新緑の少年

女の人

火曜日は仕事がひさびさに定時で終わった。
駅前の夜八時まで開いてるサロンに朝日を連れて行き、髪をカットし直してもらった。
一見チャラ男だけど真面目店長の腕とセンスで、素敵な美少年にトランスフォームした。
髪形一つで人ってこんなに印象が変わるんだね。
三浦先生の素人カットとは大違いだ。

それから朝日と夕ご飯を作って、テレビを見て、そんな普通のことでも朝日がいると、とっても幸せに感じる。
朝日には先にお風呂に入ってもらった。
僕はニュースを見ている。明日の関東は大雪注意報。
電車で病院に行くか。でも混むからいやなんだよな。

朝日が僕の横にちょこんと座って、ニュースを見だした。
「明日、雪なんだ。学校休みにならないかな」
朝日！！　なんて格好してるんだよ。
腰にタオル巻いてるだけで、半裸じゃないか。
「寒いから、パジャマ着たら」
こっちのほうが恥ずかしいよ。
直視できないからさ、ちょっと何か着てよ。
「うん。風呂場にパジャマ持ってくの忘れた」
まだニュース見てるよ。さっき、パジャマ着るって言ったのに。
邪（よこしま）な想いがこみあげてくる。このままソファーに押し倒したい。
食べちゃいたいって、駄目だろ。まだはやいよ。駄目だよね。そんなこと絶対。

じりりりりとインターホーンが鳴った。
誰だろう。