2 / 20
第2章 氷の王子
しおりを挟む
王宮で迎える初めての朝は、胸の奥がぴしりと凍るような緊張から始まりました。
天井には金の装飾がきらめき、カーテンの縁には白鳥の羽が縫い込まれています。こんな豪奢な部屋に目を覚ます日が来るなんて、昨日までの自分には想像もできませんでした。
「おはようございます、アメリア様。本日のご予定ですが――午前は礼儀作法の稽古、午後は王太子殿下との夕餐かと」
新しくついた侍女のルナが淡々と告げる。細身で人当たりは柔らかいけれど、どこか冷めた色の瞳。
「あの、ルナさん……殿下は、どんな方なんですか?」
「有能なお方ですよ。口数は少なく、無駄を嫌われます。ご機嫌の伺い方を間違えなければ問題ありません」
その言い方が少し怖くて、わたしは思わず固まってしまいました。
ご機嫌を伺い間違えなければ……って、どうすれば!?
~~~~~~~~~~
午前中の礼儀作法の稽古は、まさに戦場でした。
厳格な教師マダム・ベルネッタの声が響き渡ります。
「アメリア様! その頭の角度、あと二度下げなさい! 二度です!」
「す、すみませんっ!」
王宮の床がつやつやに光るほど頭を下げながら、心の中でそっとため息。
こんなに頭を下げる人生なんて、想像していませんでした。
「はい、それではカップの持ち方をもう一度。小指が出ていますわ」
「あのっ、こ、小指が勝手に……」
「勝手に出る指などありません!」
ぐさっ。
言葉の鋭さで、心まで刺されます。
昼過ぎにはもう足が棒のようで、廊下を歩きながらふらふらしていました。
そんなとき、ふと風が吹き抜けて、窓の外で羽のような雪が舞うのが見えました。
「……雪が、降ってきたのね」
王都は春を前にしても寒い。きらめく雪を見ていると、少しだけ現実を忘れられる――そう思っていた矢先。
「転ぶな」
すぐ背後から低い声がして、驚きのあまり思わず足を滑らせそうになりました。
気づけば、両腕を掴まれていました。
「っ……殿下!?」
近い。目を上げれば、王太子ルキウス殿下が真っ直ぐにこちらを見ている。手袋越しでも分かる、その強い力に心臓が暴れ出しそうです。
「不安定な歩き方だな。侍女を連れていないのか」
「えっと……練習の帰りで、少し休憩を……」
「“少し”が長すぎる」
淡々とした口調なのに、妙に胸が高鳴るのはなぜでしょう。
「殿下にご迷惑を……すみません」
「迷惑ではない。ただ、怪我をされて王妃教育が遅れれば、それこそ宮中の迷惑だ」
そう言って、ぱっと手を離す。
少し寂しいと思ってしまった自分に、びっくりしました。
「……殿下は、お優しいのですね」
「優しい? 俺が?」
「違うんですか?」
「人にそう言われたことはない」
皮肉のように笑う口元が、ほんの一瞬穏やかに見えました。
冷たい瞳の奥に、かすかな影と痛みがある気がします。
この方は、どうしてこんなに心を閉ざしているのだろう――そう考えた瞬間でした。
「殿下、ここにいらっしゃいましたのね!」
甲高い声。振り向くと、濃いラベンダー色のドレスを纏った令嬢が現れました。
確か……名前はミリエル。王宮で評判の伯爵令嬢で、殿下に憧れてやまないとか。
「あら、身代わりの方? ずいぶん地味で……まるで壁の花みたいですわね」
満面の笑みを浮かべて言うミリエル嬢の声に、顔から血の気が引きました。
殿下は何も答えず、静かな声で「行くぞ」とだけ言って歩き出します。
その背中を見送りながら、ミリエル嬢がこちらを振り返ってひとこと。
