新緑の少年

東城

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誕生日

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朝日の誕生日は三月十日。
二人で祝いたかったが三浦先生も呼んで、先生の家の近くにあるフレンチレストランで祝った。

先生は、また新学期から忙しくなるからそんなに会えないけど、なにかあったら連絡してねと朝日に優しく言った。
本当いい先生だね。
「桐野先生がいるからもう大丈夫よね」
「でもクラス替えがあるから……」朝日が心配そうにつぶやく。
「きっと大丈夫よ。先生は、はざま君の味方よ」
ディナーの代金は僕がカードで払った。

車で先生をマンションまで送る。
別れ際、先生が言った。
「はざま君、いいお兄さんができてよかったね。二人みてると仲のいい兄弟みたいだね」
朝日は何も言えない。笑ってごまかしている。
「それじゃ。またね」バイバイと手を振って先生は車を降りた。

僕は、にこにこしながら車を運転する。
お兄さんか。やけに年の離れたお兄さんだけどね。
助手席の朝日は黙っている。
うつらうつらしているよ。もう眠いのかな。
信号待ちで車が止まった。
朝日のあごを優しく、親指と人差し指でくいっと持ち上げる。
軽くキスする。 
「十三歳おめでとう」
もっとキスしたかったけど、家に戻ってから、もっと愛を込めてキスしてあげるよ。
朝日は「うん」と言った。
照れ隠しなのか、話題を変えて「ねーねー、栄、春休みに京都に連れて行ってくれるって話だけど。いつ行くの?」と聞く。
「三月の連休でいいかな?」
「春の京都は混むから、はやめに新幹線予約しないとね」
「そうだね」
宿も予約しないとな。旅館のほうがいいかな。それとも駅前の普通のホテルでいいかな。

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