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複雑な関係
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夕ご飯を食べながら朝日に聞いてみた。
「新しい学校だいじょうぶ?」
「友達もできたし、前みたいに無視されたりしてないよ」
よかった。ぼっちじゃなかった。
「駅の近くに三沢軒ってラーメン屋あるよね。そこの子と仲良しになった。三沢大介君っていうの」
「こんどお昼食べにいこうか」
「行こう!大介君ってすごくいいやつなんだ。一緒に給食食べてる」
うんうん。よかったね。
朝日の髪を見るとキラキラしたヘアピンで前髪とめてある。
「ヘアピンどうしたの?」
「まこちゃんがくれた。まこちゃんって中学生なのに化粧してさ、金髪なの」
え? 不良の子?
「ちょっとやんちゃな子なんだね」
「まこちゃんがさー。『ひゃー、すごくかわいくね? 化粧して盛ったら女の子でもぜんぜんいけるじゃん。』て言って、『男なのに髪長くね?でも可愛いから、よし!』ってさ、ヘアピンくれた」
女子とも男子ともうまくやってるみたいで、よかった、よかった。
だったらもう三浦先生に来てもらわなくてもいいな。
明日、日曜なのに家庭教師しに来るって言っていた。
明日は母の誕生日で世田谷の実家に行く予定がある。
家族総出でお祝いするらしい。
***
両親と姉とで銀座のすし屋で食事をして、夜九時すぎに家に戻った。
朝日はリビングで宿題をしていた。
朝日を見てすぐに髪が短くなってることに気が付いて、聞いた。
「髪、どうしたの?」
「三浦先生が切った。僕の髪、女の子みたいで、やばいって」
保護者の承諾なしに勝手に生徒の髪切るって教師としてどうかと思うよ。きちんとこのことは、言わないと。
あの先生、やけに朝日に入れ込んでないか?
もしかして、朝日のこと好きとか。
少年好きの女性ってたまにいるんだよ。ショタコンとかいうやつ。
女教師と中学生、すごくやばくないか? 禁断の関係だよ。犯罪だよ。
「変な髪形にされちゃって、残念だったね。朝日」
昭和時代のもっさり中学生みたいな髪形になってるよ。
髪を勝手にいじられたことで頭にきて、もうこれ以上、家に来て欲しくないと真剣に考えてしまった。
怒っている僕の背中を朝日は慰めるようにさすった。
「髪が長いことで、前の学校みたいに、みんなに無視されたりしたらって、先生、心配して切ってくれたんだよ」
たしかに髪が肩まであって、普通の男の子のヘアースタイルじゃなかったけどね。
あーあ、「Theまじめ君」みたいな髪形にされちゃって。
サロンに行って、直してもらおうね。
「あの女の先生、きっと君のこと好きなんだよ」
朝日は間をおいて言った。
「僕のことは生徒として気にかけているだけで。あの、言ってもいいのかな……」
まさか、なにかいけないことされたとか?
「怒らないから言ってもいいよ」
「僕が言ったって先生には内緒にしてね」
「約束するよ」
「三浦先生は栄のこと好きなんだよ」僕の背中に頬を押し付けた。
え?
だって、メール交換と直に三回しか会ったことなかったよね。
「そう言ったの?」
「ううん。でも先生、いつも栄のこと知りたがっているから。仕事とか、好きなアーティストとか、本当いつも栄のことばかり聞いてくる。スマホの待ち受け、栄と僕の写真だったよ」
胸と脳がむしゃむしゃ痒いようなこんがらがった複雑な気分になった。
そんなの困るよ。僕は朝日が好きだし。
でも、三浦先生の教え子なんだよな。
「朝日は、先生が僕のことが好きって、どう思ってるの?」
「うーん。栄が先生と付き合ってもいいと思ってるよ」
「無理」
じっと空を見つめて言った。
「絶対無理」もう一回言った。
だって、朝日を愛してるし、そもそも女の人に恋したことも興味持ったこともない。
「え? どうして無理なの?」
「そんなこと、分かりきってるじゃないか。僕は同性愛者だし」
「でも三浦先生、いい人だし」
「そういう問題じゃなくて」
言ってしまっていいのかな。
まだ中一だよな。言っても分からないだろうな。
君のことなら抱けるけど、女の人は無理。
「新しい学校だいじょうぶ?」
「友達もできたし、前みたいに無視されたりしてないよ」
よかった。ぼっちじゃなかった。
「駅の近くに三沢軒ってラーメン屋あるよね。そこの子と仲良しになった。三沢大介君っていうの」
「こんどお昼食べにいこうか」
「行こう!大介君ってすごくいいやつなんだ。一緒に給食食べてる」
うんうん。よかったね。
朝日の髪を見るとキラキラしたヘアピンで前髪とめてある。
「ヘアピンどうしたの?」
「まこちゃんがくれた。まこちゃんって中学生なのに化粧してさ、金髪なの」
え? 不良の子?