「身代わりでも、せいぜい殿下に迷惑をかけないようにね」
……うん。我慢。ここで言い返したら、わたし負けです。
悔しくて、心の中でだけ「迷惑をかけるつもりなんてありません」と叫びました。
~~~~~~~~~~
夕刻。呼び出しを受けて、殿下と食卓を囲むことになりました。
とはいえ、空気は張りつめています。
「食事中は話すな。味に集中しろ」
「は、はいっ」
肉の香りがよくても、味わう余裕がありません。緊張のあまりフォークを落としかけ、慌てて拾おうとした瞬間――。
「触るな。危ない」
殿下が素早く伸ばした手で、フォークを拾い上げてくださいました。
その手が、わたしの指にほんの一瞬触れた気がして、思わず固まってしまいます。
「……すみません」
「注意力を鍛えろ。食事も訓練のうちだ」
きっぱりとした口調に、胸の中の泡がしゅんとしぼみました。
でも、ちらりと見上げると、彼はほんの少し眉根を和らげて言いました。
「だが……努力はしているようだな」
「え?」
「マダム・ベルネッタから聞いた。貴族の娘の中で、一番まじめに取り組んでいると」
「べ、ベルネッタ先生が!? 本当に!?」
うれしさが込み上げて、気づけば笑顔になっていました。
殿下は一瞬驚いたようにわたしを見つめ、少しだけ息を吐きます。
「笑うと……印象が変わるな」
「え?」
「いや、何でもない」
その言葉に、顔が熱くなってしまいました。
本当に、“何でもない”のでしょうか。
~~~~~~~~~~
食後、侍女の部屋に戻る途中、ルナが心配そうに言いました。
「アメリア様、殿下とお話を?」
「ええ、少しだけ。でも……想像より優しいお方でした」
「優しい、ですか?」
ルナの眉がぴくりと動く。
「この宮廷では、優しさは弱さと同じ意味を持ちます。お気をつけくださいませ」
その言葉が、不吉な予感のように響きました。
~~~~~~~~~~
それから数日が過ぎました。
王宮に少しずつ慣れてきたころ、廊下の陰でまた噂話が聞こえてきます。
「聞いた? “田舎娘の身代わり花嫁”だって」
「しかも王太子殿下が興味も示さないんですって」
陰で笑う声を背中に感じても、わたしは足を止めません。
いつか、胸を張って歩けるようになる日まで。
そんなことを思っていた矢先、部屋に小さな花束が届けられました。
白い雪花草と銀のリボン。それに小さな紙片。
『努力を続けろ。春は遠くない』
差出人の名は書かれていません。けれど字を見た瞬間、誰からかは分かりました。
「……殿下……」
思わず頬が熱くなります。
冷たいはずの王宮で見つけた、ほんの小さな温もり。
雪花草の香りが部屋に広がったとき、わたしは初めて、この宮で生きていこうと思えました。
天井には金の装飾がきらめき、カーテンの縁には白鳥の羽が縫い込まれています。こんな豪奢な部屋に目を覚ます日が来るなんて、昨日までの自分には想像もできませんでした。
「おはようございます、アメリア様。本日のご予定ですが――午前は礼儀作法の稽古、午後は王太子殿下との夕餐かと」
新しくついた侍女のルナが淡々と告げる。細身で人当たりは柔らかいけれど、どこか冷めた色の瞳。
「あの、ルナさん……殿下は、どんな方なんですか?」
「有能なお方ですよ。口数は少なく、無駄を嫌われます。ご機嫌の伺い方を間違えなければ問題ありません」
その言い方が少し怖くて、わたしは思わず固まってしまいました。
ご機嫌を伺い間違えなければ……って、どうすれば!?
