【完結】義妹に全て奪われた私。だけど公爵様と幸せを掴みます!

朝日みらい

文字の大きさ
16 / 39

第16章: 共に過ごす時間

しおりを挟む
最近、アルノーが庭園で過ごす時間が増えた。

もちろん、私が庭の手入れを始めてからだけど、それだけじゃない気がする。

彼が忙しい日常の中で、わざわざ私のそばにいる時間を作ってくれている――それがなんだか、嬉しい。

アルノーはいつも何かしらの書類を持ってきては、庭園のベンチに座って私の隣にいる。

相変わらず会話は少ないけれど、彼が仕事をしながらも私のそばにいてくれるその姿が、何だか安心感を与えてくれるから。

「この数字が合わんな…」と、アルノーが書類を見ながら眉をひそめる。

「もう少しゆっくり見たら?」と、私は少しからかうように言ってみた。

だって、アルノーがあまりに真剣に書類と向き合っているのを見ると、ちょっと心配になっちゃうんだもの。

「君がいると、気が散るんだ。」

アルノーは顔を上げて、少しだけ笑ったような顔を見せる。

ああ、この顔、またちょっと可愛いって思っちゃう。

気づかないうちに顔がにやけてしまう自分を、内心で引き締める。

「気が散るなんて、失礼よ。もっと集中なさって」と、私はふふっと笑って言ってみた。

アルノーは軽くため息をつきながら、「分かってる」と言った。

私はあまりにも可愛そうになって思わず、膝を抱えて座ったまま、彼の横にぴったりくっついてみた。

「ちょっと近すぎだろ?」と、アルノーが驚きの声を上げるけど、私は意地悪く「だって、暇なの。あなたが早く終わらせないと、いっしょに過ごせないでしょ」と、少し無理やりでもアルノーに体を寄せてみる。

アルノーは驚いた様子で、私を見下ろす。

けれど、すぐに顔を少し赤くして、

「君、あまりにも大胆すぎる…」と、でもその目にはほんの少しだけ優しさが溢れているのが見えた。

「もう、そんなに恥ずかしがってどうするの?」

私は少しからかうように笑って言ったけれど、心の中ではやっぱり、彼の優しさが嬉しくてたまらない。

そして、しばらく沈黙が続く。

だけどその沈黙が、私には全然苦痛じゃない。

アルノーがわざわざこんなふうに、私のそばにいてくれるなんて。

ああ、なんて幸せなんだろう。

「今日は何して遊びます?」

なんて、ふとした言葉が口から出た。

「遊ぶ?」

アルノーは顔を上げて、ちょっとだけ興味を持ったように私を見つめる。

「はい。せっかく一緒にいるんだし、何か楽しみたいですよ」と、私はふふっと笑いながら言ってみた。

アルノーは少し考え込んでから、突然にやっと口を開いた。

「お前、もしかして…遊んでほしいのか?」

その目はちょっとだけ驚きが混じっているけれど、私はまっすぐに彼の目を見て答える。

「そんなの、ちょっとした遊びでも嬉しいわ。あなたがいるだけで、それが一番楽しみだもの。」

恥ずかしくて、ちょっと顔が赤くなる。

でも、なんだかそんな私を彼が見守ってくれていることが幸せで、安心感を覚える。

「お前、素直だな。」

アルノーは少し笑いながら、書類を放り投げて私に向かって手を差し伸べる。

その笑顔が、また私の心を温かくしてくれる。

「それで?どうするの?」

私はちょっとだけ期待を込めて言うと、アルノーはすぐに「じゃあ、こうしよう。」と言いながら私の手を取って、少し歩きながら庭を散策し始めた。

その間、何も特別なことをするわけじゃない。

ただ、二人で歩きながら、少しだけ他愛のない話をして、ただその瞬間を楽しんでいるだけ。

けれど、それが一番幸せな時間だと思う。

アルノーは時々、私の方をちらりと見て、無言で微笑んだり。

そんな些細な瞬間が私には全て宝物に思えてくる。

「リリアナがそばにいるだけで、こんなに穏やかな気持ちになれるんだな。」と、アルノーがぽつりと呟いた。

その言葉が、私の胸をぎゅっと掴んで、じわっと温かさが広がっていった。

「リリアナって呼んでくれたね。」

「リリアナ。」

「ありがとう、アルノー」と、私は小さな声で答えた。

「久しぶりに都の舞踏会に行くか。可愛い妻をお披露目したくてな。」

「いいわ。あなたがいれば。」

アルノーと一緒に過ごせるんだから、それだけで十分に特別な時間になる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

