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15. 友達。
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体育の授業で、相澤和真は福井奏とペアを組んで柔軟体操をしていた。
「和真、あの一年坊主を甘やかすなよ」
和真の背中を押しながら奏が苦言を洩らす。
「……甘やかしているわけじゃ無い。ただ、あいつはまっすぐだからさ、ほっとけないんだよ」
「ほっとけない……ね。で、なぜあいつはあんなに和真に執着しているんだ?」
「……なぜと言われても、おれの事を慕ってくれているとしか──」
和真はなぜか奏には足立に話したように前世の事を言い出せなかった。
(奏の事は信頼しているし、頼りになる男だからきっと話したら呆れたりしないで相談に乗ってくれるはずだ。まあ、今話す内容ではないしな……)
しかし、改めて考えると三峰汐音の事は不思議でならない。
いくら生まれ変わりだといっても和真はフィーリアでは無いし、姿はもちろん、性別がまず違う。きっと思考も性格も違うはずだ。一緒に居れば、すでに違和感を感じ始めていてもおかしくない。
だが、汐音の和真への執着の度合いが弱まる気配が全く感じられない。『好き』だと言ってくれたが、『好き』も色々ある。
(あいつの『好き』はどんな『好き』なのだろうか? 汐音はおれとどうなりたいんだ?)
考え込んでいた和真の関節が、突然悲鳴をあげた。
「……痛! 痛い! 痛いって! 奏‼」
首をそらして、和真は背後にいる奏へ訴える。
「あれ? 痛かったか? すまん」
あまり悪いと思っていなさそうな顔で、奏が謝ってきた。
「奏のように部活で鍛えている特別な体じゃ無いんだ。手加減してくれ」
文句を言いながら和真が立ち上がると、背後から覆いかぶさって来た奏に羽交締めにされる。
「ずっと心ここにあらずって顔してるぞ。俺が触れている時は、俺だけに集中してくれよ。和真」
耳元で囁かれ、和真は耳を押さえて振り返った。
「……い、言い方!」
「え? 何? 何を赤くなってんの? エロい事、考えちゃった? ぐふっ……」
速攻で奏のみぞおちに一撃を食らわせる。
だが、相手は鍛えられた鋼のような筋肉を持つ男だ。あまりダメージを与えられた気がしない。
「調子に乗るな」
むっとしながら睨む和真の肩に奏は片腕を回し、『くくく』と喉の奥で笑っている。
(何が楽しんだ?)
「俺、おまえの事が、本当に好きだわ」
「そうか」
本気で取り合わない和真の横顔を奏はしばらくの間じっと見つめていた。
だが、ふっと優し気な笑みを浮かべると和真の肩から腕を外した。そのまま流れるような動きで腕を上にあげ、全身を伸ばすと、右へ体を倒していく。一人で柔軟体操を続けながら奏はまるで天気の話でもするように話し始めた。
「俺さ、欲しいものは絶対手に入れるって決めてるんだ。というか、手に入れてきている」
「……それぐらいの気合がないと一年からレギュラーになんかなれないもんな」
「良くご存じで」
「他の奴が見ていないところでもすごく努力している。朝練も早めに来て走ってたりするだろ?」
「……何で、知ってるんだ?」
「知ってるさ。俺達は、友達なんだろ?」
和真が肩越しに僅かに笑みを浮かべ応じると、奏は眩しそうに目を細めた。
「ああ、そうだな」
まるで和真の発した言葉を確かめるように奏が呟く。
ピーッ!
柔軟体操の終了を知らせる笛の音が運動場に響く。和真と奏は共に駆け出した。
その様子を教室の窓から汐音がじっと見つめていた。
「和真、あの一年坊主を甘やかすなよ」
和真の背中を押しながら奏が苦言を洩らす。
「……甘やかしているわけじゃ無い。ただ、あいつはまっすぐだからさ、ほっとけないんだよ」
「ほっとけない……ね。で、なぜあいつはあんなに和真に執着しているんだ?」
「……なぜと言われても、おれの事を慕ってくれているとしか──」
和真はなぜか奏には足立に話したように前世の事を言い出せなかった。
(奏の事は信頼しているし、頼りになる男だからきっと話したら呆れたりしないで相談に乗ってくれるはずだ。まあ、今話す内容ではないしな……)
しかし、改めて考えると三峰汐音の事は不思議でならない。
いくら生まれ変わりだといっても和真はフィーリアでは無いし、姿はもちろん、性別がまず違う。きっと思考も性格も違うはずだ。一緒に居れば、すでに違和感を感じ始めていてもおかしくない。
だが、汐音の和真への執着の度合いが弱まる気配が全く感じられない。『好き』だと言ってくれたが、『好き』も色々ある。
(あいつの『好き』はどんな『好き』なのだろうか? 汐音はおれとどうなりたいんだ?)
考え込んでいた和真の関節が、突然悲鳴をあげた。
「……痛! 痛い! 痛いって! 奏‼」
首をそらして、和真は背後にいる奏へ訴える。
「あれ? 痛かったか? すまん」
あまり悪いと思っていなさそうな顔で、奏が謝ってきた。
「奏のように部活で鍛えている特別な体じゃ無いんだ。手加減してくれ」
文句を言いながら和真が立ち上がると、背後から覆いかぶさって来た奏に羽交締めにされる。
「ずっと心ここにあらずって顔してるぞ。俺が触れている時は、俺だけに集中してくれよ。和真」
耳元で囁かれ、和真は耳を押さえて振り返った。
「……い、言い方!」
「え? 何? 何を赤くなってんの? エロい事、考えちゃった? ぐふっ……」
速攻で奏のみぞおちに一撃を食らわせる。
だが、相手は鍛えられた鋼のような筋肉を持つ男だ。あまりダメージを与えられた気がしない。
「調子に乗るな」
むっとしながら睨む和真の肩に奏は片腕を回し、『くくく』と喉の奥で笑っている。
(何が楽しんだ?)
「俺、おまえの事が、本当に好きだわ」
「そうか」
本気で取り合わない和真の横顔を奏はしばらくの間じっと見つめていた。
だが、ふっと優し気な笑みを浮かべると和真の肩から腕を外した。そのまま流れるような動きで腕を上にあげ、全身を伸ばすと、右へ体を倒していく。一人で柔軟体操を続けながら奏はまるで天気の話でもするように話し始めた。
「俺さ、欲しいものは絶対手に入れるって決めてるんだ。というか、手に入れてきている」
「……それぐらいの気合がないと一年からレギュラーになんかなれないもんな」
「良くご存じで」
「他の奴が見ていないところでもすごく努力している。朝練も早めに来て走ってたりするだろ?」
「……何で、知ってるんだ?」
「知ってるさ。俺達は、友達なんだろ?」
和真が肩越しに僅かに笑みを浮かべ応じると、奏は眩しそうに目を細めた。
「ああ、そうだな」
まるで和真の発した言葉を確かめるように奏が呟く。
ピーッ!
柔軟体操の終了を知らせる笛の音が運動場に響く。和真と奏は共に駆け出した。
その様子を教室の窓から汐音がじっと見つめていた。
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