追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ

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第91話

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「おいおい、めずらしく弱気だな。しっかりしてくれよ、争いにはならないと思うが、これからの状況次第では、あんたの力が必要になるんだから。……それに、フェルヴァだって、自由自在に人間を大人にしたり子供にしたりできるわけじゃない。俺にかけられた変化の魔法は、ちょいと特殊なんだよ」

「特殊? 特殊って何よ? もっとハッキリ説明してよね」

 そんなことをゴニョゴニョと話していると、しばらく黙ってこちらのやり取りを見ていたブレンダが、訝しげな顔でリーゼルに問う。

「おい、リーゼル。さっきから聞こうと思っていたが、その女は何者だ。見ない顔だが、『至高なる魔女の会』の会員か?」

 リーゼルは、ぱちんとウィンクして、事も無げに言う。

「ま、そんなところだ。このおしゃれな黒帽子、なかなか良いだろ」

「そうか。……ふむ、確かに上質な黒帽子だ。適度な光沢と、派手過ぎず、地味過ぎない、品のある装飾……一流の職人の仕事と見た。これだけの逸品は、なかなかお目にかかることはできない。どこで買ったのか、教えてもらってもいいかな?」

 先程までとは大違いで、意外にも柔和な態度を見せるブレンダ。
 どうやら、敵対していない相手には、思ったより優しいタイプらしい。

 私は少々慌てながらも、黒帽子に関しては、正直に話すことにした。

「えっと、この黒帽子は昔からうちにあったものなの。たぶん、母さんが使ってたものだと思うから、どこで買ったのかは、ちょっとわからないわね」

「そうなのか、残念だ。……おっと、自己紹介がまだだったな。私は『至高なる魔女の会』のナンバー3、ブレンダ・ブロンデ。以後、お見知りおき願おう。きみの名は?」

 ふーむ。『以後、お見知りおき願おう』とは。
 まるで、時代小説のような言い回しだ。なんか、武士みたいな人ね。

 ちゃんと自分から自己紹介してくれたので、私も自分の名前を言おうとしたのだが、このタイミングで、さっきからオドオドと、何かを言おうとしては黙るのを繰り返していたリリエンヌが、毅然とした態度で言葉を発した。

「ブレンダさん、気をつけてください。彼女は『至高なる魔女の会』の会員などではありません。私たちを危険思想の団体だと見下し、会の壊滅をもくろんでいる敵です」
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