~~~~~~~~~~
午前中の礼儀作法の稽古は、まさに戦場でした。
厳格な教師マダム・ベルネッタの声が響き渡ります。
「アメリア様! その頭の角度、あと二度下げなさい! 二度です!」
「す、すみませんっ!」
王宮の床がつやつやに光るほど頭を下げながら、心の中でそっとため息。
こんなに頭を下げる人生なんて、想像していませんでした。
「はい、それではカップの持ち方をもう一度。小指が出ていますわ」
「あのっ、こ、小指が勝手に……」
「勝手に出る指などありません!」
ぐさっ。
言葉の鋭さで、心まで刺されます。
昼過ぎにはもう足が棒のようで、廊下を歩きながらふらふらしていました。
そんなとき、ふと風が吹き抜けて、窓の外で羽のような雪が舞うのが見えました。
「……雪が、降ってきたのね」
王都は春を前にしても寒い。きらめく雪を見ていると、少しだけ現実を忘れられる――そう思っていた矢先。
「転ぶな」
すぐ背後から低い声がして、驚きのあまり思わず足を滑らせそうになりました。
気づけば、両腕を掴まれていました。
「っ……殿下!?」
近い。目を上げれば、王太子ルキウス殿下が真っ直ぐにこちらを見ている。手袋越しでも分かる、その強い力に心臓が暴れ出しそうです。
「不安定な歩き方だな。侍女を連れていないのか」
「えっと……練習の帰りで、少し休憩を……」
「“少し”が長すぎる」
淡々とした口調なのに、妙に胸が高鳴るのはなぜでしょう。
「殿下にご迷惑を……すみません」
「迷惑ではない。ただ、怪我をされて王妃教育が遅れれば、それこそ宮中の迷惑だ」
そう言って、ぱっと手を離す。
少し寂しいと思ってしまった自分に、びっくりしました。
「……殿下は、お優しいのですね」
「優しい? 俺が?」
「違うんですか?」
「人にそう言われたことはない」
皮肉のように笑う口元が、ほんの一瞬穏やかに見えました。
冷たい瞳の奥に、かすかな影と痛みがある気がします。
この方は、どうしてこんなに心を閉ざしているのだろう――そう考えた瞬間でした。
「殿下、ここにいらっしゃいましたのね!」
甲高い声。振り向くと、濃いラベンダー色のドレスを纏った令嬢が現れました。
確か……名前はミリエル。王宮で評判の伯爵令嬢で、殿下に憧れてやまないとか。
「あら、身代わりの方? ずいぶん地味で……まるで壁の花みたいですわね」
満面の笑みを浮かべて言うミリエル嬢の声に、顔から血の気が引きました。
殿下は何も答えず、静かな声で「行くぞ」とだけ言って歩き出します。
その背中を見送りながら、ミリエル嬢がこちらを振り返ってひとこと。
「身代わりでも、せいぜい殿下に迷惑をかけないようにね」
……うん。我慢。ここで言い返したら、わたし負けです。
悔しくて、心の中でだけ「迷惑をかけるつもりなんてありません」と叫びました。
~~~~~~~~~~
夕刻。呼び出しを受けて、殿下と食卓を囲むことになりました。
とはいえ、空気は張りつめています。
「食事中は話すな。味に集中しろ」
「は、はいっ」
肉の香りがよくても、味わう余裕がありません。緊張のあまりフォークを落としかけ、慌てて拾おうとした瞬間――。
「触るな。危ない」
殿下が素早く伸ばした手で、フォークを拾い上げてくださいました。
その手が、わたしの指にほんの一瞬触れた気がして、思わず固まってしまいます。
「……すみません」
「注意力を鍛えろ。食事も訓練のうちだ」
きっぱりとした口調に、胸の中の泡がしゅんとしぼみました。
でも、ちらりと見上げると、彼はほんの少し眉根を和らげて言いました。
「だが……努力はしているようだな」
「え?」
「マダム・ベルネッタから聞いた。貴族の娘の中で、一番まじめに取り組んでいると」
「べ、ベルネッタ先生が!? 本当に!?」
うれしさが込み上げて、気づけば笑顔になっていました。
殿下は一瞬驚いたようにわたしを見つめ、少しだけ息を吐きます。
「笑うと……印象が変わるな」
「え?」
「いや、何でもない」
その言葉に、顔が熱くなってしまいました。
本当に、“何でもない”のでしょうか。
~~~~~~~~~~
食後、侍女の部屋に戻る途中、ルナが心配そうに言いました。
「アメリア様、殿下とお話を?」
「ええ、少しだけ。でも……想像より優しいお方でした」
「優しい、ですか?」
ルナの眉がぴくりと動く。
「この宮廷では、優しさは弱さと同じ意味を持ちます。お気をつけくださいませ」
その言葉が、不吉な予感のように響きました。
~~~~~~~~~~
それから数日が過ぎました。
王宮に少しずつ慣れてきたころ、廊下の陰でまた噂話が聞こえてきます。
「聞いた? “田舎娘の身代わり花嫁”だって」