「ちょっとやんちゃな子なんだね」
「まこちゃんがさー。『ひゃー、すごくかわいくね? 化粧して盛ったら女の子でもぜんぜんいけるじゃん。』て言って、『男なのに髪長くね?でも可愛いから、よし!』ってさ、ヘアピンくれた」
女子とも男子ともうまくやってるみたいで、よかった、よかった。
だったらもう三浦先生に来てもらわなくてもいいな。
明日、日曜なのに家庭教師しに来るって言っていた。
明日は母の誕生日で世田谷の実家に行く予定がある。
家族総出でお祝いするらしい。
***
両親と姉とで銀座のすし屋で食事をして、夜九時すぎに家に戻った。
朝日はリビングで宿題をしていた。
朝日を見てすぐに髪が短くなってることに気が付いて、聞いた。
「髪、どうしたの?」
「三浦先生が切った。僕の髪、女の子みたいで、やばいって」
保護者の承諾なしに勝手に生徒の髪切るって教師としてどうかと思うよ。きちんとこのことは、言わないと。
あの先生、やけに朝日に入れ込んでないか?
もしかして、朝日のこと好きとか。
少年好きの女性ってたまにいるんだよ。ショタコンとかいうやつ。
女教師と中学生、すごくやばくないか? 禁断の関係だよ。犯罪だよ。
「変な髪形にされちゃって、残念だったね。朝日」
昭和時代のもっさり中学生みたいな髪形になってるよ。
髪を勝手にいじられたことで頭にきて、もうこれ以上、家に来て欲しくないと真剣に考えてしまった。
怒っている僕の背中を朝日は慰めるようにさすった。
「髪が長いことで、前の学校みたいに、みんなに無視されたりしたらって、先生、心配して切ってくれたんだよ」
たしかに髪が肩まであって、普通の男の子のヘアースタイルじゃなかったけどね。
あーあ、「Theまじめ君」みたいな髪形にされちゃって。
サロンに行って、直してもらおうね。
「あの女の先生、きっと君のこと好きなんだよ」
朝日は間をおいて言った。
「僕のことは生徒として気にかけているだけで。あの、言ってもいいのかな……」
まさか、なにかいけないことされたとか?
「怒らないから言ってもいいよ」
「僕が言ったって先生には内緒にしてね」
「約束するよ」
「三浦先生は栄のこと好きなんだよ」僕の背中に頬を押し付けた。
え?
だって、メール交換と直に三回しか会ったことなかったよね。
「そう言ったの?」
「ううん。でも先生、いつも栄のこと知りたがっているから。仕事とか、好きなアーティストとか、本当いつも栄のことばかり聞いてくる。スマホの待ち受け、栄と僕の写真だったよ」
胸と脳がむしゃむしゃ痒いようなこんがらがった複雑な気分になった。
そんなの困るよ。僕は朝日が好きだし。
でも、三浦先生の教え子なんだよな。
「朝日は、先生が僕のことが好きって、どう思ってるの?」
「うーん。栄が先生と付き合ってもいいと思ってるよ」
「無理」
じっと空を見つめて言った。
「絶対無理」もう一回言った。
だって、朝日を愛してるし、そもそも女の人に恋したことも興味持ったこともない。
「え? どうして無理なの?」
「そんなこと、分かりきってるじゃないか。僕は同性愛者だし」
「でも三浦先生、いい人だし」
「そういう問題じゃなくて」
言ってしまっていいのかな。
まだ中一だよな。言っても分からないだろうな。
君のことなら抱けるけど、女の人は無理。
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