新緑の少年

東城

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京都

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三月の連休に約束通り朝日を京都に連れて行く。
東京駅から新幹線で京都まで約二時間。
朝日はテンション上がりっぱなしで新幹線の中でもすごくはしゃいでる。
車内販売の緑茶を飲みながら、京都のことをずーっと話している。
「鴨川にヌートリアがいるんだよ」
「なにそれ?」
「ねずみの種類なんだけど。犬ぐらいでかいの」
このぐらいあると手を広げて教えてくれた。


十時半に京都駅に着く。駅の近代的デザインに感動した。
駅の近くの回転寿司屋に外国人が並んでいる。昭和レトロな京都タワーが見える。外国人観光客が多いな。
地元らしい人達の会話に耳を傾けると、関西のイントネーションだ。
朝日も京都訛りでたまに話したり、関東では話さない方言や単語みたいなものを口にすることもあるけど、本人は標準語で話そうと努力している。
京都に来たのは何年振りだろうか。中学の修学旅行ぶりかもしれない。僕もその時、中一だったな。朝日と同い年の時だ。奇遇だね。
二泊しかしないので荷物はリュックだけだった。
夕方までそのまま京都の街をぶらぶらすることにした。
「電車のほうがいいんやけど、せっかくやからバスで四条に行こ」僕の手を取る。
四条は三年前、朝日が住んでいたところだ。
バスから見える景色はビルが多く東京とさほど変わらない。
バスの窓からそんな景色を朝日はじっと見つめていた。
「やっと帰ってこれた」とつぶやく。
そうだね。ここが君の故郷なんだよね。
そういえば空気も光も、街の人の話す言葉も関東とは違うね。
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