その点、この国は外国人の入国を厳しく制限しているし外国人に対する制度も法律もめちゃくちゃ厳しい。ぶっちゃけ外国人のほうがはるかに罪が重いのだ。あとは帰化制度もない。曰く『帰化を赦すということは自ら裏切り者を招き入れるも同じこと。帰化制度を利用する者はたった今自分たちが国を裏切ることにためらいがない人間であると自ら証明しているということであり自分たちが裏切られないという保証がない』だとさ。その通り! 素晴らしい国だと思う。帰化制度がないのは同盟国であるツヴィトークとアウィスも同じだ。また他国に一度帰化した者は絶対に受け入れないし入国もさせない。理由は簡単。他国の人間になるということは有事の際は祖国に刃を向けると宣言したのと同じだから。めちゃくちゃ理に適っています。
「そうですね。実際過去に何度かそういうのがありまして。アウィスとツヴィトークも参戦しました。同盟を結んだのはこの街並みを守るためでもあるんですよ。同じ宗教観を持つ者同士で守りあい助け合いましょうというのもありますが。もっとも隣国に血気盛んな軍事大国があるからというのが一番の理由ですけど」
「ルクス・アエテルナ帝国、ですよね」
「そうです。現在でも世界の脅威となっているかの国からの侵略を防ぐために三国同盟が締結されたんです」
エヴェイユから講義を受けている間に馬車はミステリア教園へと到着。馬車から降りるとそこには白を基調とした神官服をベースとした制服に身を包んだ人たちがずらり……こんなこと思っちゃだめだけどさ汚れがめっちゃ目立ちそうな服だよね。
人々の中で飛びぬけて容姿の整ったロングヘアーの美人な男の人がすっと前に出て俺たちに一礼した。
「ツヴィトーク王立スティルペース学園の皆様ミステリア教園へようこそ。今回皆様の案内をいたします第一王子のアストラ・ディ・アーダと申します」
アストラ・ディ・アーダ。この聖アーダ教国の王太子でありゲームでも登場した今回のキーパーソンの一人。
「ツヴィトーク王国第二王子エヴェイユ・イル・ツヴィトークです。一週間という短い期間ではありますがよろしくお願いいたします」
互いに握手を交わし詳しくは説明会で、となり早速俺たちの止まる場所へ案内してくれることになった。アストラに続いて教園内を歩いていくが……さっすが教会であることもあってどこもかしこも白いな。他の色と言えば花だけで華美な物なんかも一切なく、ところどころに精霊神ハルモニアの像があるだけ。すれ違う人たちは楚々としていて物静かだ。……ちょっと静かすぎて居づらいな。
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そう言うとアストラは一礼して去って行った。エヴェイユがささっとペアを作って部屋を割り振る。本当に仕事が早くて結構だけど……。
「よろしくなシュヴァリエ」
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「君がドアを塞いでいるんだろう。さっさと入れ」
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全く悪びれる様子もなくカラカラと笑いながら部屋に入ったアウルに続いて俺も入ると質素ながらも上質だと分かる家具類が目に入った。家具は机と椅子がそれぞれ二人分とベッドのみ。まあごちゃごちゃ家具が置いてあってもそれはそれで困るしな。一週間しかいないんだから荷物も増えようがないか。
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ツヴィトークで行われた説明会のあとでエヴェイユに呼び出されて聞いた内容。それはアーダの王族が聖女を使って良からぬことを企んでいるらしいということだった。しかもツヴィトークからくる俺たちを利用しようと考えているようで一日目の交流会が終わった後に極秘で話し合いを持ちたいとの密書が届いたという。送ってきたのはさっき挨拶をした王太子様だ。
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「これまでに何度もツヴィトークで起きた事件を解決してきたからじゃないか?」
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ため息をついてもだもだしているうちに時間となりアストラが俺たちを呼びに来た。
講堂に連れてこられて日程の説明を受ける。概要は概ねツヴィトークで聞いていたものと同じ。起床と就寝時間については脅迫かと言わんばかりの勢いで厳守するように命じられた。なんだか修学旅行を思い出すな。就寝時間決められていて先生が見回りに来るあれ。律儀に就寝時間守っていた奴ってどれだけいるんだろ。ちなみに俺は守っていません。一回も守っていません。先生が来たときは寝たふりして誤魔化しました。むしろそれを楽しんでいたまである。直前までおしゃべりして遊んで先生の気配した瞬間に布団に潜って先生がいなくなった瞬間に布団の中でみんなで笑っていましたがなにか? リヒトと同じ部屋だったら確実にそれをやってたぞ。つーか言い出しっぺ風車だったし。
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