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精霊に愛された素晴らしき村の終焉 第6話
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「おじいちゃん、なに悩んでるの! 村の連中を『おとり』にした方が、私たちが生き残る可能性が上がるんだから、迷う必要ないでしょ!?」
清々しいほどに、自分のことしか考えていない進言であった。
「それもそうじゃな。あの悪鬼どもの素早さは尋常ではない。いかに駿馬でも、見つかればどうなるか分からん。ここはやはり、村人たちには『おとり』になってもらおう。新たなる村の長であるワシとお前を助けるためだ。連中にとっても、名誉ある死と言えるだろう」
清々しいほどに、身勝手な決意であった。
そして、究極の自己中心者二人は、誰にも見つからぬように、こっそり正面扉の施錠を解除すると、悪鬼たちの注意を引くように、時間差で点火が可能な爆竹をセットした。
爆竹が破裂するまでのわずかな時間に、速やかに裏口へ向かい、馬に跨る二人。老人と少女とは思えぬほど手際のいい、軽やかな動きだった。自らのおこないのせいで、多くの村人の命が無残に消えることなど何とも思っていないような、軽やかな動きだった。
次の瞬間、激しい破裂音が連続して鳴り響く。
爆竹のことなど何も知らない村人たちが、パニックになって悲鳴を上げた。それから数秒後、音に引き寄せられた悪鬼たちが、勢いよく玄関の重たいドアを開いて侵入してくる。一体……二体……三体……四体五体六体七体八体九体十体十一体十二体十三体十四体十五体……
驚くべきことに、悪鬼の行列はまだ終わらない。館に入って来た数だけでも、二十体はいる。外には、その倍はいるようだった。
そして、地獄が始まった。
堅牢なはずの扉が何の抵抗もなく開いたことで、混乱と恐怖の極みに達する村人たち、ある者は正気を失い、狂ったまま悪鬼に食われた。ある者は持っていたナイフで自らの首の血管を切り、自殺した。またある者はヤケクソになって悪鬼に突撃し、一撃で返り討ちにあって絶命した。
館の村人が全滅するまでの時間は、ほんの数分だったが、その『ほんの数分』だけでも、悪鬼たちの注意を引きつけ、完璧に足止めできたことは非常に大きかった。
カレンの祖父と姉は、当初の思惑通りに、駿馬に乗って村を脱出する。多くの村人を犠牲にしたというのに、二人の口元には『計画が上手くいった』という歓喜の笑みすら浮かんでいた。
軽快な蹄の音と共に、荒れた山道を駆けていく駿馬。ここは、他の地方へと続く唯一の道。ここさえ抜ければ、大きな商業都市につく。そこで悪鬼のことを報告すれば、国が軍隊を動かして、あんな化け物ども、すぐに駆逐してくれるだろう。
どうにか窮地を切り抜けたことで、カレンの祖父と姉は、やっと人心地がつき、余裕が生まれたようだった。
清々しいほどに、自分のことしか考えていない進言であった。
「それもそうじゃな。あの悪鬼どもの素早さは尋常ではない。いかに駿馬でも、見つかればどうなるか分からん。ここはやはり、村人たちには『おとり』になってもらおう。新たなる村の長であるワシとお前を助けるためだ。連中にとっても、名誉ある死と言えるだろう」
清々しいほどに、身勝手な決意であった。
そして、究極の自己中心者二人は、誰にも見つからぬように、こっそり正面扉の施錠を解除すると、悪鬼たちの注意を引くように、時間差で点火が可能な爆竹をセットした。
爆竹が破裂するまでのわずかな時間に、速やかに裏口へ向かい、馬に跨る二人。老人と少女とは思えぬほど手際のいい、軽やかな動きだった。自らのおこないのせいで、多くの村人の命が無残に消えることなど何とも思っていないような、軽やかな動きだった。
次の瞬間、激しい破裂音が連続して鳴り響く。
爆竹のことなど何も知らない村人たちが、パニックになって悲鳴を上げた。それから数秒後、音に引き寄せられた悪鬼たちが、勢いよく玄関の重たいドアを開いて侵入してくる。一体……二体……三体……四体五体六体七体八体九体十体十一体十二体十三体十四体十五体……
驚くべきことに、悪鬼の行列はまだ終わらない。館に入って来た数だけでも、二十体はいる。外には、その倍はいるようだった。
そして、地獄が始まった。
堅牢なはずの扉が何の抵抗もなく開いたことで、混乱と恐怖の極みに達する村人たち、ある者は正気を失い、狂ったまま悪鬼に食われた。ある者は持っていたナイフで自らの首の血管を切り、自殺した。またある者はヤケクソになって悪鬼に突撃し、一撃で返り討ちにあって絶命した。
館の村人が全滅するまでの時間は、ほんの数分だったが、その『ほんの数分』だけでも、悪鬼たちの注意を引きつけ、完璧に足止めできたことは非常に大きかった。
カレンの祖父と姉は、当初の思惑通りに、駿馬に乗って村を脱出する。多くの村人を犠牲にしたというのに、二人の口元には『計画が上手くいった』という歓喜の笑みすら浮かんでいた。
軽快な蹄の音と共に、荒れた山道を駆けていく駿馬。ここは、他の地方へと続く唯一の道。ここさえ抜ければ、大きな商業都市につく。そこで悪鬼のことを報告すれば、国が軍隊を動かして、あんな化け物ども、すぐに駆逐してくれるだろう。
どうにか窮地を切り抜けたことで、カレンの祖父と姉は、やっと人心地がつき、余裕が生まれたようだった。
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