老伯爵へ嫁ぐことが決まりました。白い結婚ですが。

ルーシャオ
恋愛
グリフィン伯爵家令嬢アルビナは実家の困窮のせいで援助金目当ての結婚に同意させられ、ラポール伯爵へ嫁ぐこととなる。しかし祖父の戦友だったというラポール伯爵とは五十歳も歳が離れ、名目だけの『白い結婚』とはいえ初婚で後妻という微妙な立場に置かれることに。 ぎこちなく暮らす中、アルビナはフィーという女騎士と出会い、友人になったつもりだったが——。

十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。

er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

婚約破棄された堅物令嬢ですが、鬼の騎士団長の娘として宮廷の陰謀を暴くのに忙しいので、美貌のカストラート(実は王子)に溺愛される暇はありません

綾森れん
恋愛
「お前のような真面目くさった女はいらない。婚約は破棄させてもらう!」 婚約者だった公爵令息に冷酷に言い放たれたリラ・プリマヴェーラ。 だが、彼女の心にあったのは悲しみではなく―― 十年前の王族暗殺事件を調査したいという情熱だった。 伯爵令嬢であるリラは、鉄の掟を守る『鬼の騎士団長』の娘。 彼女には恋よりも何よりも優先すべき使命があった。それは、十年前に幼い王子が暗殺された事件の真相を暴き、父を、そして王国を陰謀から救うこと。 婚約破棄直後、彼女の前に現れたのは、天使の歌声を持つ美貌のカストラート(去勢歌手)、アルカンジェロだった。 彼が十年前の事件について密かに調べていることを、リラは知ってしまう。 真相を探るため、リラは彼を自分の音楽教師として迎え入れ、距離を縮めていく。 事件解決の協力者として彼と接するうち、リラは謎めいたアルカンジェロに危機を救われることになる。 しかし、リラは知らない。 アルカンジェロの正体が、十年前に暗殺されたはずの第三王子であることを。 そして彼にとってリラこそが、初恋の女性であることを。 彼は十年間、密かにリラを想い続けていたのだ。 王位を狙う者たちから身を隠すため、声楽の技術を駆使して、教会歌手として大聖堂で生き延びてきたアルカンジェロだったが、王家を巡る不穏な陰謀が静かに動き始めていた。 捜査に猪突猛進な堅物令嬢と、彼女を影から支え執着を見せる、カストラート歌手のふりをした王子。 宮廷の闇を切り裂く二人の恋と事件の行方は――? ※本作は、過去に投稿していた『真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています』の設定・キャラクター・構成を大幅に改稿し、新作として再構成したものです。 物語の結末やキャラクターの掘り下げを強化しておりますので、初めての方も、以前お読みいただいた方もお楽しみいただけます。

円満離婚に持ち込むはずが。~『冷酷皇帝の最愛妃』

みこと。
恋愛
「あなたと子を作るつもりはない」 皇帝シュテファンに嫁いだエリザは、初夜に夫から宣言されて首をかしげる。 (これは"愛することのない"の亜種?) 前世を思い出したばかりの彼女は、ここが小説『冷酷皇帝の最愛妃』の中だと気づき、冷静に状況を分析していた。 エリザの役どころは、公爵家が皇帝に押し付けた花嫁で、彼の恋路の邪魔をするモブ皇妃。小説のシュテファンは、最終的には運命の恋人アンネと結ばれる。 それは確かに、子どもが出来たら困るだろう。 速やかな"円満離婚"を前提にシュテファンと契約を結んだエリザだったが、とあるキッカケで彼の子を身ごもることになってしまい──? シュテファンとの契約違反におののき、思わず逃走したエリザに「やっと見つけた」と追いすがる夫。 どうやら彼はエリザ一筋だったらしく。あれ? あなたの恋人アンネはどうしたの? ※小説家になろう様でも掲載しています ※表紙イラスト:あさぎかな先生にコラージュアートをいただきました ※毎朝7時に更新していく予定です

捨てられ令嬢の恩返し 投資のお礼に溺愛嫁っぷり、見せつけましょう

灯息めてら
恋愛
陰陽師として活躍していた令嬢・春海桜歌は、陰陽の力を奪われ、瀕死で捨てられていた。泥の中で死を待つ彼女を拾ったのは、陰陽界の流通を一手に担う商人・御堂紫苑。投資と言って彼女を治癒した紫苑はある日提案する。 『嫁』という仕事をしてみないか――と。 名家の当主に群がる「虫」を追い払うための偽装夫婦――そのはず、なのだけれど。

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

処理中です...