「しかも王太子殿下が興味も示さないんですって」
陰で笑う声を背中に感じても、わたしは足を止めません。
いつか、胸を張って歩けるようになる日まで。
そんなことを思っていた矢先、部屋に小さな花束が届けられました。
白い雪花草と銀のリボン。それに小さな紙片。
『努力を続けろ。春は遠くない』
差出人の名は書かれていません。けれど字を見た瞬間、誰からかは分かりました。
「……殿下……」
思わず頬が熱くなります。
冷たいはずの王宮で見つけた、ほんの小さな温もり。
雪花草の香りが部屋に広がったとき、わたしは初めて、この宮で生きていこうと思えました。
3
あなたにおすすめの小説
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
【完結】婚約解消を言い渡された天使は、売れ残り辺境伯を落としたい
ユユ
恋愛
ミルクティー色の柔らかな髪
琥珀の大きな瞳
少し小柄ながらスタイル抜群。
微笑むだけで令息が頬を染め
見つめるだけで殿方が手を差し伸べる
パーティーではダンスのお誘いで列を成す。
学園では令嬢から距離を置かれ
茶会では夫人や令嬢から嫌味を言われ
パーティーでは背後に気を付ける。
そんな日々は私には憂鬱だった。
だけど建国記念パーティーで
運命の出会いを果たす。
* 作り話です
* 完結しています
* 暇つぶしにどうぞ
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~
ふわふわ
恋愛
婚約破棄――そして追放。
完璧すぎると嘲られ、役立たず呼ばわりされた令嬢エテルナは、
家族にも見放され、王国を追われるように国境へと辿り着く。
そこで彼女を救ったのは、隣国の若き公爵アイオン。
「君を保護する名目が必要だ。干渉しない“白い結婚”をしよう」
契約だけの夫婦のはずだった。
お互いに心を乱さず、ただ穏やかに日々を過ごす――はずだったのに。
静かで優しさを隠した公爵。
無能と決めつけられていたエテルナに眠る、古代聖女の力。
二人の距離は、ゆっくり、けれど確実に近づき始める。
しかしその噂は王国へ戻り、
「エテルナを取り戻せ」という王太子の暴走が始まった。
「彼女はもうこちらの人間だ。二度と渡さない」
契約結婚は終わりを告げ、
守りたい想いはやがて恋に変わる──。
追放令嬢×隣国公爵×白い結婚から溺愛へ。
そして元婚約者ざまぁまで爽快に描く、
“追い出された令嬢が真の幸せを掴む物語”が、いま始まる。
---
置き去りにされた恋をもう一度
ともどーも
恋愛
「好きです。付き合ってください!」
大きな桜の木に花が咲き始めた頃、その木の下で、彼は真っ赤な顔をして告げてきた。
嬉しさに胸が熱くなり、なかなか返事ができなかった。その間、彼はまっすぐ緊張した面持ちで私を見ていた。そして、私が「はい」と答えると、お互い花が咲いたような笑顔で笑い合った。
中学校の卒業式の日だった……。
あ~……。くだらない。
脳味噌花畑の学生の恋愛ごっこだったわ。
全ての情熱を学生時代に置いてきた立花美咲(24)の前に、突然音信不通になった元カレ橘蓮(24)が現れた。
なぜ何も言わずに姿を消したのか。
蓮に起こったことを知り、美咲はあの頃に置き去りにした心を徐々に取り戻していく。
────────────────────
現時点でプロローグ+20話まで執筆ができていますが、まだ完結していません。
20話以降は不定期になると思います。
初の現代版の恋愛ストーリーなので、遅い執筆がさらに遅くなっていますが、必ず最後まで書き上げます!
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました
志熊みゅう
恋愛
十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。
卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。
マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。
その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。
――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。
彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。
断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる