秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜

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第三章 誰にでも秘密はある

3-12

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 馬車を乗り換えて着いたお屋敷は、とてつもなく立派なお屋敷だった。コーンフォレス家を初めて見た時も驚いたが、上には上があるもんだと、驚きを通り越して感心してしまった。

 デズモンドのエスコートで、屋敷の中に入る。玄関を入ったエントランスは、正面にフカフカの絨毯が敷きつめられた立派な階段がある。天井には、見た事もない大きさのシャンデリアがキラキラ輝いていた。

 キャスティナは、エントランスに入ると圧倒されてしまう。口を開けて上を見上げ固まってしまった。

 私·····場違いにも程がある。こんなワンピースで化粧もしてないし·····。どっ、どうすれば·····。帰りたい。キャスティナは、動揺する。

「あの、デズモンドお祖父様、私、流石に場違いな気がするんですが·····」

 デズモンドは、執事が出迎えてくれたので上着を預けている。振り返ってキャスティナを見る。

「そうかの?ティナちゃんは、そのままでも、充分可愛いが。カイルもそう思うじゃろ?」

 デズモンドが、執事に声をかける。カイルと呼ばれた執事は、厳格な雰囲気の男の人だ。キャスティナは、あまりにみすぼらしい格好で外に出されるんじゃないかと、ビクビクしてしまう。

「そうですね。充分可愛らしいですが、キャスティナ様が気になさるようならお着替えされたら如何かと?」

 カイルは、厳しい視線のままデズモンドに答える。

「うむ。では、セリアかアイリーンのドレスに着替えさせてくれ。わしは、応接室にいるから」

「かしこまりました。ではキャスティナ様ご案内します」

 キャスティナは、カイルの後に付いて2階に上がった。衣装部屋の様な所に案内される。部屋に入ると、部屋自体がクローゼットの様になっていて、ドレスが所狭しとハンガーに掛かっていた。

「侍女を呼んで参りますので、其方の椅子にかけてお待ちください」

 カイルは、キャスティナに声をかけると礼をして部屋から出て行った。キャスティナは、言われた通り部屋の隅に置かれた、椅子に腰かけた。暫くすると、ノックの音と共に二人の侍女が部屋に入って来た。

「失礼致します。御召しかえを致します」

 侍女にドレスを選んで貰って、髪を結ってもらいお化粧も軽くしてもらった。

「ありがとうございました。これは、セリア殿下のドレスなんですか?」

「はい。セリア殿下が、ご結婚される前に着ていたものなんですよ。キャスティナ様に、よくお似合いですよ」

 侍女の一人が、笑顔で答えてくれた。桜色の落ち着いた感じのドレスだ。五日間振りのドレスで、キャスティナは気が引き締まる思いがした。これから相手にするのは、この国の頂点にいる貴族様だ。しっかりしないと、と自分を震い立たせた。

 侍女に案内されて応接室に向かう。侍女が扉をノックすると、どうぞと声がかかり扉を開けてくれた。キャスティナは、応接室の中に足を踏み入れた。

「キャスティナ!」

 知っている声が部屋に響き渡り、キャスティナが顔を上げると、アルヴィンがキャスティナに駆け寄ってきて、腕を取られた。

「なんで、いなくなったりしたんだ。心配したんだぞ!無事で本当に良かった」

 アルヴィンは、怒りながらもどこかホッとした面持ちでキャスティナを見ている。

 キャスティナは、上を向いてアルヴィンの顔を窺う。心配してくれてた事が伝わり、本当に申し訳ない気持ちで一杯になった。

「ご心配お掛けして、ごめんなさい。アルヴィン隊長」

 キャスティナは、声を震わせながら謝った。アルヴィンが、キャスティナを優しく抱き締める。

「お兄様だろ。全く君は、僕が思ってるよりずっとお転婆だね」

「おいおい。何でお兄様なんだよ。しかもアルヴィン、距離感がおかしいだろ」

 部屋にいた素敵な紳士が、アルヴィンに注意している。エヴァンの父親と同じくらいに見える。

「うるさい。キャスティナは、僕の妹分だからいいんだよ。妹を抱き締めて何が悪いんだ」

 アルヴィンが、男の人に言い返す。

「いやいやいや。兄は、妹を抱き締めないから!しかもアルヴィンは、男専門じゃなかったのか?」

 アルヴィンと男性が言い合いを始めてしまい、キャスティナはどうすればいいかわからない。アルヴィンに抱きしめられたまま、お兄様って凄くいい匂いがするなっと関係ない事を考えていた